リビア国
リビア国(State of Libya)
基礎データ
令和6年2月5日


一般事情
1 面積
176万平方キロメートル(日本の約4.6倍)
2 人口
681万人(2022年、世銀)
3 首都
トリポリ
4 民族
アラブ人
5 言語
アラビア語
6 宗教
イスラム教(スンニ派)
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1951年12月 | リビア連合王国(イドリース王国)として独立。 |
1963年 | 連邦制を廃止し、国名を「リビア王国」に改称。 |
1969年9月 | 9月1日革命、カダフィ大尉(当時)によるクーデターにて王政廃止。同年11月に暫定憲法公布により、カダフィ大尉を議長とする革命評議会が最高統治機関として設立、国名を「リビア・アラブ共和国」に改称。 |
1977年3月 | 人民主権確立宣言(ジャマーヒリーヤ宣言)発表。 国名を「社会主義リビア・アラブ・ジャマーヒリーヤ国」に改称。 |
2011年2月 | カダフィ政権に対する反政府デモがリビア全土で勃発、これより半年間内戦状態に陥る。 |
2011年8月 | カダフィ政権とリビア国民暫定評議会を中心とする反体制派との間の数か月にわたる武力衝突を経て、反体制派が首都トリポリを制圧。カダフィ政権が崩壊。 |
2011年9月 | 国名を「リビア」に改称。 |
2011年10月 | キーブ移行政府首相任命。翌11月、移行政府内閣が発足。 |
2012年7月 | カダフィ体制崩壊後初の全国規模の国政選挙となるリビア制憲議会選挙を実施。 |
2012年8月 | 制憲議会が招集され、マガリエフ氏が議長に選出。 |
2012年10月 | ゼイダーン氏が首相に選出され、翌11月、ゼイダーン内閣が発足。 |
2013年6月 | マガリエフ制憲議会議長の辞任に伴い、制憲議会の投票において、アブ・サハメイン氏を新議長に選出。 |
2014年2月 | 憲法起草委員会選挙を実施。国政選挙としては2012年7月以来、カダフィ体制崩壊後2回目。 |
2014年6月 | 制憲議会に代わる新たな議会を設立するため、代表議会選挙を実施、サーレハ議長が選出。 |
2014年9月 | 制憲議会側の救国政府に対し、代表議会側も暫定政府を発足させたため、国内に2つの政治勢力が並立。統一政府の樹立に向け、国連リビア支援ミッション(UNSMIL)のベルナルディノ・レオン特使が仲介役となり、第三国に関係者を集結させた政治対話が開始。 |
2014年10月 | 統一政府の樹立に向け、国連主導により主に第3国に関係者を集結させた政治対話による仲介支援ミッションが開始。 |
2015年12月 | 国連主導により支持派のみでリビア政治合意に署名。 |
2016年1月 | リビア政治合意に基づき、シラージュ国民合意政府首相が、政治合意案及び国民合意政府の組閣案を代表議会国民統一政府の立法府に提出して承認を要請。政治合意案は条件付きで可決されたが、組閣案は否決。 |
2016年3月 | シラージュ国民合意政府首相ら首脳評議会の首都トリポリ入りが実現。 |
2016年8月 | シラージュ国民合意政府首相が国民合意政府の修正組閣案を代表議会に提出して再度承認を求めたが、組閣案は否決。 |
2016年12月 | 首脳評議会設置の奪還作戦室が、2015年6月からISILに占拠されていた地中海沿岸中部にあるシルテ市を解放。 |
2017年9月 | サラーメ国連事務総長特別代表がロードマップを公表。これに基づき、代表議会(東側勢力)及び、国家評議会(西側勢力)の対話が開始。 |
2019年4月 | ハフタル総司令官が率いる「リビア国軍」がトリポリ奪取を目指し進攻。国民統一政府側と対立し、戦況は膠着状態。 |
2020年10月 | 国民合意政府側と「リビア国軍」側が停戦合意に署名。 |
2020年11月 | 国連主導のリビア政治対話フォーラムにおいて、2021年12月24日(独立記念日)に国政選挙を実施することで合意。 |
2021年3月 | 暫定国民統一政府が成立。 |
2021年12月 | 高等国家選挙委員会が選挙の延期を発表。 |
2022年3月 | 代表議会(東部)が新内閣を承認するも、暫定国民統一政府は権限委譲を拒否。 |
2023年2月 | バシリー国連事務総長特別代表が、2023年中の国政選挙実施を目指すイニシアティブを発表。 |
政治体制・内政
1 政体
暫定政権
2 政府
- ムハンマド・ユーニス・メンフィ首脳評議会議長
- アブドゥル・ハミド・ムハンマド・ドベイバ暫定国民統一政府首相兼外務・国際協力大臣
3 内政
- (1)1969年のクーデター以来、42年間にわたったカダフィ政権が2011年に崩壊。
