アジア

平成27年11月2日
安倍総理大臣,朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領(議長),李克強(り・こくきょう)中国国務院総理が握手する様子 写真提供:内閣広報室
第6回日中韓サミットの様子 写真提供:内閣広報室
記者会見の様子 写真提供:内閣広報室
11月1日(日曜日)午後2時頃から午後3時30分頃まで韓国・ソウルにおいて第6回日中韓サミットが開催されたところ,概要次のとおり(出席者:安倍総理大臣,朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領(議長),李克強(り・こくきょう)中国国務院総理。また,岸田外務大臣,尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外交部長官,王毅(おう・き)中国外交部長他が同席。)。なお,会議終了後,「北東アジアにおける平和と協力のための共同宣言」並びに「環境協力の強化に関する共同声明(PDF)」「経済・貿易に関する共同声明(PDF)」「貿易円滑化に係る税関協力に関する共同声明(PDF)」「農業協力に関する共同声明(PDF)」及び「教育協力に関する共同声明(PDF)」が発出された。

1 日中韓協力

(1)3首脳は,3年半ぶりに開催された今回のサミットにおいて日中韓協力プロセスが完全に回復したこと,また,日中韓サミットを定期的に開催することを再確認するとともに,幅広い分野における3か国協力の着実な進展を歓迎した。その上で,日中韓協力事務局(TCS)による3か国協力促進のための努力を評価しつつ,個別の協力案件の現状や将来の方向性について議論を行った。

(2)具体的には,3首脳は,防災,環境,青少年交流,経済等について一層の協力を進めていく方向で認識を共有した。安倍総理からは,直前に東京で開催された日中韓防災担当閣僚級会合の前向きな成果に触れるとともに,明年,日中韓ユース・サミットを日本で開催する意向を表明した。日中韓FTA交渉・東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉については,東アジア経済統合の重要な柱として,包括的かつ高いレベルの協定の早期妥結を目指し,引き続き精力的に交渉を進めていきたい旨述べた。

2 地域・国際情勢

(1)北東アジア情勢

3首脳は,朝鮮半島における核兵器の開発に対して確固たる反対を再確認し,関連国連安保理決議や六者会合共同声明の下の国際的な義務やコミットメントが誠実に実施されるべきであるとの認識を共有した。また,朝鮮半島において緊張を高めるあらゆる行動に反対することを表明した。また,意味のある六者会合の早期再開のための共同の取組を継続することで一致した。安倍総理からは,拉致問題の早期解決に向けて中国及び韓国に理解と協力を求めた。

(2)東アジア地域協力

3首脳は,東アジア地域協力に関する日中韓3か国間の協力の重要性を認識した上で,本年のASEAN共同体設立等も視野に地域の経済統合に向けて共に努力することで一致した。安倍総理からは,本年設立10周年を迎える東アジア首脳会議(EAS)について,地域のプレミア・フォーラムとして,その政治・安全保障に関する議論の強化と機構の強化の重要性を強調した。

(3)国際経済

3首脳は,世界経済の回復を加速し,潜在的な成長を促進すべく,世界経済が直面する課題の解決のために共に努力するとともに,APEC首脳会議,G20サミット等において意味のある進展に期待することで一致した。安倍総理からは,「強い経済」「子育て支援」「安心につながる社会保障」から成る新しい「三本の矢」を紹介し,地域と世界の経済成長に引き続き貢献していく旨述べた。

(4)地球規模課題

3首脳は,持続可能な開発のための2030アジェンダの採択を歓迎するとともに,第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)における法的拘束力があり野心的な,全ての締約国に適用される合意の採択に向けて協力することで一致した。安倍総理からは,気候変動について,全ての国が参加する公平で実効性のある新たな枠組みに合意することが重要である旨述べたほか,感染症対策やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進を始めとする保健医療分野における取組や「世界津波の日」制定の重要性を強調した。

(5)テロ対策・中東アフリカ

これらに加え、安倍総理からは、テロ対策・中東アフリカについて、ISILは国際社会にとってこれまで以上に重大な脅威であり、各国が連携する多面的・長期的な取組が重要とした上で、日中韓テロ対策協議・日中韓アフリカ政策協議の再開を歓迎するとともに、日中韓中東政策協議の実施が決定したことにも歓迎の意を表明した。

3 その他

会議の中で歴史問題についても言及され,安倍総理からは,本年は戦後70年であり,本年8月に談話を発出し,歴史から教訓をくみ取り,歴代内閣の立場は揺るぎないものとした上で,戦後70年間の平和国家としての歩みを基礎に,国際社会の平和と繁栄に一層貢献することを約束した旨発言した。そして,歴史を直視すると同時に未来に向かって協力することも必要である,特定の過去にばかり焦点を当てる姿勢は生産的でない,日韓及び日中の間には協力と発展の歴史がある,日中韓協力の前向きな歴史を更に紡いでいきたい旨述べた。

4 次回の日中韓サミット

3首脳は,次回の日中韓サミットを,明年,日本で開催することで一致した。安倍総理からは,今回のサミットの議論の上に立って,一層前向きな協力を進められるよう,議長国の役割を果たしたい旨述べるとともに,朴槿恵大統領,李克強国務院総理を日本に迎えるのを楽しみにしている旨発言した。

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