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欧州会社法の概要
- 欧州会社法は、欧州会社(ラテン語の"Societas Europaea"を略して「SE」と呼ばれる)を設立することで、EU加盟各国固有の会社法とは別に、統一の会社法に基づいたEU全域の事業展開を可能にする法制度である。1970年の欧州委員会提案から30年の検討期間を経て、2001年10月8日の雇用相理事会にて採択され、その3年後の2004年10月8日より施行された。同法は、SEの設立方法や機関を規定する「欧州会社規則」とSEにおける従業員の経営関与のあり方を規定する「欧州会社への労働者の関与に関する指令」から構成されている。
- 本法により、設立、登記、決算報告等の会社運営について、加盟国ごとの会社法に応じて手続を変える必要がなく、欧州会社規則に準じて手続をとることができる。又、いったんSEとして登記すれば、本社を別の加盟国に移転する場合も従来のようにそれぞれの加盟国で解散・新規設立手続を行わないで済む。更に、これらの手続コストも大幅削減される。
- 本法は、税制に関する規定を欠いており、SE設立以降も域内各国に点在するグループ内の企業、支店はそれぞれ所在国において個別の納税手続をとらねばならない。
- 本法は、合併、転換によるSE設立が公開有限責任会社に限定されており、持株会社設立又は共同子会社設立によるSE設立のみが可能。日本企業の欧州進出においては非公開形態をとるケースが多く、現時点における欧州進出企業に対する裨益度は限定的である。