東アジア首脳会議(EAS)

第10回東アジア首脳会議(EAS)

平成27年11月22日

英語版 (English)

 11月22日(日曜日)午前11時40分頃から午後2時15分頃まで(現地時刻)、マレーシア・クアラルンプールにおいて第10回東アジア首脳会議(EAS)が開催され、日本から安倍総理が出席したところ、概要次のとおり(議長:ナジブ・マレーシア首相)。

1 テロ・過激主義対策

 安倍総理から、過激主義対策への言及に賛成する、日本としても「中庸が最善」の精神に基づき、関係国をしっかりと支援していきたいと述べた上で、パリで発生した一連のテロ行為を断固非難し、テロの未然防止に向けて国際社会と緊密に連携して取り組んでいく旨述べた。多くの首脳からも、テロ・過激主義対策の重要性や各国の連携の必要性が強調された。

2 EAS強化

 安倍総理から、本年で設立10周年を迎えた東アジア首脳会議(EAS)は、地域のプレミア・フォーラムとしてその機能を更に強化すべき旨述べ、日本として、EASにおける政治・安全保障分野の扱いの拡大及びEASの機構強化を重視する旨強調した。ほぼ全ての首脳からEASの機構強化や政治・安全保障問題の扱いの拡大に賛意が示され、「EAS10周年記念クアラルンプール宣言」(骨子(PDF))が採択された。

3 地域安全保障

(1)積極的平和主義

 安倍総理から、地域の安全保障環境が厳しさを増す中、日本は自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と手を携えて、国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、地域・国際社会の平和・安定・繁栄に一層貢献していくとの決意を表明するとともに、平和安全法制はその具体的実践のためのものであり、国連PKO等、各国との安全保障協力を一層進めていきたい旨述べた。

(2)海洋に関する協力

 安倍総理から、ODAや能力構築支援、防衛装備協力を組み合わせ、各国が海を守る能力をシームレスに支援していく旨述べた。また、安倍総理から、第4回拡大ASEAN海洋フォーラム(EAMF)の開催を評価し、海洋協力をEASの優先協力分野に追加するとの提案に支持を表明するとともに、今後もEASにおいて海洋協力に関する議論が深まることに期待する旨発言した。多くの首脳からもEASにおける海洋協力の議論の重要性を強調する意見が示され、「海洋協力推進に関するEAS声明」が採択された。

4 EAS内協力のレビューと持続可能な経済の安定性

 安倍総理から、インフラ投資・産業人材育成について、今後3年間で4万人のアジアの若者の技能の向上や知識の習得を支援するとともに、円借款の手続きに要する期間を最大で1年半短縮する旨述べた。加えて「インフラの質」について、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)が「アジア総合開発計画2.0」でその意義を説明していることを紹介しつつ、各国がERIAの活用に期待する旨述べた。加えて、安倍総理から、日本としてASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)に対してICTシステム導入等を支援している旨紹介し、今後も人材育成支援を中心に防災分野の支援を継続する旨述べた。また、「世界津波の日」制定を通じ、世界的な防災意識の高まりに貢献していく考えを示した。
 さらに安倍総理から、TPP協定はアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)のルールの叩き台となり、21世紀の世界のスタンダードになる大きな意義を有すると述べた上で、包括的かつ高いレベルの東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期交渉完了につき各国と緊密に連携していきたい旨述べた。また、安倍総理は、世界的な需要拡大が見込まれる液化天然ガス(LNG)について、仕向地条項の緩和を含め、市場の透明性・流動性が高まることを期待する旨述べた。

5 地域・国際情勢

(1)南シナ海

 安倍総理から、海洋における航行及び上空飛行の自由は、基本的権利として今後も擁護されなければならないとの観点から、「海における『法の支配』の3原則」の徹底を改めて呼びかけた。また、沿岸国は、国際法に従い、境界未画定海域において、軍事・民生利用を問わず、海洋環境に恒常的な物理的変更を与える一方的行動を自制すべきである旨述べた。
 また、安倍総理から、現実に南シナ海で大規模かつ急速な埋立てや拠点構築、その軍事目的の利用等の動きが継続している状況に深刻な懸念を表明した。また、安倍総理は、南シナ海に作られた施設を軍事化する意図はないとの発言には具体的な行動が伴わなければならない、との認識を皆で共有したい旨訴えた。さらに、安倍総理から、国際社会は、軍事化はもちろん、現状を変更し緊張を高める行為に反対している旨訴え、対話の重要性を強調しつつ、フィリピンによる仲裁手続の活用について、海洋をめぐる紛争を平和的に解決する手段として支持する旨述べるとともに、南シナ海行動宣言(DOC)の完全かつ効果的な実施及び南シナ海行動規範(COC)の早期締結に強い期待を示した。
 ほぼ全ての首脳が南シナ海問題に言及し、航行及び上空飛行の自由、阻害されない通商、国連海洋法条約(UNCLOS)を含む国際法に基づく紛争の平和的解決、緊張を高める行為の自制、DOCの完全かつ効果的な実施及びCOCの早期締結の重要性を指摘する発言があった。加えて、複数の首脳から、南シナ海における埋立て、拠点構築、軍事化への反対が示されたほか、関係国へ自制を求める発言や、仲裁手続への支持、及び仲裁裁判所の判断が両当事国を法的に拘束する旨の指摘が示された。

(2)北朝鮮

 安倍総理から、日本は、拉致、核、ミサイル等の諸懸案の包括的解決を目指す方針で一貫している旨述べた上で、国連安保理決議に違反した北朝鮮の核・ミサイル開発は地域及び国際社会の重大な脅威であり、北朝鮮が挑発行動を自制し、国連安保理決議等を遵守することの重要性を指摘した。さらに、拉致問題の早期解決に向けて引き続き各国の理解と協力を求めた。
複数の首脳から、北朝鮮の核問題について、関連する国連安保理決議の遵守、六者会合の早期再開の必要性を指摘する発言があった。

(3)国連安保理改革

 安倍総理から、国連安保理を21世紀の世界にふさわしい姿に改革することの重要性を指摘し、前会期に作られた文書を基礎に交渉を行うことが国連総会の全会一致で決定しており,各国と連携して取り組む旨述べた。

(4)気候変動

 安倍総理から、パリ合意においては排出削減に向けた野心向上の仕組みが必要不可欠であり、COP21において、全ての国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みの採択に向け、EASに参加する全ての首脳と連携したい旨述べた。また、気候変動関連の途上国支援を引き続き積極的に行う旨述べ、優れた低炭素技術の開発・普及を推進する旨述べた。これに対して多くの首脳から、COP21は成功させなければならないとの発言や、気候変動が原因で発生する災害や健康問題を指摘する声が上がった。

 なお、同会議において、前述した「EAS10周年記念クアラルンプール宣言」及び「海洋協力推進に関するEAS声明」に加え、「穏健主義のグローバル運動に関するEAS宣言」、「暴力的過激主義に対抗するEAS声明」、「情報通信技術及びその使用に際する安全に関する問題についてのEAS声明」及び「伝染・世界的大流行の可能性を伴う感染症に係る地域保健安全保障に関するEAS声明」が採択された。

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