
平成23年度(2011年度)国際情勢講演会 開催報告
平成23年6月13日,14日
―主催:日本国際連合協会福岡県本部―
平成23年6月13日(月曜日)九州国際大学(北九州市),6月14日(火曜日)福岡大学(福岡市)において,外務省広報文化交流部総合計画課岸守首席(元UNHCR駐日副代表)による国際情勢講演会が開催されました。
演題:「難民問題を解決するということ―難民を通して国際問題を考える―」
- (講演要旨):
- 60年前にUNHCRが発足したときは,東側共産主義国から西側民主主義国へ逃れた難民の受け入れという簡単な任務が短期間で終了すると考えられていた。しかし,その後も難民・避難民の数は増え続け,国内避難民や帰還民など新しい問題も生じた。それに伴って,UNHCRの任務も,1990年代に緒方高等弁務官の強い指導力の下,国境を越えた難民を保護する単純なものから,「難民になれずに」自国内を逃げ回っている国内避難民を保護したり,故郷に帰還する難民に同行して開発支援が入ってくるまで生活支援を行う等,包括的なものへと変化した。
難民問題は国際問題の歪みが表面に現れている現象にすぎない。本当の意味で問題を解決するには,法の支配や開発,人間の安全保障の分野も視野に入れて包括的に対処しなければならない。また,難民はいつまでも援助を受けることを望んではいないし,難民の中にも勉強のできる人や足の速い人がいる。アインシュタインも難民だった。同情するのではなく,難民の持っている力を認めて,誉めて,伸ばす応援が必要だ。
参加者の感想(抜粋):
- 今日の講演は,とても考えさせられました。また難民に対しての考えが改まり,UNHCRの考え方が,「カワイソウ」から「カッコイイ」へ変化したり,愛のある
難民支援を心がけていることを知ったりできたので,もっとUNHCRの活動を知りたくなりました。
- 支援をするということはどういうことか,というのがわかりました。人間として誇り
を持って自立し,出来れば又その人が他の人を支援出来る位までに....身近な支援にも応用が出来ると思いました。
- 支援するのはすごく大事なことだと思うのですが,難民の人たちを「かわいそう」と思うのは,本人たちにとってすごくプライドが傷つくことを今日のお話で知りました。
彼らの持っている能力を伸ばしてあげることが自分にもできたらと思いました。
- 難民問題は知られているけど,詳しく学んでいなかったため,今日はすごく勉強になりました。これからも難民問題だけでなく,他の国際情勢を知りたいと思いました。
- 日本はもっと難民を受け入れるべきで,国外では支援しても日本国内での受け入れは少ないと思っていました。今日の講演を聴いて,マスコミも使って日本国内の受け入れ態勢を確保して行けたらよいと感じました。
- 初めて難民の話を聞いて,他人事ではないなと改めて実感しました.もし隣に難民が引っ越してきたら貴方はどうしますか?と質問されて,考えさせられました。
- 自分のいる世界とは少し違った現実が見られて,とてもためになりました。参加出来て良かったです。