アフリカ
安倍昭恵総理夫人の中東及びアフリカ訪問(概要)
(平成26年1月9日~14日)
訪問先等一覧
1 オマーン(1月9日)
- (1)スルタン・カブース大学視察
- ア ラーウィヤ高等教育大臣及びビーマニ同大学副学長との懇談
- イ 女子学生との懇談
- ウ 「昭恵文庫」寄贈
- (2)ラーウィヤ高等教育大臣主催夕食会
2 コートジボワール(1月10~11日)
- (1)ベンジェルビル孤児院視察(10日)
- (2)経営・情報・スポーツ・芸術グループ(中・高等学校)視察(11日)
3 モザンビーク(1月12日)
- (1)マプト中央市場視察
- (2)農村及び農業組合視察,農業関係の元国費留学生及び青年海外協力隊員(JOCV)との昼食会
- (3)マシャーヴァ総合病院訪問,HIV/AIDS関係者との意見交換会
- (4)マプト市老人ホーム視察
- (5)エドゥアルド・モンドラーネ大学視察及び図書寄贈
- (6)「えひめグローバルネットワーク」武器アート展示視察
- (7)日本に縁の深い現地職員との懇談
4 エチオピア(1月13~14日)
- (1)HIV/AIDS問題に関するエチオピア人専門家との意見交換(13日)
- (2)マザー・テレサ・ハウス視察
- (3)アディスアベバ大学及びメケレ大学への図書寄贈
- (4)エチオピア首相夫人との懇談
- (5)サラーム・チルドレン・ビレッジ視察(14日)
概要
1 オマーン(1月9日)
(1)スルタン・カブース大学視察
スルタン・カブース大学は,約1万7千人の学生を擁し,オマーンを代表する国立総合大学です。同大学では,これまで短期の日本語講座が開講されていますが,現在,2月中旬から始まる新学期に常設日本語講座を開講する準備が進められています。
ア ラーウィヤ高等教育大臣及びビーマニ同大学副学長との懇談
総理夫人は,ラーウィヤ高等教育大臣及びビーマニ副学長と懇談を行い,先方から,オマーンの将来を担う人材育成のための取組や日本との文化・学術交流について説明がありました。総理夫人からは,同大学による温かい歓迎と日本語講座の開講に謝意を表し,日本とのこれまでの交流に触れつつ,両国間の文化・学術交流が一層発展することを願っている旨を伝えました。
イ 女子学生との懇談
総理夫人は,同大学の学士課程,修士課程,博士課程で学ぶ女子学生6名と,学業,課外活動,将来の夢,日本に関心を持つようになったきっかけ等について和やかに懇談しました。総理夫人からは,対日理解促進への願いを込めて,日本文化に関する書籍を贈呈しました。
ウ 「昭恵文庫」寄贈
同大学図書館において,総理夫人は同大学に対して,日本語学習教材,日本文化・文学等に関する書籍約100冊を寄贈しました。大学側からは,常設日本語講座の開講に向け,今回寄贈された書籍を「昭恵文庫(Akie Library)」と名付け,大切にしていきたいとの謝辞がありました。これに対し総理夫人は,今回の訪問を契機に,同大学における日本語教育が益々発展し,日本とオマーンの架け橋となる人材が益々増えていくことを願っている旨を伝えました。
(2)ラーウィヤ高等教育大臣主催夕食会
総理夫人は,ラーウィヤ高等教育大臣主催夕食会に出席しました。同夕食会には,マディーハ教育大臣をはじめ,オマーン社会の第一線で活躍する女性が参加しました。同夕食会では,オマーンの伝統料理を囲みつつ,日本とオマーンにおける女性の社会進出・活躍,教育分野における取組,両国の伝統文化等について,終始和やかに意見交換が行われました。
2 コートジボワール(1月10~11日)


(1)ベンジェルビル孤児院視察(10日)
総理夫人は,ウワタラ・コートジボワール大統領夫人,ウロト同国連帯・家族・女性・児童大臣及びダンカン同国首相夫人等とともに,ベンジェルビル孤児院を視察しました。
