アフリカ
アフリカ連合(AU:African Union)
令和5年4月18日

1 概要
- (1)アフリカ連合(AU)は、アフリカ55の国・地域(注)が加盟する世界最大級の地域機関。本部はエチオピア首都のアディスアベバに所在。
- (2)AUは、アフリカの一層高度な政治的・経済的統合の実現と紛争の予防・解決に向けた取組強化のために、2002年7月、「アフリカ統一機構」(OAU)(1963年5月設立)が発展改組されて発足。
- (3)活動目的は、アフリカ諸国・諸国民間の一層の統一性・連帯の達成、アフリカの政治的・経済的・社会的統合の加速化、アフリカの平和・安全保障・安定の促進、民主的原則と制度・国民参加・良い統治の促進、持続可能な経済・社会・文化開発の促進等。
- (4)発足以来、アフリカの地域統合・協力の中核として急速に機能・役割を拡大。特に平和・安全保障分野で活動を強化。国連改革、気候変動、各種選挙等で統一の立場を形成。G7や国連を始めとする国際社会は、アフリカ自身の努力の現れとしてAUを高く評価。
- (5)2010年1月に「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)計画調整庁を統合し、2019年7月にはアフリカ連合開発庁-アフリカ開発のための新パートナーシップ計画調整庁(AUDA-NEPAD)へ改組。開発分野においてもその役割を拡大している。
- (6)AU総会の要請を受け、カガメ・ルワンダ大統領は、2017年1月、変化する情勢に対応し、諸課題を解決するため、AUの組織改革に対する勧告案に関する報告書を提出した。同報告書は、優先課題の集中やAUの組織再編、財源の自主的かつ持続的な確保を勧告した。現在、同報告書を踏まえ、AU改革が進められている。
(注)我が国未承認の「サハラ・アラブ民主共和国」を含む。
2 機構
- (1)最高機関は「総会」(首脳会議)(2019年より、それまでの年二回から年一回開催)であり、その下に加盟国閣僚により構成される「閣僚執行理事会」が設置されている。現在の議長国はコモロ(2023年2月就任。任期1年)。日々の業務を代行するのは、各国の常駐代表から構成される常駐代表委員会(PRC)である。
- (2)事務局として「AU委員会」(AUC)を設置。AUを対外的に代表し、政策・法案の提案、決定事項を執行する。現在のAU委員長(第4代)はムーサ・ファキ元チャド首相・外相(2017年3月就任、2021年2月再選、任期4年)。
- (3)2004年3月、「汎アフリカ議会」(PAP)を設置(所在地:南ア)。現在の議長はジンバブエのチャルンビラ議長。275名の議員から成る。
- (4)2004年5月、紛争の予防・解決に向けた取り組み強化(早期警戒、平和維持・調停・仲介、平和支援活動・介入等)のため「平和・安全保障理事会」(PSC)を設置。
- (5)2005年3月、経済・社会・文化理事会を設置。
3 我が国との関係
- (1)我が国はAUをアフリカにおけるオーナーシップの現れとして高く評価。特に、AUの紛争予防・管理・解決の活動を重視。ますます重要性を増すAUとの関係強化は、我が国の対アフリカ外交の最重要事項の1つ。
- (2)AU側は、アフリカ開発会議(TICAD)プロセスを基軸とする我が国のアフリカ開発政策を高く評価。2010年より、AUCがTICAD共催者となった。
- (3)我が国は、AU平和基金への拠出等を通じ、AUの活動を支援してきている(OAU時代からの累計2,160万ドル)。
- (4)2005年6月、我が国はAUに対する初代の常駐代表を任命(駐エチオピア大使が兼任)。2018年1月には、AU日本政府代表部を開設し、AU専任の特命全権大使を任命。
- (5)日・AU間での交流・対話は活発。
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- ア 我が国は、第1回AU総会(2002年7月、於:南ア)に杉浦外務副大臣(当時)が出席したのを始め、2016年までAU総会・閣僚執行理事会に我が国政務レベルが頻繁に参加。
- イ AUからは、2003年9月末から10月初旬に東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICAD III)にチサノAU議長(当時)、コナレ初代AU委員長(当時)が出席。2004年に訪日した同委員長と小泉総理(当時)の間で、日・AU関係の強化に合意した。
- ウ 2006年5月、我が国の総理大臣として初めて小泉総理(当時)がAU本部を訪問。その際の総理からの招待により、同年7月、コナレAU委員長(当時)が訪日。
- エ 2008年に横浜で開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)に出席したピンAU委員長(当時)は、同年の北海道洞爺湖サミットにも出席したほか、2010年8月に外務省賓客として訪日した。
AUCがTICADの共催者となること等をもりこんだ「日・AU協力強化に関する共同コミュニケ」(日本語仮訳)(PDF)、(英語)(PDF)
を発出。
- オ ドラミニ・ズマ前AU委員長(当時)は、2013年のTICAD V及び初のアフリカ開催となった2016年のTICAD VIに、TICAD共催者として出席。
- カ ムーサ・ファキAU委員長は、2019年のTICAD7及び2022年のTICAD 8にTICAD共催者として出席。