7月25日(日曜日),ラマッラ(パレスチナ自治区)の首相府において,飯村豊中東和平担当特使とファイヤード・パレスチナ自治政府首相との間で,第1回日・パレスチナ・ハイレベル協議が行われたところ,概要と評価は以下のとおりです。
1 概要
- (1)同ハイレベル協議は,本年2月のアッバース・パレスチナ自治政府大統領の訪日のフォローアップとして開催されました。
- (2)ファイヤード首相より,日本の政治的・経済的役割を高く評価しつつ,中東和平プロセスのための二国家解決実現の重要性について述べました。飯村特使より,我が国はこれまでと変わらず中東和平実現に向け貢献していく所存であり,パレスチナ支援,特に国づくり支援を継続していくと述べました。
- (3)飯村特使から,次の点を伝えました。
- (ア)パレスチナ自治区の経済発展のため,日本は2007年12月のパリのパレスチナ支援プレッジング会合以降,2010年4月までにパリ会合で表明した1.5億ドルの支援を実施してきており,「平和と繁栄の回廊」構想及びガザ支援も含め,今後も引き続きパレスチナ支援を進めていく考えであることを表明しました。
- (イ)パレスチナ国家建設を支援する観点から,1)中小企業支援・貿易促進,2)農業,3)観光,4)地方自治,5)財政健全化,6)上下水,7)母子保健の7分野に重点を置いて支援していくことを提案し,ファイヤード首相もこれに同意しました。また,経済協力戦略協議の立ち上げと定期化について,ファイヤード首相の呼びかけに賛同しました。
- (ウ)民間セクター間の交流拡大に関しては,同時期に訪問している林康夫JETRO理事長のパレスチナ自治区訪問に触れつつ,本年12月にチュニスで開催予定の日アラブ経済フォーラムへのパレスチナ自治政府関係者・ビジネスマンの参加を呼びかけました。
- (エ)また,日本が,東アジア諸国とともにパレスチナ国家建設を支援し中東和平に貢献していくとの構想について,JICA調査団がインドネシア,マレーシア,シンガポールを訪問したことに触れつつ,今後早期に具体化していきたい旨表明しました。
- (4)会談終了後に,共同プレス・リリース(英文・日本語仮訳)を発出しました。
2 評価
- (1)我が国は,二国家解決に向けて和平プロセスを前進させようとしているアッバース大統領及びパレスチナ自治政府の立場を強く支持しており,また,パレスチナ国家建設のための組織・人づくりを進めている同自治政府の努力は,和平プロセスのために重要と認識しています。このような同自治政府が進める努力への支持を改めて表明することを通じ,日本の和平プロセスへの貢献を示しました。
- (2)今次協議において,1)中小企業支援・貿易促進,2)農業,3)観光,4)地方自治,5)財政健全化,6)上下水,7)母子保健の7分野を重点的に支援していく指針が定まり,また,経済協力戦略協議の立ち上げが合意されたことは,今後の対パレスチナ支援の効果的・効率的実施に役立つと考えられます。
- (3)東アジア諸国とともに中東和平実現に貢献していくことについては,パレスチナ側から改めて歓迎されたことを受け,今後,東アジア関係国及びパレスチナ自治政府と緊密に連絡をとりつつ,構想を具体化していくこととなりました。