トンガ王国

令和6年9月2日

 8月26日から30日まで、高村正大外務大臣政務官はトンガ王国を訪問し、総理特使として太平洋諸島フォーラム(PIF)域外国対話に出席したほか、太平洋島嶼国・地域要人と意見交換を行いました。本訪問の概要は以下のとおりです。

1 太平洋諸島フォーラム(PIF)域外国対話への出席

太平洋諸島フォーラム(PIF)に出席する高村政務官
太平洋諸島フォーラム(PIF)会場の様子

 8月28日、PIF域外国対話が開催され、トンガ王国のフアカヴァメイリク首相(Hon. HU‘AKAVAMEILIKU, Prime Minister of the Kingdom of Tonga)が議長を務め、PIF加盟国首脳等と域外国(日本を含む対話パートナー)の代表が出席しました。
 高村政務官は、今般のPIF会合のテーマである「Build Better Now」について、2022年に火山の噴火による甚大な被害を経験したトンガと同様、日本でも数多くの災害後に「より良く復興する」ことを掲げてきたことに触れ、あらゆる分野において「より良く積み上げる」ことは我々の共通の目標である旨述べました。
 また、7月に東京で開催された第10回太平洋・島サミット(PALM10)の成果に触れ、太平洋島嶼国の掲げる「2050年戦略」及び地域の一体性を強く支持する旨を改めて表明し、引き続き太平洋島嶼国のニーズに耳を傾けていく旨述べました。
 加えて、太平洋島嶼国が最大の脅威と位置付ける気候変動について、PALM10で発表した「太平洋気候強靱化イニシアティブ」を基に協力を進めていく旨述べるとともに、ALPS処理水の海洋放出の安全性について改めて丁寧に説明しました。
 その上で、日本と太平洋島嶼国が、二国間協力とPALMプロセスにより育んできた相互信頼とキズナを土台に、2050年に向けて「共に歩む」関係の下、協力を進める旨述べました。

2 フアカヴァメイリク・トンガ王国首相への表敬

フアカヴァメイリク首相と握手する高村政務官

 28日、高村政務官は、フアカヴァメイリク・トンガ王国首相(Hon. HU‘AKAVAMEILIKU, Prime Minister of the Kingdom of Tonga)と会談を行いました。
 高村政務官から、7月のPALM10への出席に対して謝意を述べるとともに、PIF総会の開催に祝意を述べました。また、7月の首脳会談での議論を踏まえ、日本が協力できることを検討していく旨述べました。加えて、フアカヴァメイリク首相がPALM10出席後に高知県を訪れて、トンガ出身のラグビー留学生との懇談や防波堤の視察等を行ったことに触れ、様々な分野で交流が進展していることを歓迎するとともに、防災についても今月署名を行った消防機材の供与を含め、日本の知見を生かして協力したい旨述べました。
 これに対し、フアカヴァメイリク首相から、PALM10でのおもてなしに謝意が述べられるとともに、PIF総会への総理特使としての高村政務官の出席への歓迎の意が述べられました。また、これまでの日本からの支援に対する謝意とともに、今後もインフラ整備や防災面を中心に日本の支援に期待している旨述べ、信頼できるパートナーとして日本との関係を一層強化すべく、大学間協力やラグビーを通じた交流を進めていきたい旨述べました。

3 各国政府要人との面会

(1) カート・キャンベル米国国務副長官との会談

キャンベル副長官と高村政務官との会談の様子

 28日、高村政務官は、カート・キャンベル米国国務副長官(The Honorable Kurt M. Campbell, Deputy Secretary of State of the United States)と会談しました。
 高村政務官から、日米は岸田総理とバイデン大統領のリーダーシップの下、かつてなく強固な友好・信頼関係を築いていると認識している旨述べ、4月の日米首脳会談では、二国間や地域にとどまらないグローバル・パートナーである旨確認できたことに触れ、今後もインド太平洋地域及び国際社会の諸課題への対応において、日米で主導的な役割を果たしていきたい旨述べました。また、PALM10の成果を説明した上で、太平洋島嶼国においても、各国のニーズを十分に踏まえつつ日米間の協力を進めたい旨述べました。
 これに対し、キャンベル副長官から、日米関係がかつてなく強固であり、今後も日米関係を強化していく機運に変わりはない旨述べた上で、日米が太平洋島嶼国地域に関与し続けることの重要性を強調し、地域における協力パートナーとしても日本を重視しており、東部ミクロネシア海底ケーブル事業を始めとした協力が進んでいることを歓迎する旨発言がありました。また、日本のPALMの取組を称賛した上で、太平洋島嶼国において創造的に日米協力を強化していきたい旨述べました。
 また、ミクロネシア連邦における戦没船の油漏れ対策事業について、キャンベル副長官は、これまでの日本地雷処理を支援する会(JMAS)を通じた日本の支援を高く評価する旨述べ、両者は、日米間でも協力していくことを確認し、共同声明を発出しました。

