外務本省

第2回国際エネルギー・ビジネス・フォーラム
(概要と評価)

平成18年4月

1.概要

(1)4月22日、カタールのドーハにて、59各国政府・6国際機関及び32のエネルギー関連企業の代表が参加し、第2回国際エネルギー・ビジネス・フォーラム(IEBF:International Energy Business Forum)が開催された(主催国はカタール、共催国はイタリア及び中国)。

 :本ビジネス・フォーラムは、前回(第9回)国際エネルギー・フォーラム(IEF、2004年5月に蘭アムステルダムで開催)の際に初めて開催された各国大臣と企業による対話の場)

(2)我が国からは、遠山外務大臣政務官が、午後の第4セッション(テーマ:パートナーシップ)にパネリストとして参加し、1)政府から我が国企業に対する政策的支援、民間から生産国への技術指導等による官民の協力体制、2)過去の公害問題や石油危機を乗り越えた経験を生かした、我が国の取組み(随伴ガス対策、バイオエタノール等)3)技術のみならず、制度や人材育成面での協力による途上国支援についてスピーチを行った。また、民間からは石油連盟を代表して、新日本石油(株)佐谷信副社長が出席。

(写真)
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(3)本フォーラムの主要議題は、「未来への燃料供給-バランスの探求-」。エネルギー安全保障の向上のための生産国と消費国との対話に対して、官民協力の観点から効果的なインプットを行うことを目的とするもの。出席した企業からは、技術の向上や若手技術者の育成についての取り組みが急務であるとともに、政府に対して、エネルギー業界のイメージ向上につながるような支援を打ち出して欲しいとの要望があり、参加国政府からは、今後中国・インドを中心に需要の伸びが予想される中、エネルギー安全保障の観点から、投資の重要性について、議論が活発に行われた。

2.評価

(1)今次会合は、WTI原油価格が連日、史上最高値を更新している最中に開催された(:4月21日NYMEXにおけるWTI原油価格は一時75.35ドル/バレルを記録)。産油国政府から、現在の原油価格高騰の要因分析として、イランの核開発問題やナイジェリアの原油供給途絶等、地政学的要因及び投機的資金の流入によるとの見方が示され、産油国の生産余力の減少は主要因ではないとの発言があったが、実際は需給関係の逼迫が油価高騰の背景にあると思われ、我が方としては、引き続き需給動向を注視しつつ、生産国に対して然るべくメッセージを送っていく必要があると考えられる。

(2)パネリスト19名のうち、12名がエネルギー関連企業のトップが務めたこともあり、企業の上流部門における現状の紹介と、今後の課題として、業界のイメージアップに政府の支援を得たいとの声が多く聞かれた。BP p.l.c.等のメジャーの本音としては、「小さい政府」が望ましく、市場メカニズムを尊重し、政府は必要最小限の真に必要な役割を果たしてくれることを希望するということであったと思われる。また残り7名の政府関係者のパネリストのうち、産油国が5カ国となったこともあり、消費国及び企業に対する投資増強の呼びかけとなったが、わが国からは消費国の代表として、官民協力のあり方や、環境とエネルギーの両立、途上国支援について、生産国及び消費国双方の立場を勘案したバランスの取れた提案が出来たことは、有意義であった。

(3)生産国-消費国、先進国-途上国、官民双方が一致した論点としては、エネルギー効率の向上の必要性、特に温室効果ガスの削減による気候変動問題対策があった。

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