アフリカ
ギニア共和国(Republic of Guinea)
基礎データ


一般事情
1 面積
24万5,857平方キロメートル(本州とほぼ同じ)
2 人口
1,386万人(2022年世銀)
3 首都
コナクリ
4 民族
プル、マリンケ、スースー等、20あまり
5 言語
フランス語、各民族語(プル、マリンケ、スースー等)
6 宗教
イスラム教、キリスト教、伝統的宗教
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
14世紀~15世紀 | マリ帝国の版図下 |
1904年 | フランス植民地 |
1958年 | フランスからギニア共和国として独立、セク・トゥーレ大統領就任 |
1978年 | 国名変更(「ギニア人民革命共和国」) |
1984年 | セク・トゥーレ大統領死亡 軍事クーデターによりランサナ・コンテ大佐が政権掌握(「ギニア共和国」に再度国名変更) |
1993年 | 大統領選挙 コンテ大統領選出 |
1998年12月 | 大統領選挙 コンテ大統領再選 |
2003年12月 | 大統領選挙 コンテ大統領三選 |
2007年1月~2月 | ゼネスト状況下でのデモ隊と治安部隊の衝突により200名以上の死傷者発生。 |
2008年12月 | コンテ大統領死去。12月23日にカマラ大尉を中心とする「民主主義と発展のための国民評議会(CNDD)」によるクーデターが発生し、暫定軍事「政権」が成立 |
2010年2月 | ドーレ「首相」就任、国家暫定統一「政府」発足 |
2010年6月及び11月 | 大統領選挙(コンデ大統領選出) |
2010年12月 | コンデ大統領就任 |
2013年9月 | 国民議会選挙 |
2015年10月 | 大統領選挙(コンデ大統領再選、同年12月に就任式) |
2020年3月 | 国民議会選挙、憲法改正に関する国民投票 |
2020年10月 | 大統領選挙(コンデ大統領再選) |
2021年9月 | コンデ大統領辞任。ドゥンブヤ暫定大統領を中心とする暫定政権に移行 |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
ママディ・ドゥンブヤ(Mamadi DOUMBOUYA)暫定大統領
3 議会
暫定国民委員会が議会に相当
4 政府
- (1)暫定政府首相 アマドゥ・ウリ・バー(Amadou Oury BAH)
- (2)暫定政府外務・国際協力・アフリカ統合・在外自国民大臣 モリッサンダ・クヤテ(Morissanda KOUYATE)
5 内政
- (1)1984年のクーデターにより樹立されたコンテ政権は、従来のセク・トゥーレ大統領による政治路線を大きく改め、IMF・世銀などの国際機関からの支援を得つつ、旧社会主義体制から自由主義体制への移行を推進した。1990年12月に複数政党制の導入などを定めた国家基本法が国民投票により承認され、1993年12月に実施された大統領選挙では現職のコンテ大統領が選出された。1996年2月には給料値上げを求める軍の示威行動がクーデター未遂事件にまで進展したものの、1998年12月及び2003年12月の大統領選挙でコンテ大統領が再選された。
- (2)2006年には、経済情勢の悪化によるゼネストの決行等政治・社会情勢も不安定化。2007年1月のゼネスト時には、デモ隊と治安部隊の衝突により200名以上の死傷者が発生する事態に発展。1月末に労組、経営者、政府の3者合意を受けゼネストは中断されたが、この合意の中核であった新首相任命を巡りゼネストが再開され、死傷者が発生する事態に戻り、政府は2月12日に戒厳令を発表した。その後西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)ミッションの仲裁により、2月26日、労組側が推薦したクヤテ首相候補が新首相に任命され、2月末にはゼネストが中断された。3月1日にクヤテ首相が就任し、事態は沈静化。しかし、5月上旬には一部軍人が未払給与の増額分の支払い等を求め、威嚇発砲を行い死傷者が発生した。
- (3)2008年5月、クヤテ首相が罷免され、新たにスアレ首相が就任。
- (4)2008年12月22日、コンテ大統領が病気により死去。その翌23日に、カマラ大尉を中心とする「民主主義と発展のための国民評議会(CNDD)」がクーデターにより政権を掌握し、暫定軍事政権が発足。国際社会はクーデターを非難し、アフリカ連合(AU)、ECOWAS等はギニアの参加資格を凍結した。
- (5)2009年12月、カマラCNDD代表は頭部に銃弾を受け失脚。2010年1月にコンパオレ・ブルキナファソ大統領の調停の下で結ばれたワガドゥグ共同宣言に基づき、コナテ暫定大統領の下、野党党首ドーレ首相を迎え、暫定国家統一政府が発足。
- (6)2010年6月(第一回投票)及び11月(第二回投票)に行われた大統領選挙の結果、12月にアルファ・コンデ大統領が就任した。同月、フォファナ首相が就任、2011年1月に新内閣が発足した。国際社会はギニアにおける民主化プロセスの進展を評価し、12月、AUはギニアに対する参加資格停止及び制裁の解除を決定した。
