中東

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共同プレスリリース
パレスチナ国家建設支援にかかる日・パレスチナ・ハイレベル協議
(日本語仮訳)

平成22年7月25日
(英文はこちら)


 本年2月のアッバース・パレスチナ自治政府大統領の訪日のフォローアップとして,飯村豊中東和平担当特使を団長とする日本側代表団とサラーム・ファイヤード・パレスチナ自治政府首相を団長とするパレスチナ側代表団は,2010年7月25日にラマッラにおいてパレスチナ国家建設支援についての日・パレスチナ・ハイレベル協議を行った。このハイレベル協議は,パレスチナ国家建設支援についての政策指針を示すため,毎年行われる予定である。

 日本政府及びパレスチナ自治政府は,将来のパレスチナ国家のための国家制度を構築することの重要性を再確認した。日本は,2007年12月にパリで開催されたパレスチナ支援プレッジング会合において表明した1.5億ドルの支援を2010年4月までに拠出した(詳細別添)。日本は,パレスチナ自治政府大綱(第13次パレスチナ自治政府内閣綱領)および次期パレスチナ自治政府三カ年計画(2011年~2013年)の実施に貢献するために,引き続き技術協力や無償資金協力等の協力スキームを用いて支援を行っていく。今後3年間の重点分野は,中小企業支援・貿易促進,農業,観光,地方自治,財政健全化,上下水,母子保健の7分野である。両者は今後,日・パレスチナ協力において,新たなプライオリティに柔軟に対応し,透明性・効率性を高めつつ協力を引き続き行っていくための経済協力戦略協議を今後とも毎年開催していく。

1 制度づくり・人づくり

 将来のパレスチナ国家は,法の統治のもと,パレスチナ国民に対し,経済発展と適切なインフラ整備及び公共サービスを提供する効果的な政府をもつことを目指している。日本は,パレスチナ自治政府の制度づくり・人づくりにつき,上記の7分野を中心に支援していく。両者は,このための協力の方向性を示すマトリクスを採択した。このマトリクスは,毎年の経済協力戦略協議を通じて見直される。

2 「平和と繁栄の回廊」構想

 日本政府とパレスチナ自治政府は,「平和と繁栄の回廊」構想の実現のため協力して取り組む。両者は,この構想が実現すれば,将来のパレスチナ国家の経済的自立に貢献するのみならず,太陽光発電装置等のクリーンな技術を利用した環境的に持続可能な発展にも貢献するものであることを確認した。日本は,最近,ジェリコ農産業団地を新たに設立するため,パレスチナの関連機関の能力向上のための技術協力を開始した。両者は,ジェリコ農産業団地の操業を2012年末までに開始させるために,最大限の努力を行うことを再確認した。

3 日・パレスチナ間の民間セクター交流

  今次ハイレベル協議の開催と同時期に行われている林康夫JETRO理事長のパレスチナ自治区への訪問も,本年2月のアッバース大統領の訪日のフォローアップとして行われたものである。林JETRO理事長は,パレスチナ人要人及び関係機関と,日・パレスチナ間の民間セクターの関係について意見交換を行った。この関係で,飯村中東和平担当特使は,今次ハイレベル協議の中で,パレスチナの政府関係者やビジネスマンに対し,本年12月にチュニスで行われる日・アラブ経済フォーラムへの参加を呼び掛けた。

4 東アジア諸国との中東和平実現への貢献

 パレスチナ自治政府は,日本がインドネシア,マレーシア,シンガポール等の東アジア諸国と中東和平への貢献に協力して取り組むという日本の構想を歓迎した。この構想は,昨年10月の日・インドネシア首脳会談及び本年4月の日・マレーシア首脳会談で,東アジア諸国の首脳が,パレスチナ国家建設支援に貢献していく意志を表明したものである。JICAが東アジア諸国で実施する研修事業やパレスチナのビジネスマンと東アジア諸国のビジネスマンとの間でなし得る関係構築を含む,かかる協力を行うための具体的方途について,今後協議が行われる。

5 ガザ支援

 日本政府とパレスチナ自治政府は,ガザ封鎖により実施が中断されている日本が支援する案件を,可能な限り早急に再開するために協調して取り組む。

6 NGOを通じたコミュニティ支援

 日本は,人間の安全保障の観点から,地方自治体やNGOを通じ,東エルサレムを含むパレスチナ自治区で実施している種々のコミュニティ支援を,パレスチナ自治政府と協議した上で引き続き実施していく。この協力は,ファイヤード内閣綱領の内容に沿うものであり,同綱領を具体化するものである。


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