ASEAN(東南アジア諸国連合)
日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議(概要)
12月17日午前9時30分から午後2時まで、ホテル・オークラ東京において、日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議が開催され、岸田文雄内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。今次特別首脳会議では、岸田総理大臣と本年のASEAN議長国であるインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が共同議長を務めました。特別首脳会議の成果文書として、日本ASEAN友好協力に関する共同ビジョン・ステートメント及びその実施計画(別添)が採択されました。
1 出席者
- 日本:岸田内閣総理大臣(共同議長)
- ASEAN加盟国
インドネシア:ジョコ・ウィドド大統領(共同議長)、ブルネイ:ボルキア国王、フィリピン:マルコス大統領、シンガポール:リー首相、ベトナム:ファム・ミン・チン首相、マレーシア:アンワル首相、ラオス:ソーンサイ首相、カンボジア:フン・マネット首相、タイ:セター首相 - 東ティモール:グズマン首相(オブザーバー)
- ASEAN事務局:カオ・キムホン事務総長
2 議題
- セッション1
(ア)オープニング
(イ)アジェンダ1:日ASEAN関係のレビュー
(ウ)アジェンダ2:平和と安定のためのパートナー、地域・国際情勢 - セッション2
(ア)アジェンダ3:世代を超えた心と心のパートナー(ワーキングランチ)
(イ)アジェンダ4:未来の経済・社会を共創するパートナー
(ウ)成果文書の採択、その他(東ティモール発言)
(エ) クロージング
3 議論の全体概略(各セッションの概要別添)
(1)セッション1
(ア)オープニング
(a)岸田総理からは、日本とASEANが「心と心」の繋がる真の友人として協力してきた信頼を次世代に繋ぎたいと述べた上、本日は過去半世紀の関係を総括し、将来の新たなビジョンと具体的な協力を打ち出すため率直に議論したい旨述べました。
(b)次に、共同議長であるインドネシアのジョコ大統領が開会挨拶を行い、日本が信頼できるパートナーであること、日本との協力により地域が成長の中心となり、新しい世代のパートナーシップの下、平和と安定が維持されることを期待する旨述べました。
(c)続いて、議長のゲストとして、渡辺ERIA事務総長及び平林日本アセアンセンター事務総長から発言が行われました。
(イ)アジェンダ1:日ASEAN関係のレビュー
(a)岸田総理から、日本が長年にわたり、ASEANを後押ししてきたこと、ASEANと本質的な原則を共有し、ASEAN中心性・一体性及びAOIPを一貫して強く支持しており、AOIPの主流化を引き続き後押ししていくことを述べました。
(b)ASEAN諸国からは、個々の協力案件に触れつつ、長年にわたる日ASEAN関係の発展や、我が国の幅広い対ASEAN協力の実績について、高く評価する発言がありました。
(ウ)アジェンダ2:平和と安定のためのパートナー、地域・国際情勢
(a)岸田総理から、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化が不可欠として、各地域・国際情勢について我が国の立場を改めて説明しました。さらに「平和と安定のためのパートナー」として、幅広い分野で協力を強化したい旨述べました。
(b)ASEAN諸国からは、日本との更なる協力の強化に期待が表明されるとともに、地域・国際情勢に関し、それぞれの立場の表明がありました。
(c)岸田総理から、議論の総括として、各国首脳との率直な意見交換を通じ、全ての国が平和と繁栄を追求でき、民主主義、法の支配、良い統治、人権と基本的自由の尊重といった原則が守られる世界、というビジョンにつき一致していることが確認でき喜ばしい旨述べました。また、「平和と安定のためのパートナー」としての協力強化について一致しました。
(2)セッション2
(ア)アジェンダ3:世代を超えた心と心のパートナー(ワーキングランチ)
(a)岸田総理から、様々な交流事業の実績や本年の50周年記念事業を紹介 しつつ、幅広い国民間の交流を振り返りました。その上で、「心と心」の繋がりを次世代につなぐ新たな取組を表明しました。
(b)ASEAN諸国からは、文化、教育、スポーツ、人的交流の促進における長年にわたる日ASEAN協力の実績について、高い評価が示されました。また、日本の新たな取組について、高い期待が示されました。
(c)これらのやり取りを受け、特に次世代の日ASEANを担う若者世代の交流を更に深化させていくことの重要性が再確認されました。
(イ)アジェンダ4:未来の経済・社会を共創するパートナー
(a)共同議長であるインドネシアのジョコ大統領からの冒頭挨拶の後、岸田総理から、我々が気候変動や感染症、防災を含む様々な課題に直面する中、協力のキーワードは「共創(co-creation)」であるとして、長年の信頼に基づき、解決策を共に見出すことが重要と強調しました。
(b)ASEAN諸国からは、ASEANの経済・社会の発展、連結性強化などを含む統合の強化に対する長年にわたる日本の貢献に対する謝意が表明されました。また、更なる協力への期待が表明されました。
(c)これを受け、岸田総理大臣からは、日ASEANが多くの点で考えを同じくしていることが確認できたとし、本年閣僚級などで打ち出したイニシアティブに基づく取組を進める旨を表明しました。その上で、日本の新たな取組について紹介しました。
(ウ)成果文書の採択
(エ)その他
続いて、オブザーバー出席したグズマン東ティモール首相が発言しました。岸田総理からは、日本は同国のASEAN加盟を一貫して支持していく旨述べました。
(オ)クロージング
共同議長であるジョコ大統領に続いて、最後に岸田総理から、本日打ち出したビジョンを通じ、「信頼」を次世代に繋ぎ、共通の課題に取り組み、法の支配に基づく秩序と「人間の尊厳」が守られ、平和で安定し、繁栄した地域と世界の未来を「共創」すべく、具体的な協力に取り組んでいきたい旨述べ、会議を締めくくりました。