- (2)2012年7月に、1952年の王政下以来初めて国政選挙が全体として大きな混乱なく実施された。制憲議会は定員200人。8月8日に国民暫定評議会(NTC)から制憲議会に権限移譲。
- (3)2014年6月には代表議会選挙が実施され、制憲議会から権限委譲されるはずであったものの、委譲されなかったことで、両議会の政府が並立する事態が生じ、統一政府の樹立に向けて国連が仲介支援を開始。
- (4)累次にわたる政治対話の結果、2015年12月にリビア政治合意が実現。
- (5)その後、国民合意政府(GNA)の上級閣僚から成るシラージュ国民合意政府首相を議長とする首脳評議会が、2016年1月に代表議会に対して政治合意案及び組閣案を提出したものの、組閣案は否決され、正式な樹立に至らず。同年3月に首脳評議会がチュニジアから首都トリポリに拠点を移すことに成功したが、両議会の政府は存続し続けているため、3つの政治勢力が国内に並立する事態となった。同年8月にも首脳評議会は修正組閣案を代表議会に対して再提出したが、否決された。
- (6)2017年以降、UAEや仏の仲介による会談を契機とし、政治勢力間の対話が実現。その後、国連を中心とするイニシアティブにより政治対話等が進展していたが、2019年4月、ハフタル「リビア国軍(LNA)」総司令官が突如トリポリへ向けて進軍を指示し、トリポリ近郊でGNA傘下の部隊との間で武力衝突が発生。戦況は膠着状態となった。
- (7)2020年5月、トルコによる支援強化を受けてGNA側が反撃を強め、LNAはトリポリ近郊から撤退。その後、中部沿岸都市シルテと内陸都市のジュフラを結ぶラインで軍事的緊張が継続。他方、2020年10月にはGNA側及びLNA側代表が恒久的停戦合意に署名。2020年11月にチュニスで開催された国連主導のリビア政治対話フォーラム(LPDF)において2021年12月24日(独立記念日)に国政選挙を実施することで合意。2021年2月、LPDFにおいて統一暫定行政機関(首脳評議会及び首相)を選出。2021年3月、暫定国民統一政府(GNU)が代表議会の承認を得て成立。
- (8)2021年12月、高等国家選挙委員会が大統領選挙の延期を発表。その後、2022年3月、代表議会が新内閣を承認したものの、GNUは権限委譲を拒否し、再び2つの政治勢力並立する構図となった。このような中、2022年6月にはLPDFでの合意に基づくGNUのマンデート期限を迎えたものの、主要国は引き続きGNUとの関係を維持している。
- (9)2023年2月、バシリー国連事務総長特別代表が、2023年中の選挙実施を目指すイニシアティブを発表したものの、選挙実施の目処は立っていない。
経済
1 主要産業
石油関連産業
2 GDP
457.52億米ドル(2022年、世銀)
3 一人当たりGNI
7,260米ドル(2022年、世銀)
4 GDP成長率
-1.2%(2022年、世銀)
5 インフレ率(対前年比)
3.4%(2023年10月、IMF)
6 失業率
20.7%(2022年、世銀)
7 総貿易額
- (1)輸出
- 約293.2億米ドル(2019年)(CIA The World Factbook)
- (2)輸入
- 約253.6億米ドル(2019年)(CIA The World Factbook)
8 主要貿易品目
- (1)輸出
- 石油、天然ガス、石油精製品、鉄くず、金(2021年)(CIA The World Factbook)
- (2)輸入
- 石油精製品、自動車、放送機器、タバコ、宝飾品(2019年)(CIA The World Factbook)
9 主要貿易相手国
- (1)輸出
- イタリア、中国、ドイツ、スペイン、UAE(2019年)(CIA The World Factbook)
- (2)輸入
- 中国、トルコ、イタリア、UAE、エジプト(2019年)(CIA The World Factbook)
10 通貨
リビア・ディナール(LD)
11 為替レート
1米ドル=4.82LD(2023年12月:リビア中央銀行)
12 経済概況
- (1)リビアはアフリカ第1位(世界第10位)の原油埋蔵量(約484億バレル)を誇る資源大国であるが、2020年1月から約8か月間、LNA側により東部及び中央部の石油施設が封鎖されたことから、経済的に大きな打撃を受け、2020年のGDP成長率はマイナス30%超に達した。リビア石油公社は封鎖による損失額を約110億ドルと算定している。
