平成30年5月18日

一般事情
1 面積
6.5万平方キロメートル
2 人口
281.0万人(2018年1月:リトアニア統計局)
3 首都
ビリニュス(人口約53万人)(2017年:リトアニア統計局)
4 言語
リトアニア語
5 宗教
主にカトリック
6 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1253年 | ミンダウガス大公がリトアニア国王となる。 |
1386年 | ヨガイラ王,ポーランド王を兼ねる。 (リトアニア・ポーランド同君連合) |
1569年 | ポーランドと連合国家(二民族一共和国) |
1795年 | 第3次三国分割により大部分がロシア領となる。 |
1918年 | 独立を宣言。 |
1920年 | ソ連より独立。 |
1940年 | ソ連に併合。 |
1990年2月 | 共和国最高会議選挙。 |
1990年3月 | 独立回復宣言。 |
1991年9月6日 | ソ連国家評議会バルト三共和国の国家独立に関する決定を採択。 |
2001年5月 | WTO加盟。 |
2004年3月 | NATO加盟。 |
2004年5月 | EU加盟。 |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
ダリア・グリボウスカイテ大統領(2009年7月就任(2014年7月再任。任期5年))
3 議会
一院制(議席数141,任期4年)
4 政府
農民・グリーン同盟
- (1)首相
- サウリウス・スクバルネリス(農民・グリーン同盟選出)
- (2)外相
- リナス・リンケビチュウス(社会民主労働党)
5 内政
- (1)1992年10月及び11月,独立後初めての議会選挙が行われ,旧共産党系の民主労働党が第一党となり政権獲得。
- (2)1993年2月,大統領制導入を規定した新憲法に基づき,大統領選挙が実施され,ブラザウスカス民主労働党党首が大統領に就任。
以来,大統領及び議会の自由選挙が実施され,民主主義が定着。 - (3)2008年10月,議会選挙で8年に亘る社会民主党政権に終止符が打たれ,2008年12月,祖国同盟,国家復興党,リベラルムーブメント及び自由中央同盟による中道保守連立政権として,クビリウス内閣が発足。
- (4)2009年5月,大統領選挙が行われ,同年7月,リトアニア史上初の女性大統領ダリア・グリボウスカイテ大統領が誕生。
- (5)2012年10月の議会総選挙の結果,12月,ブトケビチュウス社会民主党党首を首相とする,社会民主党,労働党,秩序と正義党,ポーランド人選挙活動党から成る4党連立政権(中道左派)に政権交代した。雇用創出,貧困削減,社会格差の是正などの経済対策の他,外交面では,ロシア,ポーランド等の近隣諸国との関係改善等。2014年9月ポーランド人選挙活動等は連立政権離脱。
- (6)2016年10月の国会総選挙において,農民・グリーン同盟が第一党となり,社会民主党との連立政権を形成。同政権は,社会問題の対策,アルコール及びたばこ規制,汚職犯罪の厳罰化,国営企業の削減等を優先事項としている。
- (7)2017年9月,社会民主党の地方支部選挙をきっかけに党内が分裂化し,社会民主党は連立離脱。
- (8)2018年3月末、連立与党残留を支持した社会民主党議員が「社会民主労働党」を正式に結党、連立政権を構成。
外交・国防
1 外交基本方針
- (1)リトアニアは,1990年の独立回復宣言後,欧州への復帰を目指し,北大西洋条約機構(NATO)及び欧州連合(EU)への加盟を最大の外交目標とし,2004年に加盟を実現した。現政権の外交の柱は,EU及びNATOとの協力関係重視,旧ソ連邦諸国の民主化支援,対露外交,国連重視。
- (2)イラクやアフガニスタンに要員を派遣するなど国際貢献に積極的(イラクからは2008年12月に撤退)。2005年から2013年にアフガニスタン・ゴール県においてNATO地域復興支援チーム(PRT)を主導した。
- (3)ロシアとの関係
ロシアとの間では,1991年に2つの条約締結(「国家関係の基本に関する条約」,「カリーニングラード地域の経済・文化・社会協力に関する条約」)により政治問題を解決した。ロシア系住民人口が人口の4.7%と低いため,エストニアやラトビアのようにロシア住民の問題が大きくない(エストニアでは約3割,ラトビアでは約4割)。ロシアとの国境画定条約については,リトアニア議会は1999年10月,ロシア議会は2003年5月にそれぞれ批准した。
また,ロシアの飛び地であるカリーニングラード州への通行問題(リトアニア領土を通過)については,2002年11月の露EUサミットにおいて,簡易通行証を導入すること等が合意され,2003年7月から導入された。
