イタリア共和国

基礎データ

令和6年10月2日
イタリア共和国国旗

一般事情

1 面積

30.2万平方キロメートル(日本の約5分の4)

2 人口

5,885万人(2023年、IMF)

3 首都

ローマ

4 言語

イタリア語(地域によりドイツ語、フランス語等少数言語あり)

5 宗教

キリスト教(カトリック)が国民の約80%といわれる。
その他、キリスト教(プロテスタント)、ユダヤ教、イスラム教、仏教。

6 国祭日

6月2日(1946年、国民投票により、従来の王制に代わり共和制を政体とすることが決められた日)。

7 略史

年月 略史
1861年3月 ヴィットーリオ・エマヌエーレII世、イタリア王国建設
(建国時の首都はトリノ、1864年にフィレンツェ、1870年にローマに遷都)
1922年11月 ファシスト党ムッソリーニ政権掌握
1929年2月 バチカンとラテラノ条約調印
1943年7月 ムッソリーニ政権崩壊
1945年12月 キリスト教民主党首班の第一次デ・ガスベリ内閣成立
1946年6月 国民投票で王制廃止
1948年1月 共和国憲法施行
1949年 NATO加盟(原加盟国)
1952年 欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)(後にEUに発展)に加盟
1955年12月 国連加盟
1962年2月 初の中道左派政権成立
1994年4月 キリスト教民主党中軸の戦後政治の終焉
1999年1月 ユーロ導入
2006年4月 総選挙にて中道左派連合の勝利
2011年11月 経済再建のためモンティ首相率いるテクノクラート内閣発足
2013年2月 総選挙にて「五つ星運動」が躍進
2014年2月 共和国史上最年少のレンツィ首相率いる内閣発足
2018年6月 コンテ首相率いる連立内閣発足(「五つ星運動」「同盟」)
2019年9月 第2次コンテ内閣が成立(「五つ星運動」「民主党」「自由と平等」)(成立直後、民主党の一部が分かれて「イタリア・ヴィーヴァ(IV)」を設立、引き続き与党として参加)
2021年2月 ドラギ首相率いる左右超党派の内閣が発足(「五つ星運動」「民主党」「同盟」「フォルツァ・イタリア」「自由と平等」「イタリア・ヴィーヴァ」)
2022年10月 メローニ首相率いる右派系内閣が発足(「イタリアの同胞」、「同盟」、「フォルツァ・イタリア」)

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

セルジョ・マッタレッラ大統領(2022年2月就任(2期目)、任期7年)

3 議会

  • 構成 上院・下院の二院制で任期は両院共に5年(両院の権限は同等)。
    ★マークは与党
    上院:議席定数200+終身議員5(2024年8月現在)
    会派 人数
    ★「イタリアの同胞」 63
    ★「同盟」・サルデーニャ行動党 29
    ★「フォルツァ・イタリア」・欧州人民党 19
    民主党・民主進歩主義イタリア 37
    「五つ星運動」 27
    「イタリア・ヴィーヴァ」・「イル・チェントロ」・「リニュー・ヨーロッパ」 7
    「自治のために」 6
    「イタリア市民」・「ノーイ・モデラーティ」・在外伊人連盟運動 6
    混合会派 11
    現議席数(終身議員を含む。) 205
    下院:議席定数400(2024年8月現在)
    会派 人数
    ★「イタリアの同胞」 117
    ★「同盟」 65
    ★「フォルツァ・イタリア」・欧州人民党 45
    民主党・民主進歩主義イタリア 70
    「五つ星運動」 51
    「アツィオーネ」・人民欧州主義改革派・「リニュー・ヨーロッパ」 12
    緑+左派連合 10
    「イタリア・ヴィーヴァ」・「イル・チェントロ」・「リニュー・ヨーロッパ」 9
    「ノーイ・モデラーティ我々穏健派」・在外伊人連盟運動 9
    混合会派 12
    現議席数 400