同孤児院では,現在,5~15歳の男児約190人が生活しています。これらの児童が同施設に入所した理由は,両親の貧困,先天的障害による育児放棄,出産時の母親の死亡,内戦孤児など様々です。特に,大統領選挙に伴い政治的危機が発生した2011年以降,同施設の受け入れ孤児数は増加しています。
まず,総理夫人は,ルグレ孤児院長の案内により,子供達が教育を受けている敷地内の小学校教室や共同生活を送る寮などを視察し,同院長から,子供達の日常生活の様子等について説明を受けました。続いて,総理夫人を迎えて歓迎式典が行われ,子供達による踊りや伝統芸能グループによる伝統的な踊りが披露されました。歓迎式典の中で,総理夫人は,コートジボワールの方々の心温まる大歓迎に謝意を伝え,「日本とコートジボワールは,物理的には遠くても,両国のことを好きな方々は沢山おり,両国の友好関係が益々深まるよう,自分も力を尽くしていきたい」とのメッセージを伝えました。そして,総理夫人より子供達へ,日本に対する関心を高めてもらえたらという願いを込めて,日本文化や日本の生活を紹介するための書籍を贈呈しました。
(2)経営・情報・スポーツ・芸術グループ(中・高等学校)視察(11日)
総理夫人は,ウワタラ・コートジボワール大統領夫人,カマラ同国国民教育・技術教育大臣,ダンカン同国首相夫人等とともに,経営・情報・スポーツ・芸術グループ(中・高等学校)を視察しました。
同校では,2005年の設立当初より日本語講座が開設されており,日本の国際交流基金の招へいで日本において研修を受けたコートジボワール人や,日本大使館の職員がボランティアで日本語の授業を行っています。
まず,生徒達による歓迎セレモニーが行われ,その中でクアシ学校長より,同校が経済発展を遂げた日本をお手本とするために日本語教育に取り組んでいることが紹介されました。続いて,総理夫人が挨拶を行い,コートジボワールの皆さんの温かいおもてなしを受け,人々との絆を大切にする心が残っているこの国の素晴らしさを実感し,日本もその心を見習いながら,お互い学び合える関係に益々なっていきたい旨を伝えました。また,生徒に対し,日本語の学習を通じ,日本の文化や伝統にも関心を持っていただきたい,さらに,日本ではワールドカップの初戦の対戦国となるコートジボワールについて,益々関心が高まると思うので,日本語の学習をこれからも続けて,日本とコートジボワールの友好の架け橋になっていただきたいと呼びかけました。そして,総理夫人から,同校の日本語学習が益々盛んになるように,日本関連書籍や日本語教材を贈呈しました。
続いて,総理夫人は,生徒達が日本語授業を受けている様子を参観し,生徒達との交流を深めました。
3 モザンビーク(1月12日)


(1)マプト中央市場視察
総理夫人はマプト中央市場を視察しました。マプト中央市場は,1901年に完成したマプト市最大の市場で,「庶民の台所」として親しまれています。総理夫人は,新鮮な野菜,果物,魚,カシューナッツ等が並ぶ活気に満ちた市場で,買い物客や店員と言葉を交わし,現地の生活感あふれる雰囲気の中で交流を深めました。
(2)農村及び農業組合視察,農業関係の元国費留学生及び青年海外協力隊員(JOCV)との昼食会
総理夫人はマプト郊外の農村を訪問し,農業組合Cooperativa 25 de Setembro(9月25日組合)組合員及びJICAシニア・ボランティアの出迎えを受けました。1992年に設立された同組合には,現在38名の組合員が在籍し,組合長を含めた幹部は女性が中心です。キャベツ,インゲン,トウモロコシ,トマト,キュウリ,人参,ジャガイモを栽培するほか,樹木の苗木の育苗も行っています。
総理夫人は,同組合の活動につき説明を受け,その後,組合員の手ほどきを受けながら,この時期ちょうど種植えの時期にあるインゲンを植え,村人と一緒に歌やダンスを楽しみながら和やかに交流しました。
