寄稿・インタビュー
茂木外務大臣によるJornal de Angola紙(アンゴラ)への寄稿
「日アンゴラ友好関係50周年:共に発展する未来に向けて」
日本の外務大臣の茂木敏充です。日アンゴラ外交関係樹立50周年という記念すべき年に、アンゴラを初めて訪問することができて大変うれしく思います。
日本とアンゴラは、直線距離でも1万4000kmと、地理的には決して近いとは言えない中でも、この50年間、互いを尊重し合い、対等なパートナーとしての協力関係を築いてきました。
昨年8月に横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)では、当時のアフリカ連合(AU)議長として、ロウレンソ大統領に共同議長を務めていただき、大統領の強いリーダーシップにも支えられ、会議は成功裏に開催されました。
TICADは、冷戦終結直後の1993年、いち早くアフリカの潜在性と国際社会における重要性に着目した日本が、アフリカ諸国と共に立ち上げたプラットフォームです。以来、日本は、アフリカのオーナーシップと国際社会とのパートナーシップを基本理念として、単なる支援の枠を超え、アフリカと共に未来を切り拓く歩みを続けてきました。
アンゴラとの関係に目を向けると、日本は、アンゴラの内戦終結前の1990年代から、地雷除去分野において継続的に支援を実施してきました。日本の支援は、直接の地雷除去活動のみにとどまらず、地雷リスク回避教育や地雷被害者への支援、日本企業との連携によるコミュニティ開発、政府機関である国家地雷除去院(INAD)への地雷除去機の調達、INAD能力強化のための日本人地雷専門家の派遣など、多岐に及んでいます。こうした日本を含む国際社会の支援もあり、国立地雷除去センターによると、アンゴラでは、1996年から2024年までの間に、約10万ヘクタールもの地雷の危険区域が縮小しました。日本の支援が、国土の復興とアンゴラ国民の皆さんの生活再建に繋がっていることをうれしく思います。
地雷除去以外の分野でも、日本は、アンゴラにおける平和の定着及び復興を支援してきています。例えば、保健医療分野では、1996年以来、ジョジナ・マシェル病院に対する医療機材の供与や施設の改修等を支援し、アンゴラの医療体制の向上に貢献しています。また、アンゴラ政府からの要請で日本政府が開始した「母子健康手帳を通じた母子保健サービス向上プロジェクト」 では、日本企業や国際機関にも協力いただき、母子健康手帳の普及が大きく前進し、妊産婦及び幼児の死亡率の大幅な低下に繋がっています。今回の訪問では、ジョジナ・マシェル病院を訪問する予定であり、日本とアンゴラの協力の現場を視察できることを、非常に楽しみにしています。
こうした協力の積み重ねの上に外交関係樹立50周年を迎える日本とアンゴラは、これからも、共に未来を築くパートナーとしての歩みを着実に進めていきます。
2024年7月に発効した投資協定は、そのための強固な土台となる確信しています。昨年12月には、我が国の民間銀行を通じて、計3億USDのサムライ債が発行され、日本の投資家の間でアンゴラへの関心が高まりました。また、本年2月には、在アンゴラ日本大使館はビジネス促進に向けたラウンドテーブルを民間投資・輸出促進庁(AIPEX)と共催するなど、日本政府としても、日本企業によるアンゴラへの投資を後押ししています。ロビト回廊沿いに所在するロンゴンジョ鉱山では、日本政府による補助金を活用して、アンゴラ国内におけるレアアースの分離・精製に向けて調査事業を実施されています。
また、昨年10月に完工したナミベ港は、日本政府の無償資金協力で基礎的な整備を行い、日本企業が港湾の機能を更に拡張したものです。日本の公的資金も活用した日本企業による投資は、他にも、繊維工場の再建や、アンゴラとブラジルを結んだ光海底ケーブル敷設事業などが挙げられます。日本は、引き続き、農業分野も含めたアンゴラ全体の産業振興に協力していきます。
さらに、人文交流の強化も重要です。10年前の外交関係樹立40周年の際には、内戦終結後の第一世代に当たるアンゴラのカポソカ音楽学院の子供達34名が19日間の日本ツアーを実施しました。本年も、様々なイベントを予定しています。本年3月には、私の地元である栃木県の日本酒の酒蔵の代表がアンゴラを訪問し、日本酒と日本文化について講演会を実施し好評を博しました。こうした活動を通じ、アンゴラ国民の皆さんに日本についての理解を深めていただくとともに、日本の国民の皆さんにもアンゴラに親しみを持って貰いたいと思います。
今、世界は、大きな構造的変化の中にあり、国際秩序が大きく揺らいでいます。こうした中日本とアフリカが改めて手と手を取り合い、協力を深化させることの重要性は、かつてなく高まっています。
2016年、アフリカで初めて開催されたTICAD 6(ケニア・ナイロビ)において、故安倍晋三元総理は、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を提唱しました。これは、「自由」、「開放性」、「多様性」、「包摂性」、「法の支配」といった普遍的価値を基盤に、アジアとアフリカ、太平洋とインド洋を結びつけ、連結性を高めることを通じて、地域全体の安定と繁栄を実現するというビジョンです。提唱から10年を迎えた今、国際社会が激動する中にあって、FOIPは、日本とアフリカが進むべき方向を示す重要な羅針盤として、その意義を一層高めています。
このビジョンの下、日本は、アフリカとの「成長の相乗効果」を重視した協力を一層進めていきます。アンゴラを始めとするアフリカ大陸の重要鉱物、石油等の天然資源は、日本を含む国際社会の経済安全保障にとっても不可欠な資源であると同時に、アフリカ自身の持続的成長の鍵であり、アフリカ自身のオーナーシップにより、責任ある鉱物資源サプライチェーンの強靱化に取り組むことが重要です。
日本は、これからも、アンゴラ、そしてアフリカ全体に対して、信頼できる、対等なパートナーとして、誠実に向き合い、こうした取組を支援していきます。記念すべき10回目を迎える次回のTICADは、再びアフリカで開催される予定です。今回の私の訪問が、TICAD 10に向けて、我々の協力を一層深化させる契機となることを期待しています。


