パプアニューギニア独立国

令和2年8月21日
今回、世界で最も多部族・多言語の存在する国家の一つであり、日本と歴史的に深い繋がりを有するPNGを訪問できることを大変嬉しく思います。

まず、PNGが来月独立45周年を迎えられることを心よりお祝い申し上げます。また、本年は、日本とPNGの外交関係開設45周年でもあります。両国は、これまで長きにわたり、共に歩み、様々な経験を共有してきました。2018年のAPECサミットの際の安倍総理のPNG訪問、昨年10月のダダイ総督の即位の礼への参列を含め、近年、両国関係が大きく発展していることを実感しています。

PNGは約900万人もの人口を抱え、石油・天然ガス、鉱物資源や魚介類等の豊かな資源を有する太平洋島嶼国地域随一の大国であり、日本にとって重要なパートナーです。LNGの日本への輸出は、2014年に両国間で投資協定が発効して以降増加しており、2018年には、日本のLNG輸入量の4%をPNG産が占めています。

日本は、「自由で開かれたインド太平洋構想」の実現に向け、法の支配、質の高いインフラによる連結性強化、海上安全等の分野で、様々な取組を推進しています。PNGにおいても、例えば、先日マラペ首相出席の下で起工式が行われたナザブ空港整備計画や、米国、豪州、NZと連携した電化パートナーシップの下で実施中のラム系統送電網強化計画は、PNG国内の連結性を高め、経済を活性化し、人々の生活を豊かにするための重要な基盤になると考えています。インフラ以外にも、日本は、海上安保、教育、保健等の分野の協力や人材育成支援を進めてきました。さらに、2018年のAPECサミットの際に素晴らしい演奏をしたPNG軍楽隊に対する日本の自衛隊の支援は、両国の協力の象徴となりました。PNGの発展は、大洋州地域の繁栄と安定を力強く牽引してくれるものと確信しています。

新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大する中、PNGの経済もまた大きな影響を受けていると思います。PNGで、政府のリーダーシップの下、国民の皆様が一致団結して新型コロナウイルス感染症に立ち向かっていることに、敬意を表します。日本は、国際社会の先頭に立って、各国の保健・医療体制整備を支援しており、PNGに対しては、本年3月にUNICEFを通じて110万ドル分の感染拡大防止のための技術支援や、感染リスク啓発、保健医療物資支援等を行い、6月には医療関連機材を供与する800万ドルの無償資金協力の交換公文に署名しました。また、地域的な感染拡大を防ぐために、PNGを含む太平洋島嶼国に対して、国際機関を通じて530万ドルの支援を行っています。

人的交流についても目を見張るものがあります。これまで、国際協力機構(JICA)の研修事業を通じ、4,300名を超えるPNGの方々が日本を訪れました。また、これまで、1,200名の様々な分野の日本人専門家がPNGで人づくり、組織・制度づくりに貢献し、700名以上の日本人ボランティアが、PNGの人々と共に生活しながら、生活環境の改善を支えてきました。今年は日本人ボランティアがPNGで活動を開始してから40周年を迎えます。この節目の年に、両国の人的交流が一層進展することを願ってやみません。

来年開催する予定の第9回太平洋・島サミットでは、PNGを含めた太平洋島嶼国地域とのパートナーシップの強化や地域が直面する課題について、幅広く議論する予定です。また、世界が新型コロナウイルス感染症を乗り越えた証として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催すべく準備を進めています。これらを契機に、PNGとの二国間関係が一層促進されることを期待します。

今回のPNG訪問は通常の訪問とは違い、PNG国民の皆様と直接会話や握手をする機会が持てないことは大変残念ですが、両国の長く深い関係に新たなページを開く訪問となることを心から願っています。
 

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