4 政府

  • メローニ内閣(2022年10月22日発足)
  • (1)首相:ジョルジャ・メローニ
  • (2)外務・国際協力相:アントニオ・タヤーニ

5 内政

(1)コンテ政権の発足
 2018年3月の上下両院議員選挙の結果を踏まえ、マッタレッラ大統領を中心とした各政治勢力間の連立協議を経て、「五つ星運動」と「同盟」の間で「変革のための政権協約」が作成された。これを受け、マッタレッラ大統領は、両党が推薦するジュゼッペ・コンテ・フィレンツェ大学教授を首班指名し、コンテ政権が発足した。
(2)第2次コンテ政権の成立
 2019年8月、インフラ計画等をめぐり「同盟」と「五つ星運動」の対立が再燃した結果、両党は連立を解消した。これを受け、マッタレッラ大統領は各議会会派と協議し、「五つ星運動」と「民主党」(中道左派)が連立形成に合意したことを受け、同年9月第2次コンテ政権が発足した。
(3)ドラギ政権の発足
 2021年1月、欧州安定メカニズム(ESM)や欧州復興基金をめぐり、連立与党に属しレンツィ元首相が率いる「イタリア・ヴィーヴァ」所属の閣僚2名及び政務次官1名が辞表を提出。その後、上下両院におけるコンテ政権に対する信任投票はいずれも可決されたが、上院の信任投票において絶対多数の賛成を得られず、連立与党が上院で過半数を維持できなくなった結果、連立与党内でコンテ首相への辞任圧力が高まり、1月26日、コンテ首相はマッタレッラ大統領に対し辞意を伝達した。マッタレッラ大統領は、現在の緊急事態に対処するためとして、非政党内閣に信任を与えるよう全政党に呼び掛け、ドラギ前欧州中央銀行総裁を首班指名。2月13日、ドラギ政権が発足した。
(4)メローニ政権の発足
 2022年7月、ウクライナ情勢の影響を受けた国内経済支援策の中身をめぐり、連立与党の一角を担う「五つ星運動」が、支援策に盛り込まれた一部の政策に反対し、議会での投票を欠席したことを受け、ドラギ首相は辞意を表明。マッタレッラ大統領の要請により、ドラギ首相は議会において説明を行ったものの、その後の信任投票において、「五つ星運動」に加え、「同盟」及び「フォルツァ・イタリア」も投票に参加しなかったことから、ドラギ首相は再度辞意を表明。マッタレッラ大統領は、ドラギ首相の辞表を受け取り、議会解散・上下両院議員選挙の実施を決定。同年9月に行われた上下両院議員選挙の結果、「イタリアの同胞」を中心とする「中道右派連合」が過半数の議席を獲得して勝利。同年10月、メローニ「イタリアの同胞」党首が、イタリア史上初めての女性首相として首班を務めるメローニ政権が発足。メローニ政権は、財源不足という根本的な問題を抱えながらも、安定した政権運営を継続。国内では特に不法移民対策、少子高齢化対策等に取り組んでいる。

