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単一市場
平成19年4月
EUは、1992年末に、人、モノ、資本、サービスの自由移動を中心とする単一市場形成を概ね達成し、更に経済活動円滑化の観点から域内の様々な障壁撤廃・軽減、域内調和を進めている。
経緯
- 1985年3月にEC委員会が欧州議会に提出した「1985年委員会計画」に域内の市場統合を推進して単一市場を形成しようとの端緒が見られる。同年3月のブリュッセル欧州理事会において委員会が示した基本的考え方が支持され、具体的スケジュールを明示した市場統合計画の策定を委員会に指示した。こうして誕生した「域内市場白書」は、同年6月のミラノ欧州理事会で承認された。同白書は、282項目にわたる単一市場の実現に必要な法的措置をあげて、欧州理事会による採択の時期を明示した。
【同白書内に定義された「単一市場」】
- 商品の移動に係る制限の撤廃
- 人、サービス、資本の自由移動に対する障壁の撤廃
- 域内での競争を歪曲しないように保証する制度の創設
- 市場統合に必要な各国の法制の調和
- 各国間接税の接近が達成された市場
- 1987年の単一欧州議定書に域内市場統合を1992年末までに完成することが明記され、単一市場に向けての動きが加速。1988年3月には単一市場化の経済効果を分析した「チェッキーニ・レポート」（＊）が公刊され、市場統合による明るい展望を描いた。こうして単一市場化は「EC1992」のキャッチフレーズのもと、概ね順調に進展し、1992年末までにECレベルでは目標の9割以上の法令採択を完了した。2000年に発出されたリスボン戦略に呼応し、残るサービスの自由移動の障害を除去するためのサービス指令が、EC委員会の原案採択以来3年にわたる審議を経て2006年12月の欧州理事会で採択されたものの、保健医療、視聴覚サービス、人材派遣サービス、警備及び賭博をはじめ指令の適用除外範囲が広範囲にわたり、今後の実効性が注目される。
（＊）イタリア人経済学者チェッキーニのグループによって作成された単一市場の利点を数量化した報告書（P. Checchini" The European Challenge : 1992 The Benefits of a Single Market）