外務本省

外交史料館報 第22号(平成20年12月)
目次と概要

口絵

研究会

 平成20年3月7日、外交史料館において開催された研究会の記録。第二次世界大戦におけるフランスの降伏が仏領インドシナに与えた影響と日本の対仏印政策の変遷を概観。仏印をめぐって日仏が「仏印進駐」のみならず援蒋ルートや経済問題など多様な問題で交渉を行っていたことを指摘。また、フランスを中心に日本、ベトナムなどにおける関連史料の残存状況を紹介。

 平成20年3月14日、外交史料館において開催された研究会の記録。紙史料を中心とした歴史的文書の保存について、酸性紙問題、温湿度管理、防虫・防カビ対策などの具体的方策について解説。長期保存のために史料に合わせた戦略の必要性を指摘。

論評

  戸部 良一、服部 龍二、冨塚 一彦  53ページ

 昭和11年から12年7月までの対中国関係を編纂した標記巻の項目のうち、「川越・張群会談」関係の採録文書について論評したもの。具体的な交渉過程に関する検討を踏まえ、当時の情勢にかんがみて交渉の妥結は極めて困難であったこと、他方、日中戦争前の両国間における最後の本格的な外交交渉であった同会談の打ち切りは、その後の日中関係に大きな影響を与えたことなどが指摘。

研究ノート

 シアトル市に現存する石灯籠と二つの碑文を手がかりに、昭和初期、排日移民法制定を背景に悪化していた日米関係の改善を企図して試みられた日米親善策について、同時期に行われた他の都市間交流の例にも目を配りつつ考察したもの。

 日本の国際連盟脱退確定後、常任理事国の地位獲得のため積極的運動に乗り出した中国の動向について、連盟内での討議の様子と非連盟国となった日本側の反応を中心に明らかにしたもの。

史料紹介

 英国には、幕末・明治初期に、留学をはじめ様々な目的で渡英し、同地で亡くなった邦人の墓が散在している。本稿は、現地調査により明らかになった墓の碑文をてがかりに彼らの足跡をたどり、初期の日英交流の一側面に光を当てたもの。

 昭和16年3月から4月にかけて行われた松岡洋右外相の欧州訪問において、同外相は訪欧の途中、ヴィシーに立ち寄ることを計画した。本稿はあまり知られていないこの事実に着目し、フランス外務省外交文書館が所蔵する関連記録を紹介しつつ、松岡外相指導下の対仏印政策に検討を加えたもの。

特別展示

 平成19・20年度に当館で開催した2つの特別展示に関して、各展示の特色や展示史料を紹介したもの。

(参考リンク)
 吉田茂展 没後四十年
 日本とブラジル―史料でたどる交流史―

戦後外交記録公開

 外務省では、昭和51年に行われた第1回外交記録公開以来、原則として、作成から30年以上経過した戦後外交記録を対象として、審査の上、公開している。本記事は、平成19年8月30日に行われた第20回外交記録公開について、大臣官房総務課外交記録審査室がその概要を紹介したもの。

(参考リンク)
 「第20回外交記録公開」について

『日本外交文書』概要

 平成20年3月に刊行した本巻の概要をまとめたもの。本巻は、昭和11年から12年7月までの我が国の対中国外交に関する文書1220文書を採録した。

(参考リンク)
 昭和期II第一部第五巻(上・下)(昭和11-12年7月対中国関係)

外交史料館ニュース  208ページ

 2007度の外交史料館における主なニュース。(1)戦後外交記録公開、(2)所蔵記録のマイクロフィルム、デジタル化の実施、(3)外交史料館所蔵条約書のアジア歴史資料センター・デジタル展示会への出陳、(4)「外交史料Q&A」の掲載、(5)第九回外交文書編纂者国際会議(2007年ダブリン会議)への参加、(6)展示、(7)「霞関会文庫」の公開。

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