続いて,現在モザンビークの大学で農業研究者として活躍中のモザンビーク人元国費留学生2名,及び農業開発に携わる青年海外協力隊員3名と昼食を共にしつつ,モザンビークの農業や各人の活動について話を聞き,意見交換を行いました。総理夫人は,これらの方々の活動に謝意を表し,人々の生活において農業が大切なことは日本もモザンビークも同じであり,農業分野での両国間の架け橋として益々活躍いただきたい旨を伝えました。
(3)マシャーヴァ総合病院視察,HIV/AIDS関係者との意見交換会
総理夫人はマシャーヴァ総合病院を訪問し,病院長の案内を受けつつ小児科病棟を視察しました。同病棟の入院患者の約半数がHIV/AIDS母子感染者であると言われています。視察の間,総理夫人は,様々な年代の患者に励ましの言葉をかけました。
また,同病院内において,ジョアナ・マンゲイラ・モザンビーク国家エイズ対策評議会議長をはじめとするHIV/AIDSの専門家との間で意見交換を行いました。まず出席者から,モザンビークにおけるHIV/AIDS問題の現状,感染を防ぐためのモザンビークにおける取組等につき説明がなされました。それを受けて活発な意見交換が行われ,マンゲイラ議長は,HIV/AIDSに関する理解を深めることの重要性を指摘しました。総理夫人は,自身がUNAIDSランセット委員に就任したことを紹介し,HIV/AIDS対策は,アフリカのみならず日本も含め世界全体の課題であるとともに,女性にも深く関係する問題であり,今回のアフリカ訪問の経験も踏まえて引き続き取り組んでいきたい旨を伝えました。
(4)マプト市老人ホーム視察
総理夫人は,ゲブーザ・モザンビーク大統領夫人の案内により,マプト市老人ホームを訪問しました。同老人ホームには,現在94名の高齢者が入居しています。
総理夫人は,老人ホームを運営するカトリック教会のシスターによる出迎えを受け,施設内を視察しました。その後,施設内の集会所にて入居者の輪の中に入り,懇談の機会を持ちました。また,病院内で伝統料理の調理や手工芸品の制作を行う入居者に声をかけ,入居者がこれに親しく応じるなど,和やかな交流の場となりました。
(5)エドゥアルド・モンドラーネ大学視察
総理夫人は,エドゥアルド・モントラーネ大学を訪問しました。同大学は1962年に設立されたモザンビークの最高学府で,約3万人の学生が在籍しています。現在日本語講座はないものの,同大学は日本への国費留学生の多くを輩出し,日本の大学と人物交流や行動研究を行うなど,日本と縁の深い大学の一つです。
総理夫人は大学関係者の出迎えを受け,大学内の学生寮を訪問し,勉学に勤しむ学生達と交流しました。その後,総理夫人は大学図書館へ移動し,日本関連書籍や日本語教材を「昭恵文庫」として贈呈し,今回の訪問が同大学において,日本語教育への関心が高まる契機になれば嬉しい旨を伝えました。その後,日本に留学経験がある同大学の卒業生と懇談し,大学の学長からは総理夫人の訪問と図書寄贈への謝意が表明されるとともに,「日本との関係を今後一層深めていきたい。」との希望が表明されました。
(6)「えひめグローバルネットワーク」武器アート展示視察
総理夫人は,日本のNGO「えひめグローバルネットワーク」が運営する「武器アート」の展示場を視察しました。総理夫人は,国費留学生として日本に滞在経験のある現地代表から,「銃から鍬へ」(放置自転車を贈与し武器を回収)の活動の一環として,武器を芸術作品に転じる武器アートについて説明を受けながら,展示作品を見学しました。そして,訪日経験のある芸術家も交えて懇談を行いました。総理夫人からは,芸術の力が平和に貢献する活動が日本とモザンビークの間で行われていることを嬉しく思い,このような活動が益々広がっていくことを期待する旨を伝えました。
