カンボジア王国

基礎データ

令和6年4月17日
カンボジア王国国旗

一般事情

1 面積

181,035平方キロメートル

2 人口

16.9百万人(2023年国連人口基金)

3 首都

プノンペン

4 民族

人口の90%がカンボジア人(クメール人)とされている。

5 言語

クメール語

6 宗教

仏教(一部少数民族はイスラム教)

7 略史

年月 略史
9~13世紀 現在のアンコール遺跡地方を拠点にインドシナ半島の大部分を支配。
14世紀以降 タイさらにベトナムの攻撃により衰退。
1884年 フランス保護領「カンボジア王国」。
1953年 カンボジア王国としてフランスから独立。
1970年 ロン・ノルら反中親米派、クーデターによりシハヌーク政権打倒。王制を廃しクメール共和制に移行。
親中共産勢力クメール・ルージュ(KR)との間で内戦。
1975年 KRが内戦に勝利し、民主カンボジア(ポル・ポト)政権を樹立。同政権下で大量の自国民虐殺。
1979年 ベトナム軍進攻でKR敗走、親ベトナムの「カンプチア人民共和国」(プノンペン(ヘン・サムリン)政権)擁立。
以降、プノンペン政権とタイ国境地帯拠点の民主カンボジア三派連合(KRの民主カンボジアに王党(シハヌーク)派・共和(ソン・サン)派が合体)の内戦。
1991年 パリ和平協定。
1992年 国連カンボジア暫定機構(UNTAC)活動開始(1992~93年、日本初の国連PKO参加。)
1993年 UNTAC監視下で制憲議会選挙、王党派フンシンペック党勝利。新憲法で王制復活。ラナリット第一首相(フンシンペック党)、フン・セン第二首相(人民党:旧プノンペン政権)の2人首相制連立政権。
1997年 首都プノンペンで両首相陣営武力衝突。ラナリット第一首相失脚。
1998年 第二回国民議会選挙。第一次フン・セン首班連立政権。
1999年 上院新設(二院制へ移行)。ASEAN加盟。
2003年 第三回国民議会選挙。
2004年 第二次フン・セン首班連立政権発足。
シハヌーク国王引退、シハモニ新国王即位。WTO加盟。ASEM参加決定。
2006年 第一回上院議員選挙
2008年 第四回国民議会選挙。第三次フン・セン首班連立政権発足。
2012年 第二回上院選挙。ASEAN議長国。(二回目)
2013年 第五回国民議会選挙。フン・セン首相首班政権発足。
2018年2月 第三回上院選挙。
2018年7月 第六回国民議会選挙。フン・セン首相首班政権発足。
2023年8月 第七回国民議会選挙。フン・マネット首相首班政権発足。

政治体制・内政

1 政体

立憲君主制

2 元首

ノロドム・シハモニ国王(2004年10月即位)

3 国会

二院制
上院
(全62議席、任期6年、フン・セン議長(人民党党首))
国民議会(下院)
(全125議席、任期5年、クオン・ソダリー議長(人民党))

4 政府

首相:フン・マネット

5 政治情勢

 フン・セン首相率いる人民党が安定政権を維持してきたが、2013年の国民議会選挙、2017年の地方選挙で野党救国党が躍進。17年9月、司法当局はケム・ソカー救国党党首を国家反逆罪で拘留、11月には同党を解党し、幹部118名を5年間の政治活動禁止処分とした。2018年7月の国民議会選挙には、野党蝋燭の火党の立候補申請が拒否されたが、人民党を含む20の政党が参加して実施され、人民党が77%の得票を得て、全125議席を獲得した。2023年7月の国民議会選挙では、人民党が120議席、約7.5%の支持を得たフンシンペック党が5議席を獲得した。選挙での大勝を受けて、フン・セン首相は退任し、フン・マネット氏が率いる新政権が成立。2024年2月の上院選挙後、フン・セン前首相は上院議長に就任した。

外交・国防

1 外交基本方針

中立・非同盟、近隣国をはじめとする各国との平和共存。国際社会からの援助と投資の取り付け。

2 軍事力

  • (1)国防費 約10億米ドル(ミリタリーバランス2023より)
  • (2)志願兵役制
  • (3)総兵力 約124,000人(ミリタリーバランス2023より)