外交・国防

1 外交

(1)全般
 欧州統合の積極的推進及び大西洋同盟の強化、国連を始めとする多国間枠組みの重視がイタリア外交の基本方針。
 イタリアは、その地理的、歴史的経緯から、地中海・中東諸国との関係も重視しており、2015年から毎年、地中海地域における諸課題をハイレベルで議論する「地中海対話」を現地シンクタンクとともに実施。
ドラギ政権においては、EU・NATO等に立脚した親欧州主義・大西洋主義という基本姿勢がより鮮明となり、環境問題や移民問題といった地中海特有のセンシティブな問題を共有する国との協力強化の姿勢を示した。
メローニ政権はドラギ政権の外交を継承しつつ、ウクライナ支援へのコミットメント、インド太平洋におけるプレゼンスの強化、アフリカへのより積極的な関与等、外交におけるイタリアのプレゼンス強化を進めている。
(2)国際場裏における活動
 G7の一員として国際的な発言力を維持。2016年G7伊勢志摩サミットに続く2017年のG7議長国をイタリアが努め、5月26及び27日、タオルミーナ(シチリア)においてG7サミットを開催した。
2017年の1年間、国際連合安全保障理事会非常任理事国を務めた。
2018年は欧州安全保障協力機構(OSCE)の議長国を務め、12月にミラノにて外相理事会を主催した。
2021年はG20議長国を務めたほか、英国とともに第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)を共催した。
2024年、イタリアはG7議長国を務め、6月13日から15日までプーリアにおいてG7サミットを開催した。
(3)海外派兵
 2024年時点、イタリア軍約7,800名がイタリア国外において34任務に従事しており、イタリアは、NATO、EU及び国連等の任務への派遣を通じて国際平和のための実務的貢献を果たしている。
ア レバノンにおいては、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に約1,200名規模の部隊を派遣中。
イ 対ISILへの有志連合に約700名を派遣中。
ウ リビアの「二国間支援作戦(MIASIT)」に約200名を派遣中。
エ 地中海における国益確保及び不法移民・人身売買対処に従事するリビア海軍・コーストガード支援のための「安全な地中海作戦(Operazione Mediterraneo Sicuro)」に艦艇・航空機を展開中。
オ NATOによるコソボへの国際安全保障部隊(KFOR)に約800名を派遣中。

2 軍事力(2023年ミリタリーバランス)

(1)予算
約301億ユーロ
(2)兵役
2005年から完全志願制に移行
(3)兵力
軍人 約160,900人
予備役 約14,500人

経済

1 主要産業

機械、繊維・衣料、自動車、鉄鋼等

2 概況(2024年、IMF)

  2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
名目GDP(億ドル) 20,100 19,000 21.600 20,700 22,600 23,300
一人当たりGDP(ドル) 33,630 31,790 36,400 35,040 38,330 39,580
経済成長率(%) 0.5 -9.0 8.3 4.0 0.9 0.7
物価上昇率(%) 0.6 -0.1 1.9 8.7 5.9 1.7
失業率(%) 9.9 9.4 9.5 8.1 7.7 7.8

3 総貿易額(2023年、イタリア国家統計局)

(1)輸出:
約6,261億ユーロ
(2)輸入:
約5,917億ユーロ

4 主要貿易品目(2023年、イタリア国家統計局)

(1)輸出:
機械、金属製品、繊維・衣料品・皮革製品、輸送機器
(2)輸入:
鉱物・石油・天然ガス、金属製品、化学品、輸送機器

5 主要貿易相手国(2023年、イタリア国家統計局)

(1)輸出:
ドイツ、フランス、米国、スイス、スペイン
(2)輸入:
ドイツ、中国、フランス、オランダ、スペイン

6 通貨

 ユーロ

7 経済概況

 イタリアは、世界第8位の経済規模を有し、欧州ではドイツに次ぐ製造業大国。2023年の経済成長率は0.9%で、欧州の中では比較的好調(ドイツ△0.3%、フランス0.7%)。
 経済政策においては、エネルギー価格高騰対策等の国民生活を直接支援する対策を実施しつつ、コロナ禍で大幅に悪化した財政の改善に努力しており、財政収支GDP比の赤字は縮小(2020年▲9.4%から2023年▲7.2%)。政府債務残高GDP比は、依然としてG7で日本に次ぐ高水準ではあるものの、安定的に低下(2020年154.9%から2023年137.3%)。
 また、潜在成長力を高めるとともに、長期的な課題に対処するため、EUの復興・強靭化基金を活用して、グリーン化・デジタル化投資の促進、南北格差是正のための南部へのインフラ投資の拡大等の施策を進めている。