- (7)2013年9月に国民議会選挙が行われ、民主化プロセス移行期間が終了した。
- (8)2015年10月大統領選挙が実施され、コンデ大統領が再選を果たした。同年12月には、就任式が行われ、2016年1月にユラ内閣が発足した。2018年5月にユラ内閣が総辞職、フォファナ新内閣が発足。
- (9)国民議会の任期は本来2019年1月までであるが、国民議会選挙の準備が整わなかったため、憲法評議会は、同選挙が実施されるまで国民議会議員の任期を無期限延長とする決定を行った。同年9月、独立選挙委員会(CENI)は、同年12月28日に国民議会選挙を実施する旨発表したものの、2020年12月に任期を終えるコンデ大統領の憲法改正に向けた動きに対し、護憲国民戦線(FNDC)等による抗議デモが活発化した。2019年10月、国民議会選挙準備に関する技術的な理由により、CENIは国民議会選挙の再延期を発表し、同年11月、同選挙を2020年2月16日に実施する旨決定した。2019年12月19日、コンデ大統領は、新憲法案を発表したが、FNDCは抗議デモを今後も継続して実施することを発表するとともに、FNDCを含む主要野党は、国民議会選挙の準備状況や新憲法案の発表を受け、同選挙に参加しないことを発表した。
- (10)2020年2月3日及び5日、国民議会選挙及び憲法改正に関する国民投票をそれぞれ同年3月1日に延期する大統領令が発表されたが、同月28日にコンデ大統領は、いずれも2週間程度延期し、選挙人名簿の二重登録問題等の解決のために西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)ミッションの派遣を要求した。
- (11)2020年3月22日、国民議会選挙及び憲法改正に関する国民投票が実施された。これにより、コンデ大統領率いるギニア人民連合(RPG)党が114議席中79議席を獲得した。また、同年4月3日、憲法裁判所は、上記国民投票に関し、同投票を有効とした上で、89.76%の賛成を以て新憲法案が支持された旨の裁定を行った。
- (12)2020年10月18日、大統領選挙が実施された。同年11月7日、憲法裁判所が確定した最終結果によれば、コンデ現大統領が59.50%の得票で再選を果たした。ディアロ候補を中心に野党は、選挙において不正や抑圧が行われたと主張し対立した。また、選挙期間中とその後、野党と治安機関の対立により約50名が死亡、200名以上が負傷し、350名以上の逮捕者が出た。
- (13) 2021年9月5日、首都コナクリ市の大統領府付近において激しい銃撃が発生し、ギニア国軍特殊部隊の一部がコンデ大統領を拘束した上で、憲法の停止、内閣の解散等の宣言を行った。その後、ドゥンブヤ暫定大統領の就任、ベアヴォギ首相(文民)指名、閣僚の任命、暫定国民委員会委員の任命などを経て、2022年5月に暫定国民委員会が移行期間を3年とすることを採択した。
- (14)2022年9月22日、ECOWAS臨時首脳会議において、対ギニア制裁((1)駐ギニアECOWAS各国大使の召還、(2)ECOWAS金融機関からギニアに対する財務支援・金融取引の停止、(3)ギニアの憲法秩序を妨げる個人・集団の金融資産凍結と渡航禁止)が決定された。
外交・国防
1 外交基本方針
独立直後は旧宗主国フランスと断交状態にあり(1975年に国交回復)、旧ソ連などの社会主義諸国との関係を強化していた。しかしコンテ政権以降、非同盟外交を基軸としつつも、多くの先進国とも友好関係を構築する、穏健な現実路線を取っている。
2 軍事力(ミリタリー・バランス2018)
- (1)予算 206百万米ドル
- (2)兵役 徴兵制(9-12か月)
- (3)兵力 9,700名(陸軍8,500名、海軍400名、空軍800名)
経済
1 主要産業
- (農)米、キャッサバ
- (鉱)ボーキサイト、アルミナ、鉄鉱石、金、ダイヤモンド
2 GDP
212.3億米ドル(2022年、世銀)
3 一人当たりGNI
1,190米ドル(2022年、世銀)
4 経済成長率
4.7%(2022年、世銀)
5 物価上昇率
10.5%(2022年、世銀)
6 失業率
5.4%(2022年、世銀)
7 貿易額(2022年、ITC)
- (1)輸出 114億2,641万ドル
- (2)輸入 63億9,476万ドル
8 主要貿易品目(2022年、ITC)
- (1)輸出 鉱物資源
- (2)輸入 車輌及び車輌部品、機械類、穀物、電子機器類
9 主要貿易相手国(2022年、ITC)
- (1)輸出 中国、インド、UAE、スイス
- (2)輸入 中国、インド、オランダ、ベルギー
10 通貨
ギニア・フラン
11 為替レート(2021年平均、EIU)
1米ドル=約9,840ギニア・フラン
12 経済概況