経済

1 主要産業

農業(GDPの24.3%)、工業(GDPの39.2%)、サービス業(GDPの36.4%)(2021年、ADB資料)

2 名目GDP

約309億米ドル(2023年、IMF推定値)

3 一人当たりGDP

1,920米ドル(2023年、IMF推定値)

4 物価上昇率

2.0%(2023年、IMF推定値)

5 失業率

不明

6 貿易総額(2022年、カンボジア関税消費税総局統計)

(1)輸出
225億米ドル
(2)輸入
299億米ドル

7 主要貿易相手国(2022年、カンボジア関税消費税総局統計)

(1)輸出
米国(39.9%)、EU(18.0%)、ベトナム(9.6%)、中国(5.5%)、日本(5.2%)
(2)輸入
中国(34.9%)、ベトナム(13.2%)、タイ(12.8%)、シンガポール(10.8%)、日本(2.6%)

8 通貨・為替レート

リエル(1米ドル=4,044リエル、2024年4月時点。カンボジア中央銀行資料)

9 経済概況

 カンボジア経済は2004年から2007年までの4年間、10%を超える高い経済成長を記録した。しかし、サブプライムローン問題に端を発した世界同時不況の影響を受け、2009年の経済成長率は0.1%まで落ち込んだものの、翌年の2010年には6.1%にまで回復した。2011年以降2019年までは、堅調な縫製品等の輸出品、建設業、サービス業及び海外直接投資の順調な増加により、年率約7%の安定した経済成長を続けていた。2020年は新型コロナウイルスの影響を受けてマイナス成長となったが、2021年以降回復しつつある。

経済協力

1 日本の援助実績

(1)有償資金協力
約2,750億円(2023年度までの累計)
(2)無償資金協力
約2,446億円(2023年度までの累計)
(3)技術協力
約1,026億円(2023年度までの累計)

2 主要援助国・機関の支援額(2020年推計値)(単位:百万ドル、出典:カンボジア開発評議会(CDC))

中国(421.6)、日本(336.5)、ADB(283.1)、世銀(140.8)、EU(90.3)、韓国(58.0)、米(43.9)

二国間関係

1 政治関係

日本は1992年3月に駐カンボジア特命全権大使を任命し、在カンボジア大使館を17年ぶりに再開。一方、カンボジア側は1994年12月、1975年以来閉鎖していた在京カンボジア大使館を再開。2023年1月両国関係を包括的戦略的パートナーシップに格上げ。

2 経済関係

(1)対日貿易(2023年、財務省貿易統計)
ア 貿易額
日本への輸出 約2,692億円
日本からの輸入 約704億円
イ 主要品目
日本への輸出 衣類、履物、革製品
日本からの輸入 一般機械(建設機器等)、輸送機器(車両、バイク等)、食料品(肉類等)、電気機器、織物用糸及び繊維製品機器
(2)日本からの直接投資
ア 投資承認額(1994~2022年実績、カンボジア開発評議会(CDC))
約30億ドル
イ 投資対象分野、進出企業
縫製、製靴、自動車部品、医療、建設部材、小売業大手、ホテル等
(3)2007年6月、「投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とカンボジア王国との間の協定(いわゆる日カンボジア投資協定)」に署名し、2008年7月末に発効した。
(4)2015年1月、「航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定(いわゆる日・カンボジア航空協定)」に署名し、2016年5月発効した。2016年9月に成田・プノンペン間の直行便が就航した(現在休航中)。

3 文化関係

(1)毎年、在カンボジア日本大使館、カンボジア日本人材開発センター(CJCC)及び国際交流基金アジアセンタープノンペン事務所が共催で、「日カンボジア絆フェスティバル」(2月)、「七夕フェスティバル」(7月)、「日本映画祭」を開催。

(2)1993年10月、「アンコール遺跡救済国際会議」(東京)を開催。以降、同会議で設置されたアンコール遺跡保存修復国際調整委員会(ICC)において例年日本はフランスと共に共同議長を務めている。また、1994年より日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA)を通じ、アンコール遺跡内のバイヨン遺跡で保存修復活動を実施中。2006年からは、アンコール地域遺跡整備機構(APSARA機構)と共同でJASAとして活動している。その他、上智大学は、1996年から修復等の協力を実施し、2023年にアンコールワット西参道の修復事業が完了した。