二国間関係

1 政治関係

  • (1)両国は伝統的に友好関係にあり、G7等の場でも協力。
  • (2)2016年は日伊国交150周年という節目の年に当たり、また、我が国がG7議長国であったことから、多くの要人往来が実現した。3月、岸田外務大臣がローマを訪問し、また、5月には安倍総理大臣がフィレンツェ、麻生副総理・財務大臣がローマを訪問した。さらに、5月に秋篠宮同妃両殿下がローマ、ミラノ、ボローニャ、フィレンツェ等を公式に御訪問された。6月、木原外務副大臣及び若宮防衛副大臣がローマを訪問した。イタリア側からは、G7サミット関連会合のため、ジェンティローニ外相(4月)、マルティーナ農林政策相(4月)、ジャンニーニ教育・大学・研究相(5月)、ガッレッティ環境相(5月)、パドアン経済財政相(5月)、レンツィ首相(5月)、デルリオ・インフラ・運輸相(9月)が訪日した。
  • (3)2017年3月、安倍総理はローマを訪問し、ジェンティローニ首相と日伊首脳会談を実施した。また、4月のG7ルッカ外相会合の機会には、岸田外務大臣がルッカを訪問し、アルファーノ外相と日伊外相会談を行った。5月には、ピノッティ国防相が訪日し、岸田外務大臣との間で防衛装備品・技術移転協定の署名を行った。さらに同5月、G7サミット出席のため、安倍総理はタオルミーナ(シチリア)を訪問した。同11月、国際会議WAW!2017参加のため、ボスキ官房長官が訪日した。
  • (4)2018年6月、G7シャルルボワ・サミットに際し、安倍総理はコンテ首相と日伊首脳会談を実施した。9月、小野寺防衛大臣がローマを訪問し、トレンタ国防相と会談を行った。11月、河野外務大臣が「地中海対話」出席のため、ローマを訪問し、モアヴェロ=ミラネージ外相との会談、コンテ首相への表敬を行った。
  • (5)2019年、我が国はG20議長国を務め、また、即位礼正殿の儀が執り行われたことから、多くの要人往来が実現した。4月、安倍総理大臣がローマを訪問し、コンテ首相と首脳会談を実施した。6月には、コンテ首相がG20大阪サミット出席のため、訪日した。8月、河野外務大臣が国際会議出席のためにヴェネツィアを訪問した。10月、即位礼正殿の儀に参列するため、アルベルティ=カゼッラーティ上院議長が訪日した。12月には、若宮外務副大臣がローマを訪問し、「地中海対話」に出席した。イタリア側からは、G20サミット関連会合のため、チェンティナーイオ農林政策・観光相(5月)、トリーア経済財政相(6月)、ジェラーチ経済振興政務次官(6月)、コスタ環境・国土海洋保全相(6月)、クリッパ経済振興政務次官(6月)、コミナルディ労働・社会政策政務次官(9月)、スペランツァ保健相(10月)、ボナッコルシ文化財・文化活動・観光政務次官(10月)、デル・レ外務・国際協力副大臣(11月)が訪日した。
  • (6)2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、要人往来が制限される中、3月、茂木外務大臣はディ・マイオ外相と電話会談を実施したほか、5月には、加藤厚生労働大臣とスペランツァ保健相、河野防衛大臣とグエリーニ国防相との間で、それぞれウェブ会議、電話会談が行われた。10月、菅総理大臣はコンテ首相と電話会談を実施した。
  • (7)2021年は、イタリアがG20議長国を務めたことから、日本から多くの閣僚がイタリアを訪問した。3月、菅総理大臣はドラギ首相と電話会談を実施したほか、茂木外務大臣は、5月、G7外務・開発大臣会合(英国)の際、及び6月G20外務・開発大臣会合(イタリア・マテーラ)の際に、林外務大臣は、第2回G7外務・開発大臣会合(英国)の際に、ディ・マイオ外相と会談を実施した。
  • (8)2022年4月、グエリーニ国防相が訪日し、岸防衛大臣と会談を実施した。5月には、岸田総理大臣はイタリアを訪問し、ドラギ首相と首脳会談及びワーキング・ランチを実施した。9月、故安倍晋三国葬儀にメッサ大学・研究相が参列したほか、レンツィ元首相も参列のため訪日し、岸田総理大臣と会談を実施した。11月、岸田総理はメローニ首相と初めての電話会談を行い、メローニ首相の就任についての祝意を伝えた。また、ドイツでのG7外相会合に出席中の林外務大臣はタヤーニ外相と会談を行い、タヤーニ外相の就任に祝意を示した。また、12月には、日伊英3か国による次期戦闘機の共同開発合意が行われた。
  • (9)2023年1月、岸田総理大臣はイタリアを訪問し、メローニ首相と首脳会談及びワーキング・ランチを実施し、両首脳は、日伊関係を「戦略的パートナー」に格上げすることで一致した。4月には、G7長野県軽井沢外相会合において、林外務大臣はタヤーニ外相と会談を行った。また、G7広島サミットでは、岸田総理大臣とメローニ首相が首脳会談を行い、日伊映画共同製作協定の交渉が妥結したことを歓迎した。6月には、岸田総理大臣の特使として、甘利衆議院議員(日本・イタリア友好議連会長)が、ミラノにて行われたシルビオ・ベルルスコーニ・イタリア共和国上院議員の葬儀に出席した。6月には、林外務大臣と訪日中のサンジュリアーノ文化相との間で、日伊映画共同製作協定への署名を行った。11月、上川外務大臣は、G7外相会合のマージンにおいてタヤーニ外相との懇談を行った。また、12月には、COP28に出席するためにドバイを訪問中の岸田総理大臣は、メローニ首相との間で会談を行った。
  • (10)2024年2月、メローニ首相は日本を訪問し、岸田総理大臣との首脳会談を行った。2024年はイタリアがG7議長国を務めていることから、日本から岸田総理及び多くの閣僚がイタリアを訪問している。岸田総理は、6月にプーリアにて開催されたG7首脳会合の際にイタリアを訪問し、メローニ首相と懇談をした。また、上川外務大臣は、4月にカプリ島で開催されたG7外務大臣会合及び7月にレッジョ・カラブリアで開催されたG7貿易大臣会合に出席した。

