アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
平成21年5月26日
25日及び26日、ハノイにて、アジア欧州会合(ASEM)第9回外相会合(FMM9)が開催され、25日は中曽根大臣、26日は橋本副大臣が出席した。本会合には、アジア側より16カ国(日、中、韓、印、蒙、パキスタン、ASEAN10カ国)及びASEAN事務局、欧州側よりEU27カ国及び欧州委員会の外相等(一部は代理)が出席した。
2日間の議論を踏まえ、議長声明が発出された。また、25日に行われた北朝鮮の核実験を受け、議長声明発出に先立ち、「北朝鮮の核実験に関する声明」が発出された。
中曽根大臣より、世界的な金融・経済危機から脱却するための国際的な連携の必要性、保護主義への対抗の重要性を強調し、多くの国から同様の意見が述べられた。また、中曽根大臣より、日本の経済危機対策および、「アジア経済倍増へ向けた成長構想」を通じた日本の貢献策について紹介した。
各国からは、昨年北京で行われた第7回ASEM首脳会合(ASEM7)において、世界的な金融・経済危機への対応に一致して取り組む必要性を強調し、国際社会全体として処方箋を考えることに繋がった、各国がそれぞれの課題に取り組むとともに、アジアと欧州が協力していくことが重要、金融システムの強化や金融規制監督の調和が必要、途上国が今般の危機の犠牲とならないようMDGsの達成に向けて引き続き努力していくことが必要である、等の意見が出された。
北朝鮮、ミャンマー、アフガニスタン、スリランカ等につき議論が行われた。中曽根大臣よりは北朝鮮、アフガニスタン・パキスタン、ミャンマーにつき発言した。
(イ)北朝鮮に関し、25日に行われた北朝鮮による核実験は安保理決議違反であり断じて容認できない、地域と国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり、NPT体制に対する重大な挑戦でもある、国際社会として毅然と対応する必要があり、ASEM外相会合でも、議長声明から独立した声明で毅然とした姿勢を示すことが重要である旨述べた。
(ロ)アフガニスタン・パキスタンに関し、地域全体を一体として捉えて取り組んでいくことが重要であることを強調しアフガニスタン、パキスタン、イランに関する我が国の取組を説明した。
(ハ)ミャンマーに関し、スー・チー女史の訴追を懸念を持って注視している、来年の総選挙に向けミャンマー政府が国際社会に祝福される形で民主化プロセスを進めることを期待する、ミャンマー政府による前向きな動きには前向きに反応する用意がある旨述べた。
橋本副大臣より、気候変動問題は全世界的に取り組むべき喫緊の課題であり、COP15において、全ての主要経済国が責任ある形で参加する、実効性のある枠組み合意に向けて前進することが必要、各国の目標はその責任と能力に相応しい公平なものであるべき、我が国は「クールアース・パートナーシップ」等を通じて意欲ある途上国を引き続き支援する旨述べた。また、様々なグローバルな課題を真に解決するためには、教育の役割が重要であることを強調した。
その他に、エネルギー安全保障、海上安全・海賊問題、テロ対策、軍縮・不拡散等につき意見交換が行われた。複数の国より、ソマリア沖での日本による護衛活動を高く評価する旨の発言があった。
橋本副大臣より、豪州及び露のASEMへの参加を歓迎する旨発言した。また、多くの国からも両国の参加を支持するとの発言があった。その結果、今回の外相会合では、1)豪州および露の参加申請を歓迎し、次回首脳会合(ASEM8)にて正式に参加が可能となるように態様を事務レベルで策定させること、2)将来の拡大の基準、原則、手続きに関し、事務レベルで提言を行わせることで一致した。
異文化、伝統や宗教に敬意を払い、相互理解を増進していくことが重要、グローバル化に伴う国家間の衝突や対立を緩和する上での異なる文明間の対話や文化交流が果たす役割は大きく、一層行動を進めるべきである、教育分野での協力・交流を推進すべきである等の意見が出された。
25日、「ASEM新型インフルエンザ対策事業」開始式が行われ、中曽根大臣が出席した。本事業は、我が国の資金拠出により抗ウィルス薬及び防護用品50万人分をシンガポールに備蓄し、アジアで新型インフルエンザが発生した際に一括投入して感染拡大を封じ込めるためのものである。開始式においては、中曽根大臣より、タミフル等の入ったサンプルボックス及び目録を越外相に手渡した。
中曽根大臣:ベトナム国家主席表敬、越日友好議連会長主催晩餐会出席、韓国外相、ベトナム外相、リトアニア外相、ミャンマー外相との二国間会談、V4+日本外相会合、米国務長官との電話会談、英国外務閣外大臣、中国外交部長等との立ち話。
橋本副大臣:ハン・ベトナム党中央対外委員長主催晩餐会出席。その他各国との立ち話。
会合初日朝に行われた北朝鮮の核実験を受け、中曽根大臣の主導により、北朝鮮の核実験に関する声明を発出し、アジア・欧州の外相が一致して強いメッセージを発出できた。
新型インフルエンザが世界各地に拡がっている中、我が国が資金拠出を行った「ASEM新型インフルエンザ対策事業」の開始式に中曽根大臣が出席し、国際協調の重要性を訴えるとともに、我が国の協力を時宜を得た形でアピールし、各国から高い評価を得た。
アジアと欧州の43カ国・2機関が一堂に会する中で、国際経済・金融危機、気候変動等のグローバルな課題、国際情勢・地域情勢につき、活発かつ有意義な意見交換を行ったほか、短い日程の中で多くの国との二国間会談を行うことができた。