- (2)2019年4月に始まったトリポリ南部を中心とする軍事衝突の影響もあり、首都トリポリや東部のベンガジといった都市では頻繁に停電や断水が発生し、経済活動や市民生活にも大きな影響を与えていたものの、原油価格高騰の後押しも受けて、2021年には31.4%のプラス成長を記録する等、経済は回復傾向にあり、電力供給も大きく改善している。
二国間関係
1 政治関係
- (1)外交関係樹立 1957年6月
- (2)公館設置
-
- 我が方公館
- 1973年1月 大使館開設
- 2014年7月 カイロへ退避
- 2018年3月 カイロからチュニスへ移転
- 2024年1月 大使館再開
- 先方公館
- 1971年8月 大使館開設
- 1980年1月 人民事務所へ改称
- 2011年9月 リビア大使館へ改称
2 経済関係
- 日本との貿易関係
-
- (1)貿易額
- 対日輸出 0円(2022年、財務省貿易統計)
- 対日輸入 58.09億円(2022年、財務省貿易統計)
- (2)貿易品目
- 対日輸出 なし
- 対日輸入 自動車、一般機械
- 二国間関係強化の取組
-
- (1)経済フォーラム、セミナーの実施
- 2023年2月28日:第1回ビジネス・オンライン会合
- 2023年6月19日:第2回ビジネス・オンライン会合
- 2024年1月24日:第1回日本・リビア経済フォーラム(東京)
- (2)官民経済ミッションの派遣
- 2012年1月24日~26日:官民合同経済ミッション(トリポリ)
3 経済協力関係
- (1)2005年12月のDACリスト改訂に伴い、ODA対象国リストに追加され、2014年までは技術協力を実施。2014年の情勢不安定化に伴い、技術協力は一時中断した状況にあったが、2018年度以降、ABEイニシアティブによる留学生受け入れやJICAによる課題別研修を実施。
- (2)2011年の内戦以降、国際機関を経由した支援は、2014~15年度を除いて継続的に実施。2022年度はリビアの食料安全保障の改善のため、2億円の食糧援助(WFP連携)や50万ドルの緊急無償(WFP連携)を実施。2023年度は、東部で発生した洪水被害に対し、IOM及びUNICEFを通じ、保健、一時的避難施設、生活必需品、水・衛生及び子供の保護の分野で300万ドルの緊急無償資金協力を実施。また、JICAを通じ、テント、毛布、浄水器等の緊急援助物資を供与。
4 文化関係
2011年の内戦以来、政府レベルでの文化交流、文化事業は行われていない。
5 在留邦人数
17名(2023年10月、海外在留邦人数調査統計)
6 在日当該国人数
69名(2023年6月、在留外国人統計)
7 要人往来(2000年以降)
年月 | 要人名 |
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2004年6月 | 逢沢一郎外務副大臣(総理大臣特使) |
2004年12月 | 福島啓史郎外務大臣政務官 |
2005年3月 | 柿澤弘治元外務大臣(外務大臣親書携行) |
2005年11月 | 日本AU友好議員連盟北部アフリカ訪問団(団長:尾身幸次元科学技術担当大臣) |
2006年4月 | 町村信孝元外務大臣、柿澤弘治元外務大臣(日本・リビア友好協会会長) |
2006年8月 | 松田岩夫内閣府科学技術政策・IT担当大臣(総理大臣特使) |
2007年6月 | 岩屋毅外務副大臣 柿澤弘治元外務大臣(日本・リビア友好協会会長) |
2012年3月 | 山根隆治外務副大臣 |
年月 | 要人名 |
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2000年2月 | ズリティニ経済貿易相 |
2002年9月 | ズリティニ・リビア国営石油公社総裁(第8回国際エネルギーフォーラム) |
2003年9月 | シアラ副外相(TICAD III) |
2004年8月 | シアラ副外相 |
2006年7月 | ガーネム・リビア国営石油公社総裁(前首相) |
2008年1月 | シアラ副外相(カダフィ指導者特使) |
2008年5月 | バラーニ副外相(TICAD IV) |
2008年10月 | バグダーディ教育相 |
2009年3月 | バラーニ副外相 |
2012年6月 | ベン・カイヤール外務国際協力相 |
2012年9月 | ジャブリール社会相 |
2013年6月 | アブドルアジーズ外相(TICAD V) |
2013年10月 | フィトゥーリ工業相(水銀に関する水俣会議) |
2013年12月 | アル・ガーウィ副工業相 |
2019年8月 | シヤーラ外相(TICAD7) |
2024年1月 | ラーフィー首脳評議会副議長、アウン石油・ガス相、バーウール外務・国際協力相代行 |
8 二国間条約・取極
なし