中南米

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第4回FEALAC外相会合東京宣言(要約)

平成22年1月17日

1.【序文】

  • 1月16日、17日、東京において会合。モンゴルの新規加盟を歓迎。

2.【FEALACの10年と未来】

  • FEALACが発足して10年が経過。アジアと中南米の関係は特に貿易を中心に深化。ミッシング・リンクといわれた両地域の関係は広がりと深みを増している。
  • ベストプラクティスの相互学習、交流と協力による相互利益の増進、地球規模課題解決のための協力を進めることができるユニークなフォーラムであることを確認。
  • アジア中南米両地域間の協力の大きなポテンシャルを最大限活用し、また、今日および将来に世界が直面する大きな課題に共に取り組むことをコミット。

3.【FEALAC加盟国が直面する共通課題】

(1)(金融・経済危機)
  • 世界経済は回復期へ移行。G20が危機克服へ果たす役割を認識。過去の経済危機の経験やこれを踏まえた堅実な財政・金融政策が、今次危機への対応で生きたことを評価。
  • 経済危機が最も脆弱な国々に負の影響を与え続けていることに注視。賢明な財政政策及び金融政策運営、及び特に貧困層への危機の影響を軽減し、将来の危機の芽を摘む戦略を立てることの重要性を認識。保護主義への対抗と2010年中のWTOドーハラウンド交渉の野心的かつバランスのとれた妥結を通じた貿易・投資の促進が重要。国際金融機関の、金融規制及び国際金融機関の機構・ガバナンスの改革の重要性を認識。この観点から2009年9月のピッツバーグで立ち上げられた「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」を歓迎。
  • 飢餓、栄養不良、食料不安を軽減する国際的、地域的努力を支持。これには、農業分野における研究、開発、技術移転も含まれる。
(2)(社会的包摂)
  • 経済成長は、社会的包摂を伴うものでなければならない。現在の経済危機が特に最も脆弱な貧困層に影響していること、内需拡大が危機克服の鍵であることを認識。ソーシャル・セーフティネットの構築及び個人所得の向上を通して持続的に個人および集団的な厚生を向上するための各国の努力を支えるための国際的な協力の重要性を強調。
  • 移民労働者の重要性を認識。2010年にメキシコで開催される第4回人の移動と開発に関するグローバル・フォーラムを歓迎。
  • 貧困層の技術を強化し、雇用を創出する包摂的な発展を促進することの重要性を認識。貧困削減や食料安全保障の分野等におけるミレニアム開発目標の達成等の実現への努力に向けた協力の重要性も認識。社会的包摂をFEALACの取り組むべき主要課題の一つとすることで合意。
(3)(環境・持続可能な発展)
  • 環境問題は全人類的課題。特に脆弱層への影響は大きい。協調的かつ組織的な行動が必要。FEALACは、経験共有、協力促進に適した枠組み。経験や技術の共有、キャパシティビルディング、知識と知恵の共有、特に開発と環境に優しい技術の移転を通した協力と相互学習が有益。
  • 共通に有しているが差異のある責任と各国の能力の原則に基づき、気候変動問題に取り組むことを確認。コペンハーゲンのCOP15の結果を踏まえ、気候変動枠組みの強化をはかるため多くの作業がなされなければならないことを認識。2010年メキシコ開催予定のCOP16/MOP6に建設的に取り組むことをコミット。
  • 環境問題への取組と経済発展が両立する方策を探る必要性を強調。この国際的協調により特に途上国への環境技術の移転につながることを認識。多くの国で経済刺激策に環境関連投資が含まれていることを歓迎する一方で、財政、金融規制が環境投資を弱めていること、各国の環境関連技術力の差を認識。この観点から特に途上国が環境物品及びサービスの貿易から利益を得、国際的な環境協定の目標を達成するためのグローバルな努力に貢献できるようにするため、グリーン産業の発展のためのよりよい条件を確保する必要性を確認。また、WTOドーハラウンドにおける環境関連物品の関税撤廃、引き下げの議論に積極的に参加することの重要性を強調。
  • 持続可能な成長を実現する環境にやさしい措置を実施するため、FEALACメンバー国が有する豊富な自然を活用すべきということで一致。天然資源を管理・規制する国家の主権原則を認識。特に、アグロフォレストリー、持続可能な森林経営、エコツーリズム等の分野での協力を奨励。生物多様性の保護の重要性も強調。名古屋で開催されるCOP10で、2010年以降の目標が設定されるよう協力することを確認。
(4)(その他の地球規模課題)
(a)核軍縮・不拡散
  • 核軍縮・不拡散・原子力エネルギーの平和利用の分野での努力を強化することで一致。核兵器不拡散条約(NPT)体制の強化のため、2010年NPT運用検討会議の成功に向け協力する。
  • 6者会合の再開を通じた2005年9月の共同声明の完全実施の重要性を認識。
(b)国連改革
  • 国連を中心に据えた多国間主義に対する強い信頼及び国連憲章の原則の支持を確認。国際連合をより効果的かつ民主的で、説明責任を有する、効率的かつ透明性のあるものとするため安保理改革を含む国連改革の必要性を認識。2005年10月の国連総会決議へのコミットメントを確認。
(c)人権
  • 関連国際人権規約等の実施と批准を通した、人権の促進及び保護へのコミットメントを確認。
(d)国際組織犯罪
  • 国際組織犯罪が及ぼす影響への懸念を表明。国際組織犯罪条約の履行及び普遍性を確保するための努力への決意を表明。同分野における経験と知恵の共有を行う。
(e)防災
  • 災害がもたらすアジア中南米地域への経済社会的影響に留意。FEALACにおける情報共有、技術協力等の地域間協力強化の重要性を確認。
(f)新型インフルエンザへの対応
  • 新型インフルエンザの対応には迅速な情報共有と協力が重要と認識。両地域間で経験の共有をし、将来起きうる感染症への準備を高めることを強調。