肥沃な土壌と豊富な鉱物資源を有するが、インフラ整備の遅れ等から、経済開発は遅れたままであり、政情不安が経済成長の停滞にも影響。加えて2014年からのエボラ出血熱の流行に伴い経済活動は停滞したものの、2,500人を超える死者を出したエボラ出血熱は2015年12月に流行終息宣言が出され、以降経済は回復傾向にあった。2016年と2017年には特に鉱山開発分野への海外直接投資の増加により、経済成長率10%を記録した。2018年には成長率が5.4%と鈍化を見せたものの、鉱山開発分野への投資は継続された。新型コロナウイルスの流行により2021年の経済成長率は3.9%まで落ち込み、更にウクライナ危機の影響や不安定な政情を受けて経済的見通しは厳しい。
経済協力
1 日本の援助実績(単位:億円)
- (1)有償資金協力(2021年度まで、借款契約ベース) 160.08
- (1990年度以降実績なし)
- (2)無償資金協力(2021年度まで、ENベース) 631.03
- (3)技術協力実績(2021年度まで、JICAの実績ベース) 93.23
2 主要援助国(2020年、単位:百万ドル)(OECD/DAC)
- (1)フランス(59.49)
- (2)米国(43.33)
- (3)日本(12.96)
- (4)ドイツ(11.61)
- (5)ベルギー(9.55)
二国間関係
1 政治関係
1958年11月14日、ギニア共和国を承認。ギニアは、1972年12月に東京に大使館を開設、日本は1976年1月にコナクリに在ギニア大使館を開設した。
2 経済関係
(1)対日貿易
- (ア)貿易額(2023年、財務省貿易統計)
- 輸出 10億8,816万円
- 輸入 18億8,631万円
- (イ)主要品目
- 輸出 金、銅、魚介類等
- 輸入 建設用・鉱山用機械、機械類・輸送用機器、ゴム製品、二輪自動車等
3 文化関係
学術調査団の派遣(西アフリカの霊長類の生態調査)、文化無償による柔道機材、ラジオ・テレビ局番組ソフト等の供与(1988・1997年度)
4 在留邦人数
37人(2023年10月現在)
5 在日当該国人数
504人(2023年12月現在)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1995年5月 | 栗本慎一郎衆議院議員 |
1999年8月 | 亀谷博昭農林水産政務次官 |
2004年8月 | 村田吉隆衆議院議員、北村誠吾衆議院議員(日・AU議連訪問国) |
2004年9月 | 谷津義男衆議院議員(ネリカ米事情視察) |
2004年12月 | 佐藤啓太郎アフリカ紛争・難民担当大使 |
2005年2月 | 河井克行外務大臣政務官 |
2005年6月 | 山際大志郎衆議院議員 |
2012年7月 | 加藤敏幸外務大臣政務官 |
2013年12月 | 鈴木俊一衆議院外務委員長 |
2014年6月 | 石原宏高外務大臣政務官 |
2016年5月 | 尾辻秀久参議院議員、佐藤正久参議院議員(外交防衛委員長)、 小倉將信衆議院議員 |
2016年9月 | 三原朝彦衆議院議員、山際大志郎衆議院議員、牧原秀樹衆議院議員 |
2018年12月 | 鶴保庸介参議院議員、青木一彦参議院議員 |
年月 | 要人名 |
---|---|
1990年11月 | トラオレ外相(即位の礼) |
1992年11月 | シラー外務・協力相(外賓) |
1993年5月 | ソウ農業・動物資源相 |
1993年10月 | シラー外務・協力相(アフリカ開発会議) |
1995年9月 | シラー運輸相(福田元総理大臣葬儀) |
1996年3月 | ナビ・ユラ大統領顧問(オピニオン) |
1998年2月 | ディアロ国会議長(オピニオン) |
1998年3月 | バリー水産・畜産相 |
1998年10月 | ディアロ計画・協力相(TICAD II) |
1999年8月 | サヌッシ外相 シディベ漁業・養殖相 |
2000年6月 | ディアロ計画協力相(小渕前総理大臣葬儀) |
2001年12月 | カバ協力庁長官(TICAD閣僚レベル会合) |
2002年12月 | ファル外務・協力相(非公式) |
2003年9月 | シディメ首相 ファル外務・協力相 サール農業・畜産相 クヤテ漁業・養殖相(TICAD III) |
2004年6月 | ディアロ漁業・養殖相 |
2005年6月 | トゥーレ漁業・養殖相、コンデ運輸相 |
2005年8月 | ディアロ協力相、カマラ通商・産業・中小企業相(愛・地球博) |
2008年4月 | ユラ漁業・養殖相 |
2012年8月 | ファル大統領府事務総長 |
2012年10月 | ヤンサネ経済・財政相、バー産業・中小企業相、ディアレ予算担当相(IMF世銀東京総会) |
2013年6月 | コンデ大統領、サノ国際協力相(TICAD V) |
2014年4月 | カマラ漁業・養殖相 |
2017年6月 | コンデ大統領(実賓) |
2018年10月 | ケイタ協力・アフリカ統合相(TICAD閣僚会合) |
2019年8月 | コンデ大統領(TICAD7) |
2019年10月 | シセ国民議会第一副議長(即位礼正殿の儀) |
2021年7月 | ソウ・スポーツ大臣(東京オリンピック競技大会) |
7 二国間条約・取極
- 1963年4月19日 貿易取極