2 経済関係

(1)貿易額・主要貿易品目(財務省貿易統計)
表:貿易額
日本からイタリアへ
金額(億円)
イタリアから日本へ
金額(億円)
収支
2019 5,013 12,647 -7,634
2020 4,032 11,198 -7,166
2021 5,492 12,808 -7,316
2022 6,978 15,648 -8,670
2023 8,517 16,865 -8,348

 日本からイタリアへ:輸送機械、機械設備、金属製品
 イタリアから日本へ:服飾・皮革・アクセサリー、飲食料品・タバコ、輸送機械
 (2023年、イタリア外務・国際協力省)

(2)進出企業
 イタリアに進出している日本企業の拠点数は394社(2023年、海外進出日系企業拠点数調査)
(3)直接投資残高(2023年末:日本銀行国際収支統計)
 日本からイタリアへ:7,416億円
 イタリアから日本へ:871億円
(4)日伊ビジネス・グループ(IJBG)
 両国民間企業を主体とした、主にア 貿易、イ 投資、ウ 第三国市場協力促進のための交流組織(日本側会長:宮永俊一三菱重工業株式会社取締役会長、イタリア側会長:ロベルト・チンゴラーニ・レオナルド社CEO)。1989年以降、年一回の合同会議を日本、イタリアの両国で交互に開催し、日伊経済関係の強化のため活動している。2019年11月に第31回合同会議が東京で実施された後、新型コロナの影響により中断されていたが、2022年12月に第32回合同会議をヴェネツィアにて開催。2023年11月には、第33回合同会議が東京にて開催された。

