ASEAN(東南アジア諸国連合)

平成27年8月5日
日・ASEAN外相会議
8月5日、マレーシア・クアラルンプールにおいて、午前9時過ぎ(現地時間)から約1時間半にわたり、城内実外務副大臣出席の下、日・ASEAN外相会議が行われたところ、概要以下のとおり。城内副大臣と対日調整国カンボジアのハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力大臣が共同議長を務めた。

1 日ASEAN関係のレビューと将来の方向性

(1)ASEAN共同体構築支援・経済分野での協力

(ア)城内副大臣から、より統合され、安定し、繁栄したASEANは、地域全体の安定と繁栄のために極めて重要であり、2013年の日ASEAN特別首脳会議で表明した5年で2兆円規模のODAは既に8500億円以上を実施しており、同会議で採択された「ビジョン・ステートメント」の4分野の下で、日ASEANの協力は着実に進捗していることを述べた。また副大臣より、「質の高いインフラパートナーシップ」に基づく今後5年間で約1100億ドルの質の高いインフラ投資のアジアへの提供、3年間で7500億円規模の日メコン協力を通じて、本年のASEAN共同体構築及び来年以降の統合の努力を、力強く支援していく旨を述べた。ASEAN側から、これまでの我が国の支援への深い感謝が述べられるとともに、ほとんどの国から「質の高いインフラパートナーシップ」への感謝と高い期待が示された。

(イ)また、城内副大臣から、東アジアASEAN経済研究所(ERIA)が策定中のアジア総合開発計画2.0への期待、日本アセアンセンターの更なる活用等について述べた。

(2)政治・安全保障分野での協力

城内副大臣から、ASEAN各国とも協力して地域の平和と安定に積極的に貢献していきたい旨を述べ、「平和安全法制」を含め、我が国の国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の取り組みを説明した。また、副大臣より、各国の海上保安組織の能力向上支援、巡視船や機材の供与等の海上保安及び航行安全のための協力、また穏健主義の促進と過激主義対策のための協力を今後も進めていくことを述べるとともに、6月に東京で開催した「アジアにおける平和構築と国民和解、民主化に関するハイレベル・セミナー」の結果を紹介し、ASEAN平和和解機構やASEAN政府間人権委員会との協力も進めていきたい旨述べた。ASEAN側の多くの国から、我が国が「積極的平和主義」に基づいて地域・国際社会において一層の役割を果たすことについての支持・期待が示された。また、複数の国から「ハイレベル・セミナー」を評価するとの発言があった。

(3)防災・気候変動等

(ア)城内副大臣より、ASEAN防災人道支援調整(AHA)センターの強化、災害医療分野の能力向上、国土強靱化に関するシンポジウムの開催等、防災分野における協力も推進したい旨述べ、11月5日を「世界津波の日」に制定することを多くのASEAN諸国が支持していることについて謝意を述べた。ASEAN側の多くの国から、AHAセンターへの日本の支援をはじめとする防災面での日本の協力への感謝が述べられた。

(イ)また、城内副大臣より、国連気候変動枠組条約第21回締約国会合(COP21)における全ての国が参加する公平で実効的な枠組み合意に向けた取り組みや、鯨類を含む水産資源の保全と持続可能な利用についても、ASEANと協力していきたい旨述べた。

(4)人的交流

城内副大臣より、本年度、日ASEAN間で、JENESYS2015として約1900名の招へい・派遣を実施し、文化のWAプロジェクトとして、200名以上の日本語パートナーズを派遣するほか、美術、舞台芸術映像、スポーツ等様々な分野で、双方向の交流事業を実施する予定である旨を述べるとともに、マレーシア日本国際工科大学院へのASEANからの留学支援拡充、9月にマレーシアで日ASEANテレビ祭の開催も予定している旨述べた。ASEAN側の多くの国から、JENESYS、文化のWAプロジェクト等の人的交流に対する日本の支援への感謝が述べられた。

2 地域・国際情勢

(1)城内副大臣より、太平洋から東シナ海、南シナ海を経てインド洋に至る広大な海洋での公海の自由は基本的価値であり、「海における法の支配の3原則」を徹底することが重要である、沿岸国は、境界未画定海域において海洋環境に恒常的な物理的変更を与える一方的行動を自制すべきである旨述べ、東シナ海における最新の状況についても説明するとともに、南シナ海における大規模な埋立てや拠点構築、その軍事目的での利用など、現状を変更し、緊張を高める一方的行為に対する深刻な懸念と、南シナ海における行動宣言(DOC)の完全履行と行動規範(COC)の早期締結を期待する旨を述べた。ASEAN側の複数の国から、南シナ海問題について言及があり、現状に対する懸念が表明されるととともに、国際法に従った紛争解決、DOCの完全履行、COCの早期締結の重要性等が指摘された。

(2)また、城内副大臣から、北朝鮮による更なる挑発行動の自制と非核化に向けた行動、各国による安保理決議の履行の重要性に言及するとともに、拉致問題の解決に向けたASEAN各国の理解と協力を求めた。また、副大臣より、国連創設70周年の本年に、国連安保理改革の具体的な成果を挙げることが重要である旨述べた。ASEAN側の複数の国から、北朝鮮による安保理決議の履行と六者会合への復帰が重要である等の発言があった。
 

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