
外交史料館報 第25号(平成24年3月)
目次と概要
口絵
特集I 追悼 細谷千博先生
- 講演記録 細谷千博「太平洋戦争とは日英戦争ではなかったのか」
- 略年譜・主要業績一覧
- 追悼文(石田訓夫,波多野澄雄,有賀貞,池井優,石井修,入江昭,臼井勝美,海野芳郎,大河原良雄,Ian Nish)
平成23年9月21日,細谷千博・前『日本外交文書』編纂委員長(一橋大学名誉教授)が逝去された。細谷前委員長は,学界の重鎮として外交史・国際政治研究を牽引,内外の研究者の育成に力を注がれるとともに,外交史料館開設の最大の功労者ともいうべき存在として,40年間にわたり,当館の編纂事業に多大な貢献をされた。
本特集では,細谷前委員長の追悼特集として,これまで未発表であった講演記録および細谷委員長と深い交流を有した方々からの追悼文を掲載した。
特集II 『日本外交文書 日中戦争』
- 『日本外交文書』論評:戸部良一,鹿錫俊,冨塚一彦「『日本外交文書 日中戦争』所収文書から見る和平工作の諸相」
平成23年11月28日,外交史料館で行なわれた研究会の記録。平成23年3月に刊行した『日本外交文書 日中戦争』の所収文書から,日中戦争の和平交渉を考察する研究会を座談会形式で行った。
平成23年3月に刊行した『日本外交文書 日中戦争』の概要を紹介。本書は,昭和12年7月の日中戦争発生から昭和16年12月の太平洋戦争開戦までの時期における日中戦争関係についての外務省記録を特集形式により編纂し,4冊に分けて刊行したもの。
- (参考リンク)
- 『日本外交文書 日中戦争』(全4冊)
平成23年7月から10月まで外交史料館において開催された特別展示についての解説。本特別展示では,『日本外交文書 日中戦争』に収録された文書の中から,日本の方針や対応を示す興味深い文書を選び,日中戦争をめぐる日本の外交活動を点描した。
- (参考リンク)
- 日中戦争と日本外交
研究会
平成23年9月2日,外交史料館で行なわれた研究会の記録。先の大戦の呼称について,「太平洋戦争」「大東亜戦争」「十五年戦争」「アジア・太平洋戦争」等それぞれの呼称の歴史的背景と問題点を検討した。
史料紹介
- 原口邦紘「第二次世界大戦下日本・スペイン公使館昇格問題に関する須磨弥吉郎覚書」
本稿では,第二次世界大戦下の昭和16年1月末,特命全権公使としてフランコ政権下の中立国スペインに着任した須磨弥吉郎が,帰国する直前の昭和21年1月までに執筆した回想録・随筆(計151冊)の中から,在スペイン国公使館の大使館への昇格問題に関する回想録綴を取り上げて紹介。
当該昇格問題は,須磨公使赴任前の昭和15年頃から日本・スペイン間で断続的に取り上げられてきたが,須磨在任中には不首尾に終わった。しかし,本件交渉におけるスニエル外相や後任のホルダナ外相の発言等からは,当該期におけるスペインの立場や対日政策の変化等がうかがえる。
- 神山晃令「昭和3年10月11日付吉田茂宛佐藤尚武意見書」
昭和3年9月の第九回連盟総会開催にあたり田中首相兼外相は,同年6月4日に勃発した「張作霖爆殺事件」に関する審議の可能性を懸念し,連盟総会代表に安達峰一郎在仏国大使および永井松三在ベルギーの両ベテラン大使に加えて,中国問題に精通しているとして藤村義朗貴族院議員を任命した。本稿では,この代表選出に関して,総会代表随員であった佐藤尚武国際連盟帝国事務局長が,10月11日付で吉田茂外務次官に対して送付した「意見書」を紹介。
活動報告
平成23年4月1日の「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)施行に伴い,外交史料館では同法に基づく規則類を整備し,新たな運用を開始した。本稿では,外交史料館の法的な位置づけ,利用請求の手順や現行の外交記録公開制度など,法施行後の外交史料館の役割と利用方法を紹介。
- 整理保存班「外交史料館所蔵戦後期外務省記録の状態調査」
外交史料館では,平成22年度末から23年度にかけて,移管された戦後期外務省記録(1945-2000年)約2700冊を5年ごとに区分し,その2.5%~3.0%にあたるファイル545冊より抽出した5378点を対象に状態調査を行った。本調査は,戦後急速に多様化した支持体(紙質など),記録方法(多様な複写方法や筆記用具等)に特に注目して状態を確認し,その結果を今後の代替化や修復計画,また原本を利用する際の判断に役立てることを目的としたものである。本稿では,その調査結果について報告した。
外交史料館ニュース
平成23年1月より12月までの外交史料館における主なニュース。(1)外交記録公開,(2)所蔵記録のマイクロフィルム・デジタル化の実施,(3)「外交史料Q&A」の掲載,(4)展示,(5)「川上俊彦関係史料」「侯爵小村寿太郎伝」の公開。
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