(7)日本に縁の深い現地職員との懇談
総理夫人は,在モザンビーク大使館の現地職員として活躍するベンビンダ・ツレ女史と懇談を行いました。ツレ女史は,小学6年生の時に来日し,日本の中学校と高校を卒業後,日本で看護師として勤務した後,モザンビークに帰国しました。以来,医療分野を中心に,日・モザンビークの架け橋となる様々な業務や支援活動に従事してきました。
総理夫人は,ツレ女史の経験談に耳を傾けた後,同女史による日・モザンビーク間の架け橋としての尽力への感謝と,今後の益々の活躍への期待を伝えました。
4 エチオピア(1月13~14日)


(1)HIV/AIDS問題に関するエチオピア人専門家との意見交換(13日)
総理夫人は,HIV/AIDS問題に関するエチオピア人専門家であるセム・テフェラ氏と面会し,エチオピア及び国際社会におけるHIV/AIDS問題の現状と対策につき意見交換を行いました。
(2)マザー・テレサ・ハウス視察
総理夫人は,アディスアベバ市内のマザー・テレサ・ハウス<Missionary of Charity>を訪問しました。同施設は約35年前に開設され,多くの孤児や障害者,HIV/AIDSや結核等の患者に対し無償で診察,食事,寝床等の支援を提供しています。
総理夫人は,施設を運営するカトリック教会のシスターらによる出迎えを受けた後,同シスターの説明を受けつつ施設内を視察し,子供たちや患者の方々一人一人に声をかけながら交流を深めました。
(3)アディスアベバ大学及びメケレ大学への図書寄贈
総理夫人は,宿舎内にて,日本とゆかりの深いアディスアベバ大学学長及びメケレ大学社会科学・言語学部長他の来訪を受けました。総理夫人は,出席者とともに,両大学の語学教育の現状や日本との交流等について,活発な意見交換を行いました。そして,両大学に対し,日本及び日本語に対する関心をより高めていただきたいとの思いを込めて,日本関連書籍や日本語教材を「昭恵文庫」として贈呈しました。総理夫人より,「より多くのエチオピアの方に日本を知っていただき,日本とエチオピアの架け橋となっていただきたい」と伝えました。これを受け大学側より,昭恵文庫の寄贈に対する謝意が示され,今後,アディスアベバの大学における日本語講座の開講を含め,両国間の学術交流をさらに活発にしたいとの期待が表明されました。
(4)エチオピア首相夫人との懇談
総理夫人は,ロマン・テスファイエ・エチオピア首相夫人と懇談しました。両夫人は,国際社会における女子教育の重要性や紛争下の女性への暴力防止の問題を含む幅広い話題につき意見交換を行い,親交をさらに深めました。両夫人は,女性が女性ならではの特性を活かせる社会を作っていくことが,国際社会の平和への貢献にもつながっていくとの点を共有しました。
(5)サラーム・チルドレン・ビレッジ視察(14日)
総理夫人は,ロマン・テスファイエ・エチオピア首相夫人とともに,サラーム・チルドレン・ビレッジを訪問しました。同施設は1986年に孤児支援のために設立され,現地のNGOが診察,就学などの支援を孤児らに無償で提供するチルドレン・ビレッジ,職業訓練校等を運営し,孤児を含む子供達や女性の自立を支援しています。
総理夫人は,施設責任者他,子供達の出迎えを受けた後,幼児用住居においてコーヒーセレモニーのもてなしを受けるとともに,子供達と交流しました。続いて,農場や職業訓練校などの施設を視察した後,施設内食堂の厨房において行われている調理の様子を視察しました。総理夫人は視察中,子供達一人一人に声をかけつつ,子供達の歌や踊りの輪に入るなどして交流を深めました。視察後,施設内食堂においてロマン夫人及び施設関係者と昼食を共にし,エチオピアの子供,教育等,様々な話題につき意見交換を行いました。