日米共同声明(和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く

(2) カラニ・R・カネコ・マーシャル諸島共和国外務・貿易大臣との会談

カネコ外務・貿易大臣と高村政務官との会談の様子

 28日、高村政務官は、カラニ・R・カネコ・マーシャル諸島共和国外務・貿易大臣(Hon. Kalani R. KANEKO, Minister of Foreign Affairs and Trade, the Republic of the Marshall Islands)と会談しました。
 高村政務官から、7月のPALM10へのハイネ大統領とカネコ外務・貿易大臣の出席に対して謝意を述べるとともに、首脳会談での議論を踏まえ、日本が協力できることを検討していく旨述べました。また、PALM10の際にカネコ大臣が書簡に署名したアマタ・カブア国際空港の改築について、着実に進められることを嬉しく思う旨述べました。
 これに対し、カネコ外務・貿易大臣から、1960年代から長期にわたって日本の支援を受けており、PALM10の際に改築の詳細設計について署名を行った、アマタ・カブア国際空港の整備等、インフラや教育を含む幅広い分野における日本からの支援に対して謝意が示されました。その上で、日本との関係はマーシャルの外交政策の礎であり、信頼できるパートナーとしての関係を一層強化したい旨発言がありました。
 また、高村政務官から、ALPS処理水について、PALM10において双方で得られたコンセンサスを基に取組をしっかりと進めていく旨述べました。両者は、科学的根拠に基づき対話を継続していくことを確認しました。

(3) ウェズリー・W・シミナ・ミクロネシア連邦大統領への表敬

シミナ大統領と握手する高村政務官

 28日、高村政務官は、ウェズリー・W・シミナ・ミクロネシア連邦大統領(His Excellency Wesley W. Simina, President of the Federated States of Micronesia)を表敬しました。
 高村政務官から、7月のPALM10への出席及び5月に高村政務官がミクロネシア連邦を訪問した際の歓待に対して改めて謝意を述べました。5月に視察したポンペイ港について、先日の首脳会談を踏まえ、同港整備の実施に向け着実に準備が進むことを期待する旨述べました。加えて、シミナ大統領がPALM10出席後に高知県や大阪府を訪れたことに触れ、幅広い交流が進展していることを歓迎するとともに、今後もミクロネシアとの一層の関係強化に努めていきたい旨述べました。また、チューク州での戦没船油漏れ対策事業について、日本のNGOを通じた活動が歓迎されていることをうれしく思う旨述べ、今後は米国とも協力していく旨紹介しました。
 これに対し、シミナ大統領から、日本からの支援に対する謝意が示されるとともに、日本の「自由で開かれたインド太平洋」を支持している旨述べ、信頼できるパートナーとして日本との関係を一層強化したい旨発言がありました。特に、ポンペイ港拡張計画についての期待が述べられたほか、議員間交流を含めた人的交流を更に発展させたい旨発言がありました。また、戦没船油漏れ対策事業について、日本の協力に改めて謝意が表明されました。

(4) パット・コンロイ豪州国防産業・能力提供大臣兼国際開発・太平洋大臣との会談

コンロイ大臣と高村政務官との会談の様子

 28日、高村政務官は、パット・コンロイ国防産業・能力提供大臣兼国際開発・太平洋大臣(Hon. Pat CONROY, Minister for Defence Industry and Capability Delivery, Minister for International Development and the Pacific of Australia)との会談を行いました。
 高村政務官から、日豪部隊間協力円滑化協定(RAA)発効から約1年を経て、今後も豪州との安全保障協力を発展させたい旨述べました。また、9月5日に豪州にて開催される日豪「2+2」において、かつてなく強固となっている両国の安全保障協力を更に強化する具体的な方途を確認し、力強く発信する機会としたい旨述べました。さらに、豪州からウォン外相が出席したPALM10の成果を改めて説明した上で、太平洋島嶼国地域においても、豪州と緊密に連携したい旨述べました。
 これに対し、コンロイ大臣から、PALM10の成功に祝意を表する旨述べた上で、日豪は特別な戦略的パートナーであり、二国間関係のみならず、日米豪印や日米豪などの重層的な取組を通じた協力関係が強化され、特に太平洋島嶼国地域においても協力が進んでいることは喜ばしい旨述べました。また、安全保障面においても、日米豪比での共同訓練が実施されるなど、協力の幅が広がっていることは重要である旨述べました。
 両者は、二国間関係の強化、太平洋島嶼国地域における協力の深化に向けて、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