4.【FEALACの展望】

  • 3つの作業部会の活動を評価。各国が行ってきたプロジェクトが相互理解及び両地域間協力を深めてきたことを歓迎。
  • FEALACの活動がより焦点の絞られたものである必要性を認識。現在行われている活動を見直し、整理し、両地域共通の関心を反映した協力分野を特定する必要性を確認。
  • 今後、作業部会の活動を通して、経済危機や環境保護及び気候変動への対応も含む持続可能な発展、社会的包摂などに取り組むことを決定。それぞれ3つの作業部会での活動に優先分野を設定。
    1. (1)政治・文化・教育・スポーツ作業部会
      • 学術的、文化的、知的交流
      • 国会議員、行政官、ジャーナリストの交流
      • 環境に対する意識の向上
      • 社会的包摂の手段としてのスポーツ
    2. (2)経済・社会作業部会
      • 環境と持続可能な発展
      • 貧困削減と社会的包摂
      • 貿易・投資の促進
      • 情報通信技術(ICT)の振興
      • 中小企業支援
      • 観光
      • 国際的移住
      • インフラ及び統合
    3. (3)科学技術作業部会
      • 新エネルギー及び再生可能エネルギー
      • 温室効果ガス削減技術
      • 災害リスク軽減及びマネジメント
      • 競争力強化のための技術革新
      • 感染症の予防及び管理
  • 今次外相会合において各国から表明されたイニシアティブやプロジェクトを歓迎。これらを通じFEALACでの交流と協力が増すことを期待。
  • その他、FEALACの運営体制強化のため、3つの作業部会を同じ場所で同時期に一括開催し、効率的な運営を目指すこと、外相会合等における決定事項をフォローするためのCoordinating Boardの設立を決定、韓国が運営している既存のFEALACウェブサイトを発展させつつサイバー事務局を設置すること、各作業部会でプロジェクト実施に際する協力の可能性について議論する時間を設けることを確認。また、SOMに対し、これまでの実績、加盟国に関する事項、フォーラムの将来の方向性について見直すよう求めた。

5.【アウトリーチ】

  • アジア中南米両地域に対するADB、IDBからの資金的貢献を認識。ECLAC、ESCAPの両地域感関係を促進するための努力を評価。今次会合で開催された国際金融機関との対話を継続させることの重要性を確認。
  • FEALACの広報、民間セクターとの連携強化の必要性を認識。

6.【結語】

  • 次期調整国のアルゼンチンとインドネシアを歓迎。

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