2014年に生じたウクライナ問題に関しては,ロシアに対して強い姿勢で臨み,国家防衛と地域の安全保障強化に取り組んでいる。 - (4)2010年~11年7月まで民主主義共同体の議長国を務め,7月に同閣僚会議をビリニュスで主催した。また,2011年を通じて欧州安全保障協力機構(OSCE)議長国を務め,12月には外相理事会をビリニュスで主催した。2012年は,北欧バルト協力(NB8)の議長国を務めた。
- (5)2013年10月には国連安保理非常任理事国選挙に当選し,2014~2015年非常任理事国を務めた。
- (6)1991年 バルト議会会議設置
1992年 北欧・バルト8か国による協力枠組み設置
1992年 バルト海諸国理事会設置
1993年9月 バルト三国自由貿易協定署名
1993年11月 バルト三国平和維持大隊設置決定
1994年6月 バルト三国閣僚理事会設置
2 主要国際機関加盟状況
- 1991年9月
- 国連加盟
- 1991年10月
- OSCE加盟
- 1992年4月
- IMF加盟
- 1992年7月
- 世界銀行加盟
- 1993年5月
- 欧州評議会加盟
- 2001年5月
- WTO加盟
- 2004年3月
- NATO加盟
- 2004年5月
- EU加盟
3 国防
- (1)国防費
- 723.8百万ユーロ(2017年)(出典:リトアニア国防省)
- (2)兵力
- 陸軍9,600人,海軍537人,空軍1,029人,統合軍4,579人(出典:リトアニア国防省)
- (3)徴兵制
- 2008年9月に廃止したが,2015年5月に再開
経済
1 主要産業
石油精製業,食品加工業,木材加工・家具製造業,販売小売業,物流・倉庫業
2 GDP
427億5,600万ドル(2016年:IMF)
3 一人当たりGDP
14,892ドル(2016年:IMF)
4 経済成長率
2.29%(2016年:IMF)
5 物価上昇率
1.96%(2016年:IMF)
6 失業率
7.86%(2016年:IMF)
7 総貿易額
- (1)輸出
- 約226億ユーロ(2016年:リトアニア統計局)
- (2)輸入
- 約247億ユーロ(2016年:リトアニア統計局)
8 主要貿易品目
- (1)輸出
- 石油製品,電気機器・機械類,車輌類,化学製品
- (2)輸入
- 原油・天然ガス,電気機器・機械類,車輌類,化学製品
9 主要貿易相手国
- (1)輸出
- ロシア,ラトビア,ポーランド,ドイツ
- (2)輸入
- ロシア,ドイツ,ポーランド,ラトビア
10 通貨
ユーロ(2015年1月1日から導入)
11 為替レート
1ユーロ=約131.39円(2018年3月9日時点の大手邦銀発表中値レート参照)
12 経済概要
(1)経済概況
独立回復以来,市場経済化に向けた諸改革を推進し,特に1996年の保守連立政権成立以降,積極的な大規模民営化等を通じ,マクロ経済指標は大幅に改善した。外国からの直接投資の増大,輸出入の拡大により,2001年以降は7%台の経済成長率を達成してきたが,2008年後半からの世界的金融危機の影響を受け,経済状況が急激に悪化し,2009年はマイナス15%を記録した。その後,クビリウス政権は財政支出削減,税制改革を主軸とする経済危機対策を実施し,2011年には5.9%の成長率を達成した。2013年は,ユーロ圏やロシアの不透明な経済見通しの中,内需の回復により3.2%を記録。他方,ウクライナ情勢を受けてEU諸国がとったロシアへの制裁措置に対し,2014年8月からロシアが開始した対抗措置は,リトアニアの農林畜産業及び運輸産業に影響を与え,さらにロシア経済の低迷によって輸出が鈍化。2015年成長率は1.77%となった。
(2)ロシア依存型からEU中心型への貿易体質の転換
独立後,対ロシア貿易は徐々にその割合を縮小。1998年のロシア金融危機により,特に農業製品の対ロシア輸出が激減し,経済成長率が大幅に低下した経験などから,貿易相手国の多様化,ロシア依存型貿易からの脱却が進められている。リトアニアは,エネルギーの約8割(原油及び天然ガスはほぼ100%)をロシアに依存しているが,2014年10月にLNGターミナルを完成させ,天然ガス供給源多様化に向け積極的に取り組んでいる。2015年12月,スウェーデン及びポーランドとの送電線網が接続。
(3)ユーロ・ペッグ制への移行及びユーロ圏への加盟
従来,1ドル=4リタスで米ドル・ペッグ制を導入していたが,EU諸国との結びつきを重視し,2002年2月,1ユーロ=3.4528リタスのユーロ・ペッグ制を導入した。リトアニア政府は,2007年1月からの自国通貨のユーロへの切り替えを目指したが,ユーロ導入の要件の一つであるインフレ率が基準を上回り,ユーロ導入が認められなかった。2014年7月欧州議会において正式にユーロ導入が認められ,2015年1月1日からユーロを導入。