(5)キャサリン・ウェスト英国外務・英連邦・開発省閣外大臣(インド太平洋担当)との会談

ウェスト閣外大臣と高村政務官との会談の様子

 29日、高村政務官は、キャサリン・ウェスト英国外務・英連邦・開発省閣外大臣(インド太平洋担当)(The Rt Hon Catherine West, Parliamentary Under-Secretary of State (Indo-Pacific))と会談を行いました。
 高村政務官から、6月に天皇皇后両陛下が国賓として御訪問された際の温かいおもてなしに感謝したい旨述べ、価値と原則を共有する日英のパートナーシップはかつてなく緊密かつ強固であり、スターマー政権との間で、これまで積み上げてきた日英協力を更に推進したい旨述べました。また、PALM10の成果を説明した上で、太平洋島嶼国地域においても、英国と緊密に連携したい旨述べました。また、G7の場を含め、国際社会の諸課題への対応についても、引き続き日英で主導的役割を果たしていきたい旨述べました。
 これに対し、ウェスト閣外大臣から、日本の「自由で開かれたインド太平洋」に共感しており、太平洋島嶼国地域における日本の取組を評価している旨述べるとともに、同地域において、気候変動等の分野で日英協力を進めていきたい旨発言がありました。また、サイバーセキュリティ、脱炭素化を含めた様々な分野で日英協力が進展していることを歓迎するとともに、引き続き鉱物資源のサプライチェーン多様化等の取組を日英で実施していきたい旨述べました。
 両者は、二国間関係の強化、太平洋島嶼国地域における協力の深化に向けて、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

 このほか、高村政務官は、ランブカ・フィジー共和国首相、ウィップス・パラオ共和国大統領、アデアン・ナウル共和国大統領、ブラウン・クック諸島首相、テオ・ツバル首相等、出席者との意見交換を行いました。

4 視察、懇談

(1) 戦争記念碑での献花

戦争記念碑の前でキャンベル米国国務副長官らとともに記念撮影する高村政務官

 28日、高村政務官は、キャンベル米国国務副長官、コンロイ豪州国防産業・能力提供大臣兼国際開発・太平洋大臣及びイアン・マッケイ駐日カナダ大使兼インド太平洋特使とともに、第一次・第二次大戦におけるトンガ兵士と戦争犠牲者を追悼する戦争記念碑で献花を行いました。

(2) そろばん教育現場視察

学校の教室でそろばん教育の様子を視察する高村政務官

 29日、高村政務官は、そろばん教育の様子を視察しました。トンガでは、そろばんは、故トゥポウ4世国王陛下によって導入され、現在では小学校3年生から6年生の必修科目となっています。

(3) ラグビー関係者との懇談

ラグビー関係者らと記念撮影する高村政務官

 29日、高村政務官は、日本で活躍したトンガの元ラグビー選手と懇談を行いました。ラグビーは日本とトンガをつなぐ大切な結びつきの一つであり、ラグビー交流の促進や日本での生活について意見交換を行いました。

(4) トンガ放送局視察

放送局員から説明を受ける高村政務官

 29日、高村政務官は、全国早期警報システム導入及び防災通信能力強化計画(NEWSプロジェクト)が実施されているトンガ放送局を視察しました。
 このプロジェクトは、トンガ全土において、防災無線システム、音響警報システム及び、トンガ放送局の機材・施設の整備を行うことにより、自然災害にかかる警戒情報や安全情報の住民への迅速な伝達を図り、自然災害による被害の軽減を通じた同国の環境・気候変動対策に寄与するものです。

(5) JICA海外協力隊活動現場(農村開発NGO)視察

MORDIを視察する高村政務官

 29日、高村政務官は、JICA海外協力隊が活動するMORDI(農村開発NGO)のサイトを視察しました。2024年5月から、JICA海外協力隊が同団体に派遣されており、農産物加工に関する研修事業、農産物加工システム構築の補助、農産物加工のシステムやバリューチェーン(調理法やレシピ開発、保存法、パッケージやマーケティング等)の指導・助言等に取り組んでいます。

(6) JICA海外協力隊隊員との懇談

JICA隊員らと高村政務官との集合写真

 29日、高村政務官は、トンガに派遣されているJICA協力隊の隊員と面会し、トンガでの活動の現状や日トンガ関係等について意見交換を行いました。


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