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「V4+日本」外相会合 共同プレス・ステートメント(仮訳)

於:ブダペスト,2011年6月6日

骨子英語版

 V4諸国及び日本(以下,「V4+日本」)の外相会合は,2011年6月6日にブダペストにおいて,第10回ASEM外相会合の機会に開催された。「V4+日本」外相会合には,松本剛明日本国外務大臣,ミクラーシュ・ズリンダ・スロバキア共和国外務大臣,マルトニ・ヤーノシュ・ハンガリー共和国外務大臣,ラドスワフ・シコルスキ・ポーランド共和国外務大臣,イジー・シュナイドゥル・チェコ共和国第一外務次官が出席した。

 各国外相は,「V4+日本」の枠組みにおける対話・協力の現状及び見通しにつき議論した。各国外相は,共通の価値観を認識しつつ,日本と,更なる発展への大きな可能性を持つ中・東欧地域の先導的グループであるV4諸国との協力は,付加価値を生み出すものであり,二国間関係のみならず日・EU関係を促進するものであることを指摘した。

東日本大震災の克服と原子力安全の向上

  1.  V4諸国の外相は,日本との連帯を表明すると共に,V4諸国の政府,経済界,社会が,2011年3月11日の破壊的な地震及び津波により被害を受けた地域,また福島第一原子力発電所事故による影響を受けた地域の復興に尽力していることを改めて述べた。V4諸国の外相は,日本がこの災害から復旧する能力を有すると完全に信じている旨を表明した。V4諸国の外相は,このような困難な状況に直面している日本国民の勇気と努力を賞賛した。松本外務大臣は,日本国政府及び国民を代表して,V4諸国の政府及び国民による連帯と,救援物資及び義援金を含む支援に対し,心からの感謝の意を表明した。

     各国外相は,物品及び人の流れに関連するものを含め,公的な政策対応は確固とした科学的証拠に基づくことが重要であるという認識を共有した。各国外相は,東日本大震災及び津波がサプライチェーンに与えた影響は,世界規模で深化した経済的統合を思い出させたことを再確認し,被災地で進んでいる復旧が,世界の経済的福利に寄与することを確信した。松本外務大臣は,国際社会と協力して未来志向で開かれた復興計画を目指す日本政府の意思を表明した。V4諸国の外相は,復興計画において,必要な貢献及び参加を通じ日本を支援する用意があることを表明した。

     松本外務大臣は,日本が福島第一原子力発電所の事態を収束し,最大限の透明性を持って国際社会に情報を提供し,世界の原子力施設の安全性向上に資するべく今回の事故から得られた教訓を国際社会と共有するため,完全な努力を継続していることを説明した。各国外相は,原子力安全の強化がきわめて重要であることを再確認し,最高水準の原子力安全に向けて国際協力を強化することを決意した。V4諸国と日本は,このための国際的な努力に完全にコミットし,国際原子力機関(IAEA)をはじめとするあらゆる適切な国際的なフォーラムを活用していく。

「V4+日本」対話・協力:促進・深化するパートナーシップ:

  1.  各国外相は,定期的な政治対話を評価し,2009年5月にハノイで開催された前回の「V4+日本」外相会合以降の多くの共同プロジェクトに示される,成果重視の協力の更なる進展を歓迎した。各国外相はまた,V4諸国と日本が双方でワークショップ及びセミナーを開催することで,対等なパートナーシップを深化させていることも歓迎した。
  2.  各国外相は,V4諸国と日本との間の友好的な絆を更に強化することを支持した。各国外相は,ASEM外相会合等の機会を活用して外相会合を隔年で開催し,また,政務局長及び専門家レベルの協議を毎年開催し続ける意思を表明した。
     2009年~2011年の期間に,環境・気候変動,経済・金融,開発援助,省エネ,観光,イノベーション及び中小企業の各分野において,共同セミナー及びワークショップが開催され,「V4+日本」の経済及び技術面での協力を更に促進した。
  3.  各国外相は,気候変動,エネルギー供給の安全保障及び効率化,原子力安全,貿易・投資,科学技術,イノベーション,中小企業協力への支援,観光及び開発援助といった分野において,新たな課題を反映し,各国に実用的かつ明確な利益をもたらす協力の発展の重要性を強調した。この文脈において,各国外相は,日本とV4メンバー国がアフガニスタンの復興と安定に向け,日本・NATO/PRT(地方復興チーム)協力の枠組みを通じて,共に貢献していることを歓迎した。将来の共同プロジェクトの可能性は,アドホックに検討される。

日EU関係:友好と協力の絆の強化

  1.  各国外相は,2011年5月28日にブリュッセルで開催された第20回日EU定期首脳協議の結果,とりわけ,自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)及び政治,グローバル,その他分野別の協力を対象とする協定についての並行した交渉のためのプロセスの開始を歓迎した。各国外相は,協定を前進させるための緊密な共同作業を通じて,政治・経済関係を更に強化させる意思を強調した。

     各国外相は,日本企業がV4諸国の経済成長,雇用創出及びV4諸国と日本の間の経済的な絆の強化に大いに貢献してきた事実を歓迎した。V4諸国の外相は,特に高付加価値分野及び新先端技術(イノベーション,再生可能エネルギー源,グリーン・省エネルギー技術)への互恵的な投資の更なる流入への期待を表明した。

     各国外相は,経済統合の深化に加え,東日本大震災と福島第一原子力発電所事故を受けた原子力安全,エネルギー,災害対策を含む他の分野における具体的協力の更なる発展を歓迎した。日本は次期ポーランド議長国と緊密に協力していく。この機会に,シコルスキ外相から議長国としての優先事項につき情報提供がなされた。

     科学技術が経済成長及び持続的な発展において果たす重要な役割を認識し,各国外相は,日EC(欧州共同体)科学技術協力協定の発効を歓迎した。

  2.  ズリンダ外相は,東方パートナーシップ(EaP)対象国に対するV4諸国の取り組みの概要を説明した。その取り組みには,2011年3月3日にブラチスラバにおいて,現V4議長国スロバキアの下で,V4諸国,ドイツ,EaP対象国,EU外務・安全保障政策上級代表の参加を得て開催された非公式拡大外相会合が含まれる。松本外務大臣は,EaP対象国における民主主義の強化と透明性ある市場経済の確立に向けた日本の貢献を説明した。各国外相は,EaP情報・調整グループがEaP対象国へのEUによる支援プログラムと非EU諸国による類似の活動の適切な調整に貢献することへの期待を共有した。
  3.  各国外相は,東アジアの地域安全保障環境につき意見交換を行った。アジア及び欧州の安全保障が相互に影響を与え,いずれも国際社会全体の利益であることを再確認しつつ,各国外相は,地域における現在の安全保障上の懸念を共有し,これらの懸念に十分配慮することを確認した。

国連安保理改革

  1.  各国外相は,日本とV4諸国が国連安全保障理事会の常任・非常任双方のカテゴリー拡大を含め,同理事会の代表性及び実効性の改善に向けた改革を実現すべく協力していくことを確認した。
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