(4)エネルギー問題
EU加盟の条件とされたチェルノブイリ型原発のイグナリナ原発2号基の運転停止が2009年末に行われ,電力供給等に関するエネルギー問題への対策が急務となっている。特に,リトアニア政府はロシアにエネルギー供給の大半を依存している状況から脱却するため,エネルギー安全保障の強化を重視している。具体的にはスウェーデン及びポーランドとをつなぐ電力網接続,クライペダ港のLNGターミナル整備等を優先事項としている。ビサギナス原発計画については,反対が多数の結果となった国民投票の結果を踏まえて,国家エネルギー戦略の見直しを行う中で地域パートナーであるラトビア,エストニアと協議を行いながら検討していたが,2016年10月エネルギー省によって同原発計画の凍結が発表された。
二国間関係
1 政治関係
(1)外交関係
日本は戦前もリトアニアと外交関係を有し,1939年にカウナス(当時の暫定首都)に領事館を開設したが,1940年ソ連によるリトアニアの併合に伴い同領事館を閉鎖。1991年9月,リトアニアのソ連からの独立に際し,我が国はバルト三国に政府ミッションを派遣し,バルト三国の平和裡の独立に関し支持を表明,9月6日に国家承認,10月10日に外交関係を開設した。その後,1992年6月在リトアニア日本国大使館を開設(在デンマーク日本国大使館による兼轄),1997年1月に首都ビリニュスに大使館を設置した。2008年6月には,初代特命全権大使として明石美代子大使を派遣した。一方,リトアニアは,1999年3月,東京に大使館を開設した。
(2)親日感情
戦前に杉原千畝副領事(ポーランド等から逃れてきたユダヤ系避難民等に対して日本通過ビザを発給した)が在カウナス領事館に勤務していたことが広く知られているなど,両国関係は伝統的に良好。2001年10月には,杉原千畝生誕100周年を記念し,首都ビリニュス及びカウナスで桜の記念植樹が行われ,式典にはアダムクス大統領も出席した。また,ビリニュス市内には,早稲田大学が寄贈した「杉原モニュメント」があり,日本からの桜が寄贈された辺り一帯は「杉原千畝桜公園」と命名されている。
(3)最近の日・リトアニア関係
- (ア)2007年5月,天皇皇后両陛下がリトアニアを含むバルト三国を初めて御訪問になり,各国で歓迎を受けられた。また,各国国民と親しくお会いになり,心を通わせる多くの機会を得られた。
- (イ)近年,2014年3月のリンケビチュウス外務大臣の訪日(外務省招聘),2016年3月のグロウジニエネ国会議長及びマシウリス・エネルギー大臣の訪日,2016年7月の川端衆議院副議長のリトアニア訪問といった要人往来が続いている。最近では,2017年5月,滝沢外務大臣政務官がリトアニアを訪問し,「アジア欧州会合(ASEM)女性の経済的エンパワーメントに関する会合」に出席したほか,リンケビチュウス外相,ククライティス社会保障労働相と会談した。また,2017年5月,リンケビチュウス外相が訪日し,岸田外務大臣と会談した。
- (ウ)2016年8月海上自衛隊練習艦隊がリトアニアを訪問し,艦上レセプションを初めとする交流事業を行った。
- (エ)2016年12月,日・リトアニア租税条約が実質合意に達した。
- (オ)2018年1月,安倍総理大臣がリトアニアを日本の総理大臣として初めて訪問し,グリボウスカイテ大統領及びスクバルネリス首相と会談した。
2 経済関係
- 日本との二国間貿易
- (ア)貿易収支(出典:財務省貿易統計2016年,金額単位:億円)
年 輸出(日本→リトアニア)
(前年同期比増減)輸入(リトアニア→日本)
(前年同期比増減)収支 2004年 45.5 44.8% 20.9 -19.9% 24.6 2005年 62.5 37.3% 21.5 2.9% 41 2006年 84.4 35.1% 23.5 9.2% 60.9 2007年 128.8 52.6% 25.7 9.4% 103.1 2008年 100.5 -22.0% 30.5 18.7% 70 2009年 27.3 -72.8% 24.5 -19.7% 2.8 2010年 41.2 50.9% 25.2 2.9% 16 2011年 35.1 -14.8% 41.3 63.9% -6.2 2012年 37.8 7.7% 152.3 268.8% -114.5 2013年 62.5 65.3% 114.0 -25.1% -51.5 2014年 72.2 15.5% 111.8 -1.9% -39.6 2015年 63.5 -12.0% 436.0 290.0% -372.5 2016年 59.3 -6.6% 582.6 133.6% -523.3 - (イ)主要貿易品目(出典:財務省貿易統計2016年)