3 文化関係

  • (1)1955年に締結された日伊文化協定に基づき、これまでに文化混合委員会を10回開催。国際交流基金のローマ日本文化会館及び東京にあるイタリア文化会館に加え、民間では日伊協会(島田精一会長)及び伊日財団(ウンベルト・バッターニ会長)を始めとして数多くの企業・団体がそれぞれ文化交流事業を推進している。また、イタリアでの日本研究者の組織としては伊日研究学会(AISTUGIA)(1973年発足)が、日本でのイタリア研究者の組織としてはイタリア学会(1952年発足)がある。現在、日本研究で学士が取得できる5つの大学(ナポリ「オリエンターレ」大学、ヴェネツィア「カ・フォスカリ」大学、ローマ「サピエンツァ」大学、フィレンツェ大学、トリノ大学)では日本研究専攻学生の必須科目として、その他の大学では選択外国語科目として日本語が教えられており、イタリア国内における日本語学習者数は約7,000名程度とされる(国際交流基金2015年度日本語教育機関調査より)。
  • (2)日伊国交150周年に当たる2016年、日本及びイタリア各地において、300を超える様々な文化事業が実施された。イタリアにおいては、5月に秋篠宮同妃両殿下御臨席の下での「コロッセオ・ライトアップイベント」点灯式が行われたほか、ローマ・クイリナーレ宮美術館での「日本仏像展」(7月~9月、文化庁主催)、ミラノ・レア-レ宮での「北斎・広重・歌麿」浮世絵展(9月~2017年1月)、クロージングではウッフィーツィ美術館での美術展「花鳥風月 屏風・襖にみる日本の自然」(10月~翌年1月、文化庁主催)など、多彩な日本文化紹介事業が開催され大きな反響を呼んだ。
  • (3)例年、夏には、ローマ市内のテヴェレ川の中州であるティベリーナ島の映画祭「イゾラデルチネマ」において、日本映画の上映、日本酒紹介、伝統芸能の披露やデモンストレーション等が実施されるほか、イタリア最大のポップカルチャーの祭典である「ルッカ・コミックス&ゲームス」において日本文化紹介を実施している。さらに、スポーツ交流や、両国間の40の姉妹・友好都市交流を中心とした自治体間の文化イベントなども活発に行われているほか、世界遺産に登録されてさらにブームとなっている和食の普及、理解促進のための行事も各地で実施されている。
  • (4)在イタリア日本国大使館は、2023年6月ナポリにて第1回、2024年3月フィレンツェにて第2回SAKEキャラバンを開催した。同イベントは、日本酒造青年協議会により叙任された酒サムライや蔵元の参加も得て、日本のお酒の魅力を紹介し、イタリアの特産物とのペアリングを提案することにより、当地においても、特別な機会だけではなく、日常生活の中で日本のお酒を気軽に楽しんでもらえることを目指したもの。地元の特産品と日本酒のペアリングを体験した参加者からは大変好評を博した。
  • (5)2024年8月、「映画共同製作に関する日本国政府とイタリア共和国政府との間の協定(日伊映画共同製作協定)」が発効した。2023年6月、林外務大臣と訪日中のジェンナーロ・サンジュリアーノ文化相との間で署名が行われた同協定は、両国の映画製作団体間の交流を強化し、両国間の映画共同製作を拡大することを目的としており、同協定に基づく承認を受けた共同製作映画が、両国それぞれにおいて、自国の映画に与えられる、又は与えられる可能性のある全ての特典を享受する権利を有する旨等を定めている。我が国が映画共同製作協定を締結したのは、イタリアが2番目。この協定により、両国間の映画共同製作の拡大を通じて、イタリア映画市場への我が国企業の一層の進出が促進されるとともに、両国映画業界の相互理解の促進及び人材交流の一層の活発化、また、共同製作映画を通じた両国国民の相互理解の促進が期待される。

