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日本・メコン地域諸国首脳会議
(成果と概要)

平成21年11月

 11月6日(金曜日)及び7日(土曜日)、総理官邸において、日本・メコン地域諸国首脳会議(以下「日メコン首脳会議」と表記)が開催され、またメコン地域各国首脳との個別の首脳会談が行われたところ、全体の成果と概要は以下のとおりです(出席者:鳩山総理(議長)、フン・セン・カンボジア首相、アピシット・タイ首相、ズン・ベトナム首相、テイン・セイン・ミャンマー首相、ブアソーン・ラオス首相)。

I.成果

II.概要

1.日メコン首脳会議

(1)総合的なメコン地域の発展(6日第1セッション)

(イ)総合的なメコン地域の発展のため、ハード及びソフト両面でのインフラ整備を整合性のとれた形で進める、また、官民の協力・連携の強化が重要であるとの認識で一致。

(ロ)鳩山総理から以下の3点を柱とした協力を行う旨表明。各国首脳から高い評価。

1)ハード及びソフトの両面でのインフラ整備支援

2)官民が一体となったオール・ジャパンでの取組強化(官民学の新たなフォーラムの立ち上げ等)

3)地域横断的な経済制度整備支援

(2)人間の尊厳を重んじる社会の構築(7日第2セッション)

(イ)経済格差、環境・気候変動、感染症、自然災害といった人間の安全保障上の問題に適切に対処することで、メコン地域の人々が尊厳をもって共に生きる社会、バランスのとれた持続可能な経済成長を実現できるとの認識で一致。

(ロ)環境・気候変動問題:「緑あふれるメコン(グリーン・メコン)に向けた10年」イニシアティブを開始し、日メコン間で協力を強化することで一致。鳩山総理から、「鳩山イニシアティブ」の趣旨に沿って、持続可能な森林経営、省エネルギー・クリーンエネルギー、水資源管理等の分野で、これまで以上に資金的、技術的にメコン地域を支援することを表明。

(ハ)脆弱性克服:保健・衛生、基礎教育、感染症対策、地雷及びクラスター弾を含む不発弾といった分野での協力の強化で一致。

(3)協力・交流の拡大(7日第2セッション)
 日メコン関係強化のため、議員交流、観光促進、文化遺産保護を含む分野での交流深化で一致。日本として、メコン地域各国から青少年を含め3年間で3万人をめどに日本に招へい。来年、奈良で日メコン古都シンポジウムを開催。

(4)メコン地域に対するODAの拡充(6日第1セッション)
 鳩山総理から、上記(1)~(3)の取組を進めるため、メコン地域を我が国ODAの重点地域として、メコン地域、地域全体及びカンボジア、ラオス、ベトナムに対するODAを拡充し、地域全体で今後3年間で合計5000億円以上のODA支援を実施する、我が国の官民の知見及び資産を動員して、この地域への協力を強化する旨表明。

(5)その他(7日第2セッション)

(イ)地域・国際情勢として、ミャンマー、北朝鮮、国連安保理改革について議論。

(ロ)首脳会議を毎年開催し、3年に1回は日本で、その間もASEAN関連首脳会議など国際会議の機会を利用して開催することで一致。外相会議及び経済大臣会合の定例化、高級実務者会合(SOM)の頻繁な開催でも一致。

2.各国首脳との二国間会談

(1)日ラオス首脳会談(7日11時40分~12時15分)

(イ)二国間関係総論
 鳩山総理から、メコン地域の要衝にあり今後の発展が期待されるラオスに対して引き続き協力を行っていく旨を表明。ブアソーン首相から、鳩山総理が主催した日メコン首脳会議の成果を高く評価。双方は明年の日ラオス外交関係樹立55周年の機会に両国関係を一層増進させていくことで一致。

(ロ)要人往来
 鳩山総理から、明年3月上旬にチュンマリー国家主席を訪日招待する旨述べ、ブアソーン首相は謝意とともにラオス政府として同時期の訪日に合意する旨発言。ブアソーン首相は鳩山総理のラオス訪問を招請し、鳩山総理は早期に訪問したい旨発言。

