アジア欧州会合(ASEM)
ASEMの活動
ASEMは、アジアと欧州という2つの地域間で、相互尊重及び相互利益に基づく平等な関係の下、両地域の共通の関心事項について、オープンで包括的な「対話と協力の枠組み」として活動しており、具体的な分野としては、政治、経済、社会・文化その他の3つの柱を中心に、それぞれ以下のような活動を行っています。
政治の柱
ASEMは、アジア・欧州両地域共通の関心事項についての対話が行われ、議長声明等の文書が発出される特別な場となっています。その関心事項は、その時々の国際情勢に応じて、主要な地域情勢、安全保障及び国連を含む国際秩序等様々ですが、近年では特に、テロリズム、海洋の安全保障、エネルギー安全保障、防災、移民問題等グローバルな課題が採り上げられてきています。また、ASEMは形式にとらわれない非公式会合であるため、民主主義、人権、法の支配、言論の自由等の基本的価値に関する問題についても自由な意見交換が行われてきています。
テロ対策分野での協力:ASEMテロ対策会議(ASEM Conference on Counter Terrorism)
第4回首脳会合において国際テロリズム及び国際組織犯罪に関するASEM協力を促進することが合意され、平成15年9月、第1回ASEMテロ対策会議が北京(中国)で開催されました。以後、平成23年まで年に1回会議が開催され、平成19年5月には、東京で第5回テロ対策会議が開催されました。
議会間における協力:アジア欧州議員会議(ASEP:Asia-Europe Parliamentary Partnership Meeting)
平成7年12月、議会の立場からASEM首脳会合をフォローアップすることが合意され、平成8年4月、第1回アジア欧州議員会議(ASEP) がストラスブール(フランス)で開催されました。以後、アジアと欧州との議会間対話を通じてアジア・欧州間のパートナーシップを促進すること、及び、それによりアジア欧州会合(ASEM)プロセスの発展に寄与することを目的に、2年に1度、首脳会合に合わせて開催されています。経済の柱
ASEMにおいては、グローバル化と持続可能な開発に焦点を当てつつ、アジア・欧州間の経済・金融分野での協力関係の更なる発展や、気候変動問題を始めとする環境問題等グローバルな課題への取組みについて議論が行われてきています。また、例えば、アジア欧州ビジネスフォーラム(AEBF)との連携のように、民間部門との対話の促進も進めてきています。
アジア欧州ビジネスフォーラム(AEBF:Asia Europe Business Forum)
アジア・欧州間の経済関係を強化するためには、民間部門の知見を活用していくことが重要です。平成8年10月パリ(フランス)で開催以来、アジア欧州ビジネスフォーラムでは、アジア・欧州双方の民間企業関係者が一堂に会し、両地域間の貿易・投資促進のため、現場の視点から様々な問題提起や提言を行っています。平成16年のハノイ(ベトナム)での第9回会合の後は、2年に一度、首脳会合に合わせて開催されています。
税関協力:ASEM関税局長・長官会議
税関手続の調和・簡素化、麻薬取引の防止のための協力強化の方途として、税関当局間の緊密な協力を実施することを橋本総理(当時)が第1回首脳会合において提案。これを受けて、平成8年6月に中国ので第1回会合が開催され、以後原則2年に1回関税局長・長官会議が開催されています。また、局長・長官会議の下に、手続作業部会、監視作業部会が設置され、協力強化について作業を行っています。平成19年11月12~13日には、横浜で第7回会合が開催され、成果が横浜宣言としてとりまとめられました。
社会・文化その他の柱
ASEMでは、アジアと欧州のより深い相互理解のためには、両地域間の文化的つながりの強化、特に市民間の緊密な交流の促進が必要との観点から、文化、芸術、教育の各活動や両地域の若者や学生の交流を支援してきています。
移民管理:移民管理局長級会合(ASEM Conference of Directors General of Immigration and Management of Migratory Flows)
平成14年4月、ランサローテ島(スペイン)において開催された移民管理大臣会合において、移民管理に関する局長級会合を開催することが合意されました。これを受け、同年9月に第1回局長級会合が開催され、以降原則的に毎年開催されています。平成25年10月に第12回会合を日本で開催し、経済政策としての移民政策について意見交換を行いました。
信仰間の対話(ASEM Interfaith Dialogue)
国際紛争、テロなどの背景には、異なる文明・宗教間の対立があるとの観点から、多様な信仰の存在するアジア・欧州地域において、信仰間の相互理解と尊重を育み国際平和に寄与するための対話の場として、平成17年7月、バリ島(インドネシア)において「ASEM第1回異なる信仰間の対話」が開催されました。それ以降、不定期に開催されています。平成23年10月に開催された第7回会合では、「マニラ宣言」が採択され、移民をとりまく諸問題についても信仰間の対話を通じて対処していくこと等が提案されました。
ASEM知事・市長会合(ASEM Meeting of Governors and Mayors)
平成23年10月、東京都が出席したジャカルタ(インドネシア)で開催された会合以来、不定期に開催されています(第2回、平成24年10月、於:ベルリン(ドイツ)、第3回、平成27年3月、於:バンコク(タイ)、第4回、平成29年5月、於:リスボン(ポルトガル))。各自治体における災害発生時の対応、環境問題、公共交通対策、及び観光・文化の多様性といった幅広いテーマについて議論され、最終日には、共同宣言が採択されています。
市民社会間における協力:アジア欧州市民フォーラム(AEPF:ASEM People’s Forum)
平成9年、ASEM創設を機にアジアと欧州のNGOによる国際会議が開催されて以降、平和、参加型民主主義、社会及び環境に関する正義、人権及び民族自決権の原理に基づく世界の実現に寄与することを目的として、2年に1度、首脳会合の開催時期に合わせ、アジアと欧州の12のNGO主導により、アジア欧州市民フォーラム(AEPF)が開催されています。