4 被災地支援

  • (1)ラクイラ地震
    2010年1月、2009年のラクイラ地震被害に対する日伊間の具体的協力として、日本の耐震技術を活用した体育館兼避難所の建設及び建築家の坂(ばん)茂氏の設計によるコンサートホールの建設のために、それぞれ576万ユーロ、60万ユーロが日本政府からイタリア側に供与された。コンサートホールでは、2011年5月7日、日本から指揮者の西本智実氏を迎え、落成コンサートが開催された。その他、日本で募られた義援金が、ラクイラ大学に対しその復興を目的として供与された。
  • (2)東日本大震災
    2011年3月11日の東日本大震災に際しては、ナポリターノ大統領ほかイタリア要人からお見舞いの言葉が寄せられた。4月5日にイタリア外務省で開かれた「日本に対する友情と連帯」会合(上院外交委員長、外相、教育相ほか出席)を始めとして、各地で我が国を支援するための官民の団体による多くの行事が開催された。また、2012年3月、駐イタリア日本大使公邸において追悼行事が行われ、ナポリターノ大統領等イタリア要人が参列した。
  • (3)イタリア中部地震
    2016年8月24日のイタリア中部地震に際しては、在イタリア邦人社会から被災地支援に向けた積極的な動きが見られた。こうした個別の取組を支援・後押しするため、在イタリア日本大使館から現地の商工会議所や日本人会に対し、義捐金募金実施の呼び掛けを行った。
  • (4)エミリア=ロマーニャ州大規模洪水
    2023年5月23日のエミリア=ロマーニャ州での集中豪雨により発生した大規模洪水に際しては、在イタリア日本国大使館の呼びかけにより、日系団体等が義援金の募金を行った。
  • (5)新型コロナウイルス感染症
    2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症が拡大し、多くの犠牲者、医療状況のひっ迫が発生する中で、日本企業等が医療機器・物資の供給・提供を行う動きが見られた。

5 在留邦人数

11,856人(2023年、外務省統計)

6 在日イタリア人数

5,251人(2023年末、法務省統計)

7 要人往来(2000年以降)