(ハ)経済協力
 ブアソーン首相から、ラオスの森林保全に関する取組を詳細に紹介。鳩山総理から、「緑あふれるメコン(グリーン・メコン)に向けた10年」イニシアティブの中で、官民一体となって環境分野の支援に前向きに取り組んでいきたい旨表明。また、双方はラオス及びメコン地域のインフラ整備等につき意見交換。会談終了後、財政強化支援のための円借款(15億円)の署名式を実施。

(ニ)経済
 鳩山総理から、ラオスのWTO加盟が早期に実現するよう協力していく旨述べ、ラオス側に対して一層の投資環境整備を働きかけ。ブアソーン首相から、「日ラオス官民合同対話」等を活用して日本の投資家の意見を取り入れたい旨発言。

(2)日ミャンマー首脳会談(7日13時30分~14時00分)

(イ)二国間関係全般
 冒頭、鳩山総理から、訪日を歓迎、ミャンマーの民主化と国民和解の進展、国際社会との関係改善及び国民生活の改善を強く期待する旨発言。テイン・セイン首相から、初めての訪日であり、日本側の温かいもてなしに感謝、日ミャンマー外交関係樹立(1954年)後の55年間にわたる長い友好関係が様々な分野で進められてきた、人道支援や、サイクロン・ナルギス被災への支援など日本による様々な支援に感謝する、今後は日本からの一層の投資や貿易の拡大の促進を期待、ミャンマーとしても投資環境改善などに努力したい旨発言。これに対し、鳩山総理から、ナルギス被災へのお見舞いの言葉を述べた上、投資環境改善に向けた努力に感謝する旨発言。

(ロ)民主化
 テイン・セイン首相から、7段階のロードマップに従って民主化プロセスを進めており、来年の総選挙はその第5段階になる、選挙関連の法律を適切な時期に発表できるよう努力している、いかなる人でも政党でも、また、現政権とは考え方の異なる人でも参加できるような方向で進めている旨発言。
 これに対し、鳩山総理から、2010年の総選挙にすべての関係者が参加できるように民主化プロセスが進展することを期待しており、いかなる人及び政党も参加できるようにしたいとのミャンマー政府の努力を評価する旨発言。
 鳩山総理から、ミャンマー政府とアウン・サン・スー・チー女史及びNLDとの間の実質的な対話が進展すること、及び2010年の総選挙までにスー・チー女史及びその他の政治犯が釈放されることが極めて重要であり、そうすれば国際社会から評価されることになる旨、更に、言論・集会の自由の改善、NLD地方支部の活動許可、ミャンマー政府と少数民族との実質的対話がなされることを期待する旨発言。また、鳩山総理から、このうちの政治犯の釈放、政府とスー・チー女史の対話の再開、米国との対話開始などいくつかについて既に進展があると承知しており、こうしたミャンマーによる前向きな動きを踏まえて、ミャンマーに対する人道支援及び人材育成分野の支援を段階的に拡大することを考えている、更に、2010年の総選挙が我々の期待する方向で行われれば、我が国として様々な支援を強めていくことができるようになる、是非2010年の総選挙を通じ、日ミャンマー関係がかつてのような友好的な関係になることを期待する旨発言。
 これに対し、テイン・セイン首相から、詳細な説明に感謝する旨発言。

(3)日ベトナム首脳会談(7日14時25分~14時55分)

(イ)二国間関係総論
 双方は、「戦略的パートナー」として様々な面での協力を推進していくことで一致。

(ロ)人的交流の促進
 ズン首相から、人的交流の促進が重要であり、鳩山総理には早期に訪越してほしい、また、ベトナム人の日本留学、日本からのベトナム修学旅行を推進していきたい旨発言。鳩山総理から、人的交流の重要性を認識、自分(鳩山総理)への招待に感謝・検討したい旨発言。

(ハ)日越協力委員会
 双方は、日越協力委員会(注:両国外相が共同議長)第3回会合を早期に開催し、幅広い分野における協力関係について協議することで一致。

(ニ)経済協力
 ズン首相から、ホアラック・ハイテクパーク、南北高速道路、南北高速鉄道の3案件を含むいくつかの大型案件についてODAによる支援を要請。鳩山総理から、両国関係強化のためにODAを有効に活用していきたい、3案件については引き続き重視していく旨発言。また、ズン首相から、メコン河の水資源の有効的かつ持続的利用及び管理のため協力してほしい旨述べたのに対し、鳩山総理より、「グリーン・メコンに向けた10年」イニシアティブにおいて検討、協力していきたい旨発言。

