中南米

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第2回・日カリコム外相会議
(概要と評価)

平成22年9月2日


1 概要

  1. (1) 9月2日,カリブ地域14か国が加盟するカリブ共同体(カリコム)諸国の外相等(注)を東京に招き,2000年の第1回会議以来,10年ぶりに第2回日・カリコム外相会議を開催。会議では,日・カリコム協力及び国際社会の諸課題について,概要以下のような議論を行った。
    1. 議題1「今後の日・カリコム協力」
      • 岡田大臣から,第1回外相会議以降の10年間における我が国の対カリコム協力を振り返りつつ,脆弱性の克服と人間の安全保障の推進,環境・気候変動やハイチ復興支援を新たな柱に据えた今後の日・カリコム協力の方向性を説明した。
      • カリコム諸国からは,日本のこの10年間の支援を高く評価するとともに,謝意を表明した。また,基本的な国民のニーズへの対応,能力開発やガバナンスがカリコム諸国政府の役割として重要であり,人間の安全保障等を含む我が国の新たな日・カリコム協力は,この点でカリコム側の要請に合致するものと評価した。
    2. 議題2「環境及び気候変動」
      • 岡田大臣から,カリコム諸国の気候変動対策支援に引き続き積極的に取り組む考えを伝えつつ,すべての主要国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みを構築するために,「コペンハーゲン合意」を踏まえて,新しい一つの包括的な法的文書をできるだけ早く採択することが不可欠として,年末に開催される気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)に向けた協力を呼びかけた。
      • カリコム諸国からは,気温の上昇がカリコム諸国にもたらす深刻な影響について説明の上,自然災害への対策のための資金が不足していると述べた。
      • 岡田大臣から,本年10月に我が国で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向け,生物多様性を守る国際的な取組を前進させることが重要であり,カリコム諸国と協力していきたいと述べた。
    3. 議題3「経済危機」
      • カリコム諸国から,2008年のリーマンショックによる経済危機により経済成長が低迷するとともに,債務も増大し,現在も困難な状況が続いていることを説明した上で,国際社会にこうした状況を理解してもらうため,我が国の協力を要請した。
      • 岡田大臣からは,世界経済全体の回復のためにも,まずは我が国の経済の回復に努めるとともに,カリコム諸国を含め経済危機の影響を受けている脆弱国に対し,可能な限り支援を行っていく考えであると述べた。
    4. 議題4「ハイチ復興支援」
      • ドゥラトゥール・ハイチ観光相から,地震による被害及び今後必要となる支援について説明があった。また,カリコム諸国からは,復興における民間セクターの重要性につき言及があった。
      • 岡田大臣から,我が国はハイチの安定と発展がカリブ地域を含めた中南米地域の安定に不可欠であるとの認識の下,総額約1億ドルの支援を表明するとともに,自衛隊施設部隊約350名を国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)に派遣していることを紹介し,カリコムがハイチ支援において地域共同体として一致した対応をとっていることを評価した。また,本年11月に行われる大統領選挙等の民主的で円滑な実施のため,ハイチ政府の努力を求めるとともに,我が国としても必要な協力を行う考えを表明した。
  2. (2) 以上の議論の結果,第2回日・カリコム外相会合の成果文書として,「日本とカリコム諸国との平和・開発・繁栄のためのパートナーシップ」を採択した。また,我が国は,同成果文書に基づき今後3年程度のうちに実施する具体的な対カリコム協力を示した「日本・カリコム・パートナーシップ・プログラム」を発表した。さらに,岡田大臣から,今後は10年に一度でなく,より頻繁に外相会議を開催していきたいと表明し,カリコム諸国もこれを歓迎した。

2 評価

  1. (1) 第1回日・カリコム外相会議から10年の節目となる本年,第2回外相会議を再び東京で開催し,新たな日・カリコム協力の方向性を示したことは,我が国のカリブ地域に対する積極的な外交姿勢を示すとともに,伝統的に良好なカリコム諸国との関係の更なる緊密化につながった。
  2. (2) 環境・気候変動等の国際社会の諸課題について議論することを通じ,国際場裡において共通の立場をとることが多く,一定の存在感を有するカリコム14か国に対し,我が国の立場への理解・支持を促すことができた。
(注)第2回日・カリコム外相会議へのカリコム諸国等代表
  • アンティグア・バーブーダ:リバプール駐日大使
  • ガイアナ:バーケット外相
  • グレナダ:デービッド外相
  • ジャマイカ:ボー外相
  • スリナム:スックナンダン駐ガイアナ,駐ジャマイカ,カリコム担当大使
  • セントクリストファー・ネーヴィス:欠席
  • セントビンセント:ストレーカー外相
  • セントルシア:ブースケイ外相
  • ドミニカ:バーナード外務担当国務相
  • トリニダード・トバゴ:ランバチャン外相
  • ハイチ:ドゥラトゥール観光相
  • バハマ:キャンプベル駐中国大使
  • バルバドス:マクリーン外相
  • ベリーズ:エルリントン外相
  • カリブ共同体(カリコム):グリーン事務局長補
  • 東カリブ諸国機構(OECS):セバリン対外協力部長
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