寄稿・インタビュー

70 Years of Japan-Philippines Ties - Japan and ASEAN "Navigating Our Future, Together"

令和8年7月22日

 国際情勢が不安定化する中、「共に未来の舵を取る」をテーマに掲げ、ASEAN関連外相会議の開催に尽力くださったフィリピン政府に深く敬意を表するとともに、フィリピン国民からの温かい歓迎に感謝申し上げます。日・フィリピン国交正常化70周年を迎えた今年、1月の訪問に続いて、人々の営みに熱気を感じるこの国を訪れることができ、嬉しく思います。

 フィリピンは、基本的価値や原則を共有する、日本にとって最も緊密な同志国の一つです。今年5月にはマルコス大統領を国賓として日本にお招きし、両国関係を「包括的・戦略的パートナーシップ」に格上げすることで一致しました。これは、国際環境の変動に左右されることなく、今後も持続的かつ重層的に二国間関係を強化するという両国の決意を表しています。

 マルコス大統領は5月の訪日中に国会で行った演説で、キリノ元大統領が戦後に和解の道を選んだことが、現在に至る信頼と友好関係の出発点となったことに言及されました。フィリピンを始めとする地域の国々が日本と手を携えて前に進む道を選択されたことに、改めて敬意を表します。 代表的な世論調査報告書「State of Southeast Asia」では、日本が調査開始以来8年連続で最も信頼できるパートナーとして選ばれており、大変光栄に思います。こうした積み重ねの上に、引き続き日・フィリピン関係を 深化させていきたいと思います。

 また、今年は東南アジア友好協力条約締結50周年であり、日本の対ASEAN外交の基礎となった「福田ドクトリン」もまた、来年50周年の節目の年を迎えます。既存の国際秩序への挑戦が顕著になる中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化していくため、インド太平洋地域の「要」に位置するASEANは、一層重要になっています。今年が実施初年となる「ASEAN共同体ビジョン2045」や、その実現に向けた柱である「インド太平洋ASEANアウトルック(AOIP)」は、この地域の繁栄と安定の確保に向けた重要なビジョンです。日本はこうした取組を全面的に支持し、後押しします。

 我々がこれまで築いてきた法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序は、様々な挑戦に晒されています。日本が10年前に提唱した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」は、この国際秩序の維持・強化を目指すビジョンです。この実現の中核をなすのが、まさに、AOIPのもとで、「開放性」や「透明性」「包摂性」といったFOIPと共通の原則を重視する、ASEAN地域です。

 この5月に、日本は、これまでのFOIPの実績の上に、進化したFOIPを発表しました。この中では、地域各国の「自律性」、「強靱性」の強化を最重点施策として打ち出しています。現下の国際情勢を踏まえれば、3つの「自律性」と「強靱性」が重要であると考えています。

 第一に、各国が自国の領土や領海を守る力を持たなければなりません。そのために、日本は、政府開発援助(ODA)、政府安全保障能力強化支援(OSA)、防衛装備移転・協力などのツールをシームレスに活用して、地域諸国の安全保障能力及び法執行能力を強化するための協力を行っていきます。

 第二に、エネルギー安全保障や、重要鉱物を含む経済安全保障です。現下の中東情勢にアジア諸国が大きな影響を受けている状況を踏まえ、日本は「パワー・アジア」(アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ)を立ち上げました。日本は、域内のサプライチェーン強靱化のため、アジアにおける当面の原油・石油製品の調達等に加え、備蓄制度構築やエネルギー源の多様化等に取り組んでいます。アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)についても、経済・エネルギー強靱化の視点を加えて進化させていきます。

 第三に、急速な技術進展や激甚化する災害への対応力も必要です。日本は、AI・データ時代に不可欠なハード・ソフト両面のインフラ整備に注力します。また、自らの経験や知見を生かしながら、気候変動の影響により激甚化、頻発化する災害への対応に取り組んでいきます。

 このような取組を通じて、 インド太平洋地域全体が、「共に、強く豊かになる」姿を目指していきたいと思います。その実現に向け、日本はASEAN諸国や同志国と協力し、地域の平和と安定及び繁栄に引き続き貢献してまいります。


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