(ホ)経済・産業協力
 ズン首相から、日越経済連携協定(EPA)で合意された協力の推進について要請。鳩山総理より、日越EPAの円滑な実施のため連携を強化したい旨発言。また、双方は、ベトナムが計画している原子力発電所建設や、環境に配慮した航空機の導入についての協力推進について協議。

(ヘ)安全保障・防衛等
 双方は、安全保障、防衛、防災や国境を越える犯罪等の分野において、様々なレベルでの交流や協力を一層推進していくこと及び日ASEAN関係の一層の発展のため緊密に連携していくことで一致。

(4)日カンボジア首脳会談(7日15時30分~16時15分)

(イ)二国間関係総論
 来年が二国間の友好条約調印55周年という記念すべき年に当たることを踏まえ、フン・セン首相から鳩山総理に対しカンボジア訪問を招請。鳩山総理からシハモニ国王の訪日招待を表明。

(ロ)経済協力
 フン・セン首相から、メコン河を越えるネアックルンにおける橋の建設は地域全体の経済発展にとり重要であるとして、引き続き日本に検討して欲しい旨発言。これに対し、鳩山総理から、同橋梁の地域全体における役割の重要性を認識しており、この案件を進めていきたい旨発言。また、フン・セン首相から、日メコン首脳会議で日本側が提示した、メコン地域全体に今後3年間で5000億円のODA供与を実施することに対する高い評価。

(ハ)経済
 フン・セン首相から、日本の民間企業によるカンボジアへの投資を一層促進したい旨発言。鳩山総理から、今般、JETROプノンペン事務所を開設することを決定した、カンボジアとの経済関係を強化していきたい旨発言。

(ニ)カンボジア・タイ関係
 鳩山総理から、カンボジア及びタイ両国間の最近の事態を心配している、ASEAN及びメコン地域の隣人として関係改善を願っている旨述べたのに対し、フン・セン首相からは、両国関係の歴史的背景を説明の上、ここ2~3か月の間に両国間で様々な言葉のやりとりがあるが、両国の国境地帯は安定している旨発言。

(5)日タイ首脳会談(7日16時35分~17時15分)

(イ)二国間関係総論
 両首脳は、皇室・王室の関係が両国関係にとって極めて重要であることで一致。アピシット首相から鳩山総理に対し日本・メコン地域諸国首脳会議の成功への祝意を伝達。

(ロ)経済
 アピシット首相から、日タイ経済連携協定(JTEPA)を最大限活用したい、中小企業を含む日本企業の活動については配慮する旨発言。鳩山総理から、日本企業のタイに対する関心は高く、引き続き投資環境の整備をお願いしたい旨発言。また、両首脳は、ドーハ・ラウンドの成功に向けて協力していくことで一致。

(ハ)環境
 アピシット首相から、鳩山総理の温室効果ガス削減目標を支持する、環境技術分野への日本の投資を歓迎する旨発言。これに対し鳩山総理から、日本国内では高い削減目標に対する批判はあるものの、日本が世界で責任を果たすことを求められている等発言。

(ニ)ミャンマー情勢
 鳩山総理から、先のテイン・セイン首相との会談での自分(鳩山総理)の発言を紹介。これに対しアピシット首相から、同国において対話が進展していることを評価、他方、選挙への野党の参加は決まっていない、ミャンマーに対して国際社会の間での協調がより十分に行われることが重要である旨発言。

(ホ)カンボジア・タイ関係
 鳩山総理から、フン・セン・カンボジア首相との会談での自分(鳩山総理)の発言を紹介。これに対しアピシット首相から、鳩山総理の心配に感謝するとともに、自分(アピシット首相)としては、本件が国際場裡や国民の生活に影響を与えるべきではない、個人間の問題を国家間の問題にするべきではない、今回の件は、タイの司法の問題にかかわるため、タイとして立場を示す必要がある旨発言。

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