平成23年10月22日
平成23年10月22日(土曜日)京都新聞文化ホールにおいて,大島賢三氏(独立行政法人国際協力機構顧問),モンテカセム氏(学校法人立命館副総長)による国際情勢演会が開催されました。
国連は戦争・紛争やテロによって起こることについては人災として対策を講じている。しかし,天災にともなう人災については対処してこなかった。もし,自然の脅威に対してもう少し謙虚な姿勢で対処していれば,もう少し被害規模は小さかったかもしれない。また,貧しい国を災害が襲うと貧困が悪化する。災害支援と国際システム,南北格差の問題は世界が直面している重要なテーマではないか。
災害は人間の営みと密接な関わりをもつものだから,防災というよりは減災という意識で対処していくことが重要になる。できるだけ被害を少なくする努力を,現実的に実行可能な政策として構築していく必要がある。
各国の救助隊装備内容に優劣があったり,またチームとしての技術力に歴然と差のある場合がある。さらには,こうした救助隊の活動は各国とも自国民の注目を集めるのでマスコミがこぞって到着し,取材合戦を展開する。こうした混乱を招かないための事前調整,秩序づくりのひとつとして,各国の国際支援救助隊の装備に関するテストを行い,その内容の充実度で重量級・中量級・軽量級と認定する制度がある。原則,救助活動を行うには被災国の指示なしには行動できないが,被災国側が各国の救助隊の特徴を把握していないとその指示は出しにくい。が,救助隊の装備レベルが明快だと,被災国は「重量級救助隊にだけ来てほしい」といった要望を出しやすいのである。こうした制度が機能すれば,災害現場の秩序は保たれると考えている。
JICAは各NGOと積極的に協力しあっている。長いキャリアと経験をもつNGOは各地に事務局をもち,世界中どの場所へ行っても基盤のある状態で即行動を起こす,今やなくてはならない存在だ。ますますその活動に期待が寄せられるであろう。