(1)往
要人名
2000年 河野外務大臣、森総理大臣
2001年 小泉総理大臣・田中外務大臣・塩川財務大臣(ジェノヴァ・サミット及び関連G8会合)、石原行政改革担当大臣
2002年 武部農林水産大臣(世界食糧サミット5年後会合)、坂口厚生労働大臣、竹中経済財政政策担当大臣、尾身沖縄及び北方対策担当大臣、片山総務大臣、清子内親王殿下
2003年 綿貫衆議院議長、常陸宮同妃両殿下、小池環境大臣、亀井農林水産大臣
2004年 竹中金融・経済財政担当大臣、石原国土交通大臣
2006年 河野衆議院議長
2007年 久間防衛大臣、鳩山法務大臣
2008年 福田総理大臣、甘利経済産業大臣、若林農林水産大臣、河野衆議院議長
2009年 麻生総理大臣、与謝野財務大臣、中川財務大臣、二階経済産業大臣、石破農林水産大臣、斉藤環境大臣、中曽根外務大臣
2010年 皇太子殿下
2012年 郡司農林水産大臣、小平国家公安委員会委員長
2014年 安倍総理大臣(6月、10月)、林農林水産大臣、茂木経済産業大臣、小野寺防衛大臣、甘利経済再生担当大臣、麻生財務大臣
2015年 林農林水産大臣(5月、7月)、甘利経済再生担当大臣、馳文部科学大臣
2016年 秋篠宮同妃両殿下、安倍総理大臣、麻生副総理・財務大臣、岸田外務大臣、馳文科大臣、木原外務副大臣、若宮防衛副大臣
2017年 安倍総理大臣(3月、5月G7タオルミーナ・サミット)、岸田外務大臣、麻生副総理・財務大臣、山本環境大臣、石井国土交通大臣、磯崎農林水産副大臣、あかま総務副大臣、小此木国家公安委員会委員長、大島衆議院議長
2018年 中根外務副大臣、齋藤農林水産大臣、堀井学外務大臣政務官、小野寺防衛大臣、河野外務大臣、阿部外務副大臣
2019年 安倍総理大臣(4月)、鈴木スポーツ庁長官、河野外務大臣、若宮外務副大臣
2021年 茂木外務大臣、麻生副総理・財務大臣、小泉環境大臣、鷲尾外務副大臣、長坂経済産業副大臣、都倉文化庁長官、武田総務大臣、萩生田文部科学大臣、井上内閣府特命担当大臣、野上農林水産大臣
2022年 岸田総理大臣、武井外務副大臣
2023年 岸田総理大臣、和田内閣府副大臣、勝俣農水副大臣、角田農水政務官
2024年 岸田総理大臣、上川外務大臣、齋藤経産大臣、石井経産大臣政務官、盛山文化大臣、鈴木財務大臣、斉藤国交大臣、伊藤環境大臣、八木環境副大臣、河野デジタル大臣、長谷川総務大臣政務官、高市内閣府特命担当大臣、新藤内閣府特命担当大臣、門山法務副大臣、宮﨑厚労副大臣
(2)来
年月 要人名
2000年 アマート首相、ディーニ外相、ヴィスコ国庫相(九州・沖縄サミット)
2001年 ディーニ外相(「日本におけるイタリア2001年」開幕)、マルツァーノ生産活動相
2002年 アレマンノ農林政策相、マルツァーノ生産活動相
2003年 カジーニ下院議長
2004年 モラッティ教育・大学・研究相
2005年 ペーラ上院議長、スカイヨーラ生産活動相、ブッティリオーネ文化財・文化活動相
2007年 プローディ首相、ダレーマ副首相兼外相、ルテッリ副首相兼文化財・文化活動相、デ・カストロ農林食品政策相、ビンディ家族政策担当相、ニコライス行政改革・革新相、パドア・スキオッパ経済財政相
2008年 ベルルスコーニ首相、フラッティーニ外相、プレスティジャコモ環境・国土保全相、トレモンティ経済財政相、スカイオーラ経済振興相
2009年 ナポリターノ大統領
2010年 アレマンノ・ローマ市長
2012年 モンティ首相、ディ・パオラ国防相、グリッリ経済財政相
2013年 ダッスー副外相、アルキ副外相
2015年 レンツィ首相、マルティーナ農林政策相、ピステッリ外務・国際協力副大臣、デッラ・ヴェドヴァ外務・国際協力政務次官
2016年 レンツィ首相、ジェンティローニ外相、パドアン経済財政相、マルティーナ農林政策相、ガッレッティ環境相、デルリオ・インフラ・運輸相、ジャンニーニ教育・大学・研究相
2017年 ピノッティ国防相、ボスキ内閣官房長官、アメンドラ外務・国際協力政務次官、スカルファロット経済振興政務次官
2019年 ボルゴンゾーニ文化財・文化活動政務次官、チェンティナーイオ農林政策・観光相、モアヴァロ=ミラネージ外務・国際協力相、コンテ首相、トリーア経済財政相、ジェラーチ経済振興政務次官、コスタ環境・国土海洋保全相、クリッパ経済振興政務次官、アルベルティ=カゼッラーティ上院議長、コミナルディ労働・社会政策政務次官、スペランツァ保健相、ボナッコルシ文化財・文化活動・観光政務次官、ラ・ルッサ上院副議長、カルファーニャ下院副議長、スカルファロット外務・国際協力政務次官、デル・レ外務・国際協力副大臣
2021年 ヴェッツァーリ首相府政務次官(東京オリンピック・パラリンピック)
2022年 グエリーニ国防相、メッサ大学・研究相、レンツィ元首相
2023年 メローニ首相、タヤーニ外相、サンジュリアーノ文化相、ピケット・フラティン環境・エネルギー安全保障相、ウルソ企業・メイドインイタリー相、トリポーディ外務・国際協力省政務次官、ヴァレンティーニ企業・メイドインイタリー省副大臣
2024年 メローニ首相、クロセット国防相

8 二国間条約・取極

 修好通商条約(1866年)、通商航海条約(1913年)、原産地証明手数料相互免除取極(1932年)、司法共助取極(1937年)、船舶の内国民待遇暫定的許与取極(1953年)、文化協定(1955年)、通商議定書及び取極(1955年)、一部旅券査証及び査証料相互免除取極(1956年)、航空協定(1962年)、査証免除取極(1963年)、租税(所得)条約及び議定書(1969年)、請求権解決に関する取極(1972年)、原子力平和的利用協力取極(1973年)、科学技術協力協定(1988年)、税関相互支援協定(2012年)、情報保護協定(2016年)、防衛装備品・技術移転協定(2017年)、社会保障協定(2024年)、映画共同製作協定(2024年)

9 外交使節

  • 日本側:在イタリア日本国大使館(鈴木 哲 特命全権大使)
  • イタリア側:在日イタリア大使館(ジャンルイジ・ベネデッティ駐日大使)
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