
平成24年度(2012年度)国際情勢講演会 開催報告
平成24年9月30日
―主催:神奈川県―
平成24年9月30日(日曜日)地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)(横浜市)において,外務省アジア大洋州局中国・モンゴル第一課遠山地域調整官による国際情勢講演会が開催されました。
演題:「対中外交の現場から~躍進する中国と新たな日中関係の展望」
(講演要旨)
日中関係には,これまでも中国の内政・社会事情が大きく影響してきた。中国では,急速な経済成長に伴い,失業問題,汚職問題,経済格差等様々な内政の課題を抱えている。外交面では,国際社会との協調を重視している一方で,安全保障,人権問題等,譲れない国家の核心的利益があり,国際社会での摩擦が生じている。東シナ海をめぐる問題等,近年,日中の安全保障に関わる問題が表面化してきた中,日中間の政治的な信頼関係の立て直しが重要である。
昨今の尖閣諸島をめぐる状況については,両国の考え方が大きく異なっている。両国が冷静になり,相互理解を増進し,地方自治体,民間レベルでの交流を進めていくことが必要である。
質疑応答要領:
- 質問:尖閣諸島について,中国側は棚上げしたとしているが,日本側はそれに賛同したわけではないと主張している。どうしたら現状を改善できるか。
- 回答:日本側が中国独自の主張を受け入れられないのは,棚上げは,領土問題が存在することを意味する。双方の言い合いを止め,鎮静化することが必要。また,他の分野で交流を進めることで,感情的な部分が薄れると考える。
- 質問:外務省は,領土問題は存在しないということだが,その主張を通すことで,日中関係がどういう展望になるのか。また,両国の尖閣諸島に係る歴史認識の違いをどう考えるか。
- 回答:まずは,頭を冷やすことが重要であり,その上で,政治家,学者を含めて冷静に話す場所を作ることが必要。尖閣諸島をめぐる経緯は,外務省のHPに詳細を掲載したばかりのため,確認してほしい。日本側として主張したいのは,尖閣諸島が日本領土へ編入後,70年以上は,中国からクレームがなかったということである。
参加者の感想(抜粋):
- 時間が短い,もっと討論する時間がほしかった。消化不良です。
- 事情が許す限り多く開催していただきたい。
- 現役の外交に係わっている方から直接聞ける機会はなかなか無く(都心は別としても),一般市民にとってとても有益と思います。