(3)1992年以降日本が受け入れたカンボジア人国費留学生は1,400名以上。

4 在留邦人数

3,215人(2023年10月時点、在留邦人数調査)

5 在日カンボジア人数

21,592人(2023年6月時点、入管統計)

6 要人往来

(1)往
年月 要人名
1957年11月 岸総理大臣
1959年5月 藤山外務大臣
1993年9月 羽田副総理大臣兼外務大臣
1995年8月 河野副総理大臣兼外務大臣
2000年1月 小渕総理大臣
2001年6月 秋篠宮同妃両殿下
2002年11月 小泉総理大臣(ASEAN関連首脳会議)
2003年6月 川口外務大臣
2005年6月 町村外務大臣
2006年8月 横路衆議院副議長
2009年1月 中曽根外務大臣
2009年10月 岡田外務大臣(日メコン外相会議)
2012年6月 皇太子殿下(東南アジア御訪問)
2012年7月 玄葉外務大臣(ASEAN関連外相会議)
2012年11月 野田総理大臣(ASEAN関連首脳会議)
2013年2月 秋篠宮殿下(故シハヌーク前国王葬儀御出席)
2013年11月 安倍総理大臣
2014年6月 岸田外務大臣
2014年8月 輿石参議院副議長
2018年4月 河野外務大臣
2020年8月 茂木外務大臣
2022年3月 岸田総理大臣
2022年8月 林外務大臣(ASEAN関連外相会議)
2022年11月 岸田総理大臣(ASEAN関連首脳会議)
(2)来
年月 要人名
1953年4月 シハヌーク国王陛下
1955年12月 シハヌーク首相(国賓)
1961年10月 シハヌーク国家首席
1984年5月 シハヌーク民主カンボジア連合政府大統領
1988年8月 シハヌーク民主カンボジア連合政府大統領、子息シハモニ殿下(現国王)
1989年2月 ラナリット同妃両殿下(大喪の礼)
1990年6月 シハヌーク民主カンボジア連合政府大統領、フン・セン・プノンペン政権首相(カンボジア和平に関する東京会議)
1992年6月 シハヌーク最高国民評議会議長
1994年3月 ラナリット第一首相夫妻、フン・セン第二首相夫妻、シリヴット副首相兼外務国際協力相(カンボジア復興国際会議)
1999年6月 チア・シム上院議長(5度目)
2002年3月 ラナリット下院議長(8度目)
2003年2月 ハオ・ナムホン上級大臣兼外務国際協力大臣(外賓)
2003年12月 フン・セン首相(13度目)
2005年5月 フン・セン首相(14度目)
2005年5月 ハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力大臣(第7回ASEM外相会合)
2007年2月 ハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力大臣(外賓)
2007年6月 フン・セン首相(15度目・公賓)
2007年10月 ヘン・サムリン下院議長
2008年1月 ハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力大臣
2009年11月 フン・セン首相(16度目)
2010年5月 シハモニ国王陛下(国賓)
2012年1月 ヘン・サムリン下院議長
2012年4月 フン・セン首相(17度目)
2013年12月 フン・セン首相(18度目・日ASEAN特別首脳会議、実賓)
2015年3月 フン・セン首相(19度目・国連防災世界会議)
2015年7月 フン・セン首相(20度目、日メコン首脳会議)
2016年2月 サイ・チュム上院議長(参議院招へい)
2017年8月 フン・セン首相(21度目、実賓)
2018年9月 プラック・ソコン副首相兼外務国際協力大臣
2018年10月 フン・セン首相(22度目、日メコン首脳会議)
2019年5月 フン・セン首相(23度目)
2022年4月 フン・セン首相(24度目、アジア・太平洋水サミット)
2022年9月 フン・セン首相(25度目、安倍晋三元総理国葬儀)
2023年1月 プラック・ソコン副首相兼外務国際協力大臣(外賓)
2023年12月 フン・マネット首相(日ASEAN特別首脳会議)

7 二国間条約・取極

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