中東

世界地図 アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ

第5回イスラム世界との文明間対話セミナー(概要と評価)

平成19年2月

1.背景

(1)「イスラム世界との文明間対話セミナー」は、2001年1月に湾岸諸国を訪問した河野洋平外相(当時、現衆議院議長)の提唱した「湾岸諸国との重層的関係に向けた新構想」の柱の一つとして、2002年3月にバーレーンにおいて開催された第1回会合を皮切りとしてスタートしたものであり、2006年までに計4回開催された。

(2)2007年2月20-21日、東京において、日本外務省とバーレーン外務省との共催により、「文明の共存と調和」をテーマに第5回セミナーが開催された。

2.概要(プログラム別添

(1)イスラム諸国(GCC6ヶ国、イラン、エジプト、チュニジア、イエメン、ヨルダン、レバノン、インドネシア、マレーシア)からは有識者等が計22名、日本からは板垣雄三東京大学名誉教授をはじめとする有識者計14名、合計 36名が参加し(出席者リスト別添)、全てのセッションが公開で行われた。

(2)メインテーマに「文明の共存と調和:文明間対話の役割」を掲げ、「開発と教育」「環境と生命」「文化の多様性とメディア」をテーマとした3つのサブセッションを設けた。また、本セミナーにおける初の試みとして、より深い相互理解に立ち議論を発展させることを目的として、日本の文化や歴史、並びに日本におけるイスラム世界理解促進のアプローチなどを紹介する機会を設けた。

(3)各セッションでの議論においては、文化の多様性尊重の死活的重要性、イスラムが内在する智恵をイスラム世界側から発信していくことの重要性、日本とイスラムの異質性ではなくむしろ同質性、などが指摘された。また、女性のエンパワーメント、異文化理解促進における教育の重要性、欧米を介在しない形での日本とイスラム側との対峙、またはそこに立脚した「東」同士の共同戦略など、様々な専門分野の有識者から異なる着眼点の指摘がなされた。

(4)セミナーの回を追う毎にイスラム側と日本側の認識のギャップが縮まっているように感じるとの指摘がある一方で、本セミナーでの議論をいかに集約し、社会に還元していくかという点についてもより一層の検討が求められた。

3.評価

(1)本セミナーは本年で5回目と回を重ねる中で、議論の前提となる相互理解が蓄積されると同時に、毎回異なるテーマを掲げながらも過去の議論を踏まえた形で更に対話を深化、発展させることが可能になり、着実に対話の厚みを増していると言える。映像を交えたプレゼンテーションなど新しい手法も試みられ、議論の活性化に貢献した。

(2)特に日本側からはこれまでにも増して多様なバックグラウンドを持つ有識者の参加を得て、異なる着眼点からの意見や経験の披瀝、より深い日本理解の礎となる知識の提示などにより、従来以上に多様な視点からの議論を可能にした。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る