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ギラード・オーストラリア首相の来日(結果概要)

平成23年4月25日

 4月20日(水曜日)から23日(土曜日)まで,オーストラリア(豪州)のギラード首相は,東日本大震災後初の公式賓客(公式実務訪問)として,来日したところ,概要は以下のとおりです。また,日豪首脳会談後の際に,日豪両首脳による共同ステートメント骨子仮訳)を発表しました。

主な日程

4月20日(水曜日)
夕刻到着(伴野副大臣出迎え)
4月21日(木曜日)
国会議員との朝食会,両陛下御引見,松本外務大臣による表敬,日豪首脳会談(共同記者会見,ワーキングディナーを含む)
4月22日(金曜日)
政策スピーチ,海江田経済産業大臣による表敬,北澤防衛大臣による表敬,東日本大震災チャリティー・ディナー(伴野副大臣出席)
4月23日(土曜日)
宮城県南三陸町訪問(松本外務大臣同行)
(ギラード首相は,この後,韓国,中国,英国の順に訪問予定)。

日豪首脳会談のポイント

訪問の概要

1.日豪首脳会談

 本21日(木曜日),菅直人総理大臣は,ジュリア・ギラード首相との間で,首脳会談(18時30分から約50分間),共同記者会見(19時40分から約25分間)及びワーキングディナー(20時10分から約80分間)を行ったところ,概要は以下のとおり。

首脳会談

(1)全般

 菅総理から,東日本大震災後初の公式賓客(公式実務賓客)としてのギラード首相の来日を心から歓迎する,特にこの時期に来日して頂いたことは,日本が安全であることを世界に示す上で大きな意味がある旨述べるとともに,豪州からの支援(72名の救助隊の派遣,豪空軍機C17輸送機による輸送支援,約8億円の連邦政府からの義援金等)に謝意を表明。また,総理から震災後の政府の取組について説明。ギラード首相からは,来日により,日本との連帯を示すとともに,日本が安全であることを世界に発信したい,復興に向け日本を支援したい旨発言。

(2)災害救援を含む安全保障協力の強化

 両首脳は,豪州のC17輸送機による輸送支援(外国の軍によるものとしては米国を除いて豪州のみ)の経験等も踏まえ,災害救援を含め安全保障協力を深めるべく,次回日豪外務・防衛閣僚会合(2+2)で議論させることで一致。この関連で,両国の国会で承認済みの日豪物品役務相互提供協定(ACSA)の早期発効,次回2+2までの日豪情報保護協定交渉妥結を目指すことで一致。

(注)豪州軍が保有する4機のC17輸送機のうち,使用可能な3機を日本に派遣し,1機が日本国内で輸送支援,2機が原発冷却用特殊ポンプを緊急輸送。

(3)原子力の安全

 総理から,原発事故の原因を徹底検証の上,日本の食品・物品の安全性を含め,最大限の透明性をもって国際社会に対して情報提供を継続する旨表明。両首脳は,原子力の安全性強化に向け,IAEAにおける協力を強化することで一致。

(4)エネルギー・ 資源分野での協力

 ギラード首相は,日本復興のためにも,LNGを安定・追加供給していきたい旨発言し,総理はこれを歓迎。また,両首脳はクリーン・エネルギーやレア・アースについても協力していくことで一致。

(5)日豪EPA

 日本の現在の状況とその影響を考慮しつつ,両首脳は,両国が包括的且つ互恵的な二国間FTA/EPAの妥結に向けてさらに交渉を行うことを確認。

ワーキングディナー

(1)全般

 菅総理から,ギラード首相の来日は,あたかも日本全体が危険であるかのような外国の一部にある根拠のない風評を払拭する上で有効である,本日の夕食の食材には被災地の名産品を使用しており,ギラード首相に食して頂ければ,被災地の産品の信頼を回復することにも資する旨述べた。これに対しギラード首相は,美味しい食事を頂くことで被災地のために貢献できるのであれば,喜んで貢献したい旨応答。

(2)東アジア情勢・地域枠組み

 ギラード首相から,今年後半にインドネシアで開催される東アジア首脳会議(EAS)は米国とロシアが参加する形で行われる最初の拡大会議であり,これまでの優先課題に加え,政治・安全保障分野で意味のある対話を行うために周到に準備を進めていきたい旨発言。菅総理から,地域の主要国をすべて包摂することになったEASの重要性は増している旨発言。両首脳は,次回首脳会議の成功のため緊密に連携していくことで一致。さらに両首脳は,北朝鮮を含む地域情勢につき意見交換の上,中国が国際社会において大きな役割を果たすようになっていることを歓迎し,一層建設的な役割を期待するとの認識で一致。

(3)エネルギー分野及びG20での協力

 菅総理から,先のサルコジ仏大統領の来日に触れつつ,エネルギー分野の協力が今後重要な課題になっていく旨述べた。ギラード首相から,世界の景気回復と雇用創出に焦点を当てつつ,強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組みの下での作業を含め,G20サミットで大きな成果を挙げることが必要である旨発言。両首脳は11月のG20サミットの成功に向け,緊密に協力していくことで一致。

2.ギラード首相による南三陸町訪問(松本外務大臣同行)

(1)23日(土曜日),ギラード首相は松本外務大臣とともに,3月16~19日に豪州の援助隊72名が捜索・救助活動を行った南三陸町を訪問。援助隊のマクニール隊長も豪州から同行。

(2)ギラード首相と松本外務大臣は,津波で鉄骨だけが残った防災対策庁舎の前で,佐藤南三陸町長から,町長自身が津波から危うく逃れた当時の生々しい状況を含め,被害状況等について説明を受けた。その後,激励のために避難所(体育館)を訪問。被災者の方々と交流し,特に子供達から熱烈な歓迎を受けた。ギラード首相から町長に支援物資(食料)の目録を贈呈するとともに,子供達にコアラとカンガルーのぬいぐるみをプレゼントした。子供達からは,お礼としてギラード首相に折り鶴が贈られた。

(3)なお,東京から仙台まで空路移動し,仙台から南三陸町の片道2時間半は陸路をバスで往復(悪天候のため,当初予定していた自衛隊ヘリは使用できず)。


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