欧州連合(EU)

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第16回日・EU定期首脳協議(概要)

平成19年6月6日

 現地時間6月5日(日本時間6日未明)、ベルリンにおいて、安倍総理の出席のもと日・EU定期首脳協議及びワーキングディナー(注)が開催されたところ、概要以下のとおり。
 (注)先方出席者:メルケル独(EU議長国)首相、バローゾ欧州委員会委員長

1.日・EU関係

(1)基本的価値観を共有し、国際社会の諸課題に共に主導的役割を果たす日・EU間の戦略的パートナーシップの更なる強化につき一致。

(2)日・EUの更なる協力分野を明記した共同プレス・ステートメント(日・EU行動計画、イノベーション、知的財産権の3点の文書が付属)を発出した(骨子別添)。

(3)日・EUが、官民一体となり、高い技術力を活用しつつ世界経済の繁栄・成長をリードし、グローバルな課題に取り組むために具体的協力を深めていく点で一致。

2.グローバルな課題

(気候変動)

(1)総理から、世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに半減する長期目標を提示。その手段として革新的技術の開発と低炭素社会の実現を目指し、2013年以降の国際枠組みの構築に向けた諸原則を提唱するとの新提案を紹介。

(2)メルケル首相から、日本の新しい提案を高く評価し歓迎、日本とEUの立場は近い、共同ステートメントで温室効果ガスの50%またはそれ以上の削減で合意したことは喜ばしいとの発言。気候変動問題の解決には、科学に基づく目標が必要、市場メカニズムを活用していくことが重要、主要な排出国を国連のプロセスに参加させていくことが重要であるとの発言。

(3)来年のG8日本サミットに向けて、実効的な国際枠組みの構築に弾みとなるような意見の一致を目指すため、日・EU間の協力を強化していくことで合意。

(エネルギー、WTO、開発)

(1)温室効果ガス排出削減のため、省エネルギー、環境関連技術を生かしたエネルギー効率の改善及びエネルギー源多様化が重要であることで一致。WTOに関して、ドーハ・ラウンド交渉の年内妥結に向け日・EUの連携を強化していくことで合意。

(2)来年日本で開催する第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)及びG8サミットを念頭に、引き続き元気なアフリカを目指して支援すべく日・EU間で協力していくことで一致。

3.国際情勢

(北朝鮮) 総理から、北朝鮮の核問題は国際社会全体の平和と安全における深刻な脅威、国際社会が、北朝鮮が非核化に向けた具体的行動をとるよう圧力を強化していくことが重要、また、拉致問題の解決へ向けた国際連携も重要である旨述べた。EU側からは、北朝鮮が初期段階の措置を実施していないことに深刻な懸念、朝鮮半島の非核化に向けた六者会合のプロセス及び六者会合における日本側の努力を強力に支持、拉致問題の解決に向けた国際社会のあらゆる努力を強く支持する旨述べた。核問題・拉致問題の解決に向け日・EUの立場は一致しており、引き続き両者で協力していくことを確認した。

(中国) 総理から、自身の訪中や温家宝首相の訪日等による日中関係の進展につき説明。中国が国際社会と協調的な形でバランスのとれた経済発展を続け、透明性をもって、地域や国際社会で責任ある建設的役割を果たすことが重要であることで一致。また、総理より、EUの対中武器禁輸措置解除に反対である旨述べた。

(中央アジア) 総理より、中央アジアの地政学的重要性は、エネルギー面をはじめ一層高まっており、エネルギー輸送ルートの多角化が、中央アジア諸国の開かれた発展や世界のエネルギー安全保障の観点から重要である旨を述べた。EU側からは、現在策定中のEUの対中央アジア戦略について、エネルギー、国境管理、水の管理、人権、民主化を重点として、中央アジア諸国とのパートナーシップを強化していきたいと説明。総理からは、EUの中央アジアへの積極的関与の進展を歓迎する旨述べ、中央アジアに関する日・EU戦略的対話も活用しながら、日・EUが様々な分野で連携していくことで合意。

(中東和平) 総理より、平和と繁栄の回廊など、日本の取り組みを紹介。EU側より、日本の取り組みを評価、パレスチナの安定は中東地域全体の安定にとって極めて重要であり、今後も日本と一層協力していきたい旨述べた。

(イラン) イランが安保理決議の要求に反して濃縮活動を拡大していることは不拡散体制に対する重大な挑戦であり、イランの核開発を絶対に防がねばならないこと、問題の平和的解決のためには、国際社会が一致してイランに圧力をかけつつ、イランが交渉に応じるよう外交的働きかけを行うことが重要、イラン側の対応が不十分な場合は、国際社会として更なる措置を検討する必要があることで一致。

(アフガニスタン) 同国の安定の復興のため、国際社会が一致して同国を支援することが重要であり、日・EU間でも連携して協力していくことで一致。総理からアフガニスタンの安定に重要な役割を果たすパキスタンへの支援を大幅に増加していくことを検討している旨、また、アフガニスタンにこれまでの約12億ドルの支援等、我が国の取組を紹介。特に、今般、PRTと連携しつつ、初等教育や保健・衛生等の分野で草の根無償資金協力を行う仕組みを構築し、その第一弾として、リトアニア主導PRTと連携した識字教育案件及び職業訓練案件への協力を実施する旨述べた。 EU側よりは最近発表した同国への警察ミッション派遣等、EUのアフガニスタン政策について説明。また、PRTの役割の重要性、パキスタン・アフガニスタン国境管理強化の重要性について述べた。

(ロシア) 総理から、ロシアとの間で共通の戦略的利益に基づくパートナーシップを構築していく必要があると考えている、領土問題については双方に受入可能な解決策を見出すために引き続き交渉を続けていく旨述べた。EU側から、先般の露・EU首脳協議に触れつつ、ロシアとの関係については、EUとしての一致した対応をすべきであるが、EUとロシアは互いに相手を必要としているのであり、関係を更に発展させていくことが必要であるとの発言があった。

(ダルフール) EU側より日・EU間の立場は共通しており、中国がG8のアウトリーチに参加するので、この問題についても議論したいと述べた。

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