東アジア首脳会議(EAS)

令和6年7月27日
会議場の様子
会議場に着席した上川外務大臣

 現地時間7月27日午前11時(日本時間同日午後1時)から約2時間15分、 ラオス人民民主共和国の首都ビエンチャンにて第14回東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議が開催され、上川陽子外務大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 EASにおける協力

 上川大臣から、地域の戦略的課題について議論するプレミア・フォーラムとして のEASの重要性について強調しました。その上で、ASEAN中心性・一体性及び「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」への支持を表明 し、これらに沿った協力を積み重ねてきた旨述べました。また、我が国として、開 放性、透明性、ルールに基づく枠組みといったAOIPの諸原則に基づく形での協 力に一層取り組んでいくことを表明しました。

2 地域・国際情勢

 上川大臣から、転換期にある世界を分断でなく協調に導くため、主権、領土一体性の尊重といった国連憲章の基本原則を守ること、そして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、人間の尊厳が守られる世界を目指すことにつ いて、皆が一致することが重要である旨述べました。
 その上で、力による一方的な現状変更の試みは、東シナ海など日本を囲む海のみならず、世界のどこであれ認められないこと、基本的人権や自由、民主主義は守られ、促進されるべきこと、経済的威圧に反対することを指摘し、個別の地域・国際 情勢について、概要以下のとおり述べました。

  1. 南シナ海において、軍事化や威圧的活動が継続しており、セカンド・ト ーマス礁を巡るフィリピンへの人的・物的被害の発生など、これまでの危険でエスカレートした行動を深刻に懸念。比中間の対話に留意し、こうした取組が緊張緩和につながることを期待。国連海洋法条約の関連規定に基づかな い不当な海洋権益の主張や海洋における活動は認められない。国際法に基づく紛争の平和的な解決に向けた努力の重要性を改めて強調する。台湾海峡の 平和と安定は地域・国際社会にとって重要。
     他の参加国からは、南シナ海における状況への懸念、航行・上空飛行の自 由の重要性、国際法に沿った紛争の平和的解決の重要性、台湾海峡の平和と安定の重要性、緊張の高まりへの懸念等について発言がありました。
  2. 日中両国は「戦略的互恵関係」の包括的な推進と「建設的かつ安定的な日中関係」の構築という方向性の下、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を継続。
  3. 北朝鮮の核・ミサイル開発と露朝軍事協力を深刻に懸念。全ての大量破壊兵器及び弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄の実現に向け、 安保理決議の完全な履行が不可欠。拉致問題の即時解決に向けた各国の理解と協力を求める。
     他の参加国からは、北朝鮮の挑発行動への懸念、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の完全な履行の重要性等に関する発言がありました。
  4. ミャンマー情勢の悪化を深刻に懸念。日本は、関係者との対話と人道支援を進め、「5つのコンセンサス」の実施を含むASEANの努力を最大限後 押し。
     他の参加国からは、ミャンマー情勢への深刻な懸念が表明され、「5つのコンセンサス」履行の重要性が強調されました。
  5. ロシアによるウクライナ侵略は明白な国連憲章違反。ロシアの核による威嚇、ましてや使用はあってはならない。ロシアがすべての軍事力を撤退させ、一 日も早く公正かつ永続的な平和を実現することが重要。
     他の参加国からは、ウクライナ情勢に関する深刻な懸念の表明、ロシアによるウクライナ侵略を非難する等の発言がありました。
  6. ガザ情勢は、交渉妥結に向けて極めて重要な局面にあり、人道状況の改善や事態の早期沈静化に向けて国際社会全体で取り組む。
     他の参加国からは、即時停戦及び人道支援の重要性等に関する発言がありまし た。
  7. ALPS処理水の海洋放出は、国際基準に則り安全に実施されており、IA EAによる独立した、科学的見地からの一連のモニタリングにおいても、関連す る国際安全基準と整合的であることが確認されている。日本政府として、今後も IAEAと緊密に連携しつつ、高い透明性をもって、科学的根拠に基づく説明を続けていく。

3 結語

 最後に、上川大臣から、地域における対話・協力を推進するASEANの取組を支持しており、今後ともEASにおける協力を更に強化していく旨述べました。

[別添]
   議長声明(和文概要(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く


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