- 輸出(日本→リトアニア):機械類,プラスチック・ゴム類,化学製品等
- 輸入(リトアニア→日本):たばこ,光学機器,食品,衣類,家具,繊維製品等
3 経済協力
独立後,日本輸出入銀行(現国際協力銀行)による世銀及び欧州復興開発銀行(EBRD)との協調融資等を実施した。1996年にODA対象国となって以来,文化無償協力(1997年以降)や研修員受入,専門家派遣を中心とした技術協力を実施してきたが,2004年にEU及びNATOに加盟を果たし,急速に発展を遂げているリトアニアは,2006年度の文化無償資金協力を最後にODA対象国から卒業した。
4 観光
- リトアニアからの日本訪問者数:年間4,303人(2016年)(出典:日本政府観光局(JNTO))
- 日本からのリトアニア訪問者数:年間23,028人(2017年)(出典:リトアニア統計局)
5 在留邦人数
82人(2017年4月現在)
6 在日リトアニア人数
643人(2016年12月末現在)
(出典:法務省HP)
7 要人往来(2000年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
2001年12月 | 植竹外務副大臣 |
2006年5月 | 麻生外務大臣 |
2006年7月 | 中馬内閣府特命担当大臣 |
2007年5月 | 天皇皇后両陛下 |
2009年1月 | 伊藤外務副大臣 |
2011年5月 | 伴野外務副大臣 |
2013年4月 | 松山外務副大臣 |
2013年9月 | 西村内閣府副大臣 |
2014年7月 | 山崎参議院議長 |
2015年4月 | 薗浦外務大臣政務官 |
2016年7月 | 川端衆議院副議長 |
2017年5月 | 滝沢外務大臣政務官 |
2018年1月 | 安倍総理大臣 |
年月 | 要人名 |
---|---|
2001年4月 | アダムクス大統領(公式実務訪問賓客),ヴァリョニス外相,ケヴィシャス文化相 |
2001年10月 | ライニス経済副大臣(JETRO主催「バルト三国展」) |
2002年1月 | バルチーティス運輸相 |
2004年3月 | パウラウスカス国会議長 |
2005年7月 | ブラザウスカス首相(博覧会賓客),クニドロタス環境相(公式随員),プルドニコヴァス文化相 |
2006年8月~9月 | キルキラス首相 |
2010年10月 | ステボナビチュス教育科学相(STSフォーラム) |
2010年11月 | アジュバリス外相 |
2011年9月 | セクモカス・エネルギー相 |
2011年10月 | ディグティエネ国会議長(外務省の閣僚級招聘) |
2012年2月 | クビリウス首相 |
2012年11月 | ゲルーナス文化相(世界遺産条約採択40周年記念最終会合) |
2013年10月 | マズローニス環境相(水銀に関する水俣条約外交会議) |
2013年11月 | ククリエリウス農業副大臣 |
2014年2月 | オレカス国防相 |
2014年3月 | リンケビチュウス外相 |
2014年6月 | スプルオーギス・エネルギー副大臣 |
2014年6月 | パバルキス教育科学相(OECD/日本セミナー非公式教育大臣会合) |
2014年9月 | グスタス経済相 |
2014年10月 | パバルキス教育科学相(STSフォーラム) |
2015年2月 | スプルオーギス・エネルギー副大臣 |
2015年3月 | ツィロンカ農業副大臣 |
2015年5月 | グスタス経済大臣,カウゾニエネ教育科学副大臣 |
2015年6月 | クリスチュウナス外務副大臣 |
2015年9月 | ノレイキエネ経済副大臣 |
2015年10月 | カロブリス外務副大臣 |
2016年3月 | グロウジニエネ国会議長,マシウリス・エネルギー相 |
2016年3月 | バルトライティエネ農業相 |
2016年5月 | スカルプスカス経済副大臣 |
2016年9月 | ノレイキエネ経済副大臣 |
2016年10月 | ゲルマナス外務副大臣 |
2017年2月 | シャトゥーナス・エネルギー副大臣 |
2017年3月 | タラシュケビチュウス農業副大臣,サバイティエネ経済副大臣 |
2017年5月 | リンケビチュウス外相 |
2017年10月 | ベリガ保健相 |
2018年3月 | マルカウスカス農業相 |
8 その他
姉妹都市:久慈市(岩手)・クライペダ市(1989年)
- 1996年7月
- 日本リトアニア友好議員連盟設立
- 2001年4月
- 日本リトアニア協会設立
- 2011年11月
- リトアニア元日本留学生の会設立