平成24年6月15日
平成24年6月15日(金曜日)名古屋大学において,滝崎成樹 外務省人事課長(前在米国日本大使館公使)による国際情勢講演会が開催されました。
日本の対米国広報の最前線で,相手国市民への直接的説得である広報外交(パブリック・ディプロマシー)の立案・実行に当たった貴重な経験を紹介した。パブリック・ディプロマシーに係わる政府の取組(含む 米国)の概観を示した上で,震災に係わる活動を紹介。
震災直後の時期には,藤崎駐米大使の累次のテレビ出演を通じて,事実を正確に伝えることに広報外交の主眼を置き,次に状況が一定程度落ち着き始めた時期には,支援への感謝を表明する一方で,復活する日本のアピールに,その後は,震災とそれに対する多大の支援を契機とした日米関係の発展と深化のための活動にと力点を移していった。その中で,被災地の方による地場産業の復活の直接アピールなど,日本人の生の声で復興を訴える広報外交も模索した。
一方で,近年,米メディアは「衰退する日本」という視点からの報道をすることが増え,反論に苦慮した。広報外交に多大な予算を投入する新興国に比べ,日本は財政的制約から防戦に回っているものの,パブリック・ディプロマシーの重要性がますます大きくなっていくであろう旨指摘。ただし,最後に問われるのは日本の国としての実力,真の姿であると強調した。