大洋州

第8回太平洋・島サミット(PALM8)
首脳宣言

(福島県・いわき市)
(2018年5月18日及び19日)

平成30年5月19日

英語版 (English)

概観

1 日本並びに太平洋諸島フォーラム加盟国であるオーストラリア,クック諸島,ミクロネシア連邦,フィジー共和国,仏領ポリネシア,キリバス共和国,マーシャル諸島共和国,ナウル共和国,ニューカレドニア,ニュージーランド,二ウエ,パラオ共和国,パプアニューギニア,サモア,ソロモン諸島,トンガ,ツバル及びバヌアツの首脳及び代表(以下「首脳」という。)は,2018年5月18日及び19日に第8回太平洋・島サミット(PALM8)のため福島県いわき市で会合した。首脳は,PALM8を成功に導いた,共同議長である安倍晋三日本国内閣総理大臣及び現在の太平洋諸島フォーラム議長でもあるトゥイラエパ・サイレレ・マリエレガオイ・サモア首相に謝意を表明した。首脳は,仏領ポリネシア及びニューカレドニアの太平洋諸島フォーラムの完全なメンバーとしてのPALMへの初の参加を歓迎した。

2 首脳は,福島県及びいわき市による温かいもてなしに謝意を表明した。首脳は,2011年の東日本大震災からの福島県及びいわき市の復興の着実な進展を歓迎し,支持した。

3 首脳は,パプアニューギニアにおける壊滅的な地震,バヌアツにおける火山噴火,サモア,トンガ及びフィジーを襲った熱帯サイクロンのジータ,ケニ及びジョジー等の太平洋地域における最近の災害によって被害を受けた全ての人々に心からの弔意と深い哀悼の意を表明した。首脳は,これらの惨事の広範囲に及ぶ被害に直面する全ての人々との強い連帯を表明した。

PALMプロセス及び永続的なパートナーシップに向けた戦略的ビジョン

4 首脳は,日本と太平洋諸島フォーラム加盟国との間の歴史的な絆と相互信頼に裏打ちされた強固なパートナーシップに対する力強いコミットメントを新たにした。首脳は,このパートナーシップが強化され続けてきた基盤を20年以上にわたり提供してきたPALMプロセスの重要な役割を評価した。首脳は,地域の進化する機会と課題によりよく対応するため,対話と協力を通じてこの重要なパートナーシップ及びPALMプロセスを高めていくための共同の取組を強化する決意を再確認した。首脳は,PALMによる日本との対話における太平洋諸島フォーラム島嶼国の中心性に対するオーストラリア及びニュージーランドの認識を歓迎した。

5 首脳は,PALMプロセスを通じたパートナーシップの形成のための長期的な取組が,以下の共有されたビジョンにより導かれることを確認した。

  • ルールに基づく秩序を通じた安定の維持:主権の尊重,法の支配及び国際法に従った紛争の平和的解決に対するコミットメント
  • 永続的な繁栄の追求:開かれた市場及び貿易・投資の促進によって下支えされた自立的かつ持続可能な経済発展,強化された連結性並びに高められた社会の強靱性
  • 人の往来及び交流の強化:相互理解の強化,発展の後押し及び経済活動の活性化を目的とした活発な人的交流
  • 地域の協力及び統合への支持:より深化した地域の協力及び統合を視野に入れた強固な地域機関の発展

6 首脳は,太平洋諸島フォーラム地域の将来を形作る上での太平洋諸島フォーラム加盟国のリーダーシップ及びオーナーシップの重要性を強調した。日本は,「太平洋地域主義のための枠組み」に示された,平和,調和,安全,社会的包摂及び繁栄を体現する地域のための太平洋諸島フォーラム首脳によるビジョンを実現するための地域協力及び共同行動に対する太平洋諸島フォーラム加盟国のコミットメントを認識した。日本は,太平洋の地域的安全,繁栄及び環境一体性を確保するため,「青い太平洋」として,共に守り,共同のアプローチをとることに対する太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳のコミットメントを認識した。

7 安倍総理は,太平洋諸島フォーラム島嶼国のニーズを最も反映する分野において,日本の強みを活かす手段を活用し,太平洋諸島フォーラム島嶼国に対する支援を継続していくとの日本政府のゆるぎない決意を表明した。太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,自らのコミットメントを一貫して果たしてきた日本の長年の実績に謝意を表明した。

8 首脳は,日本と太平洋諸島フォーラム加盟国の間の関係の拡大及び深化のため,二国間関係の強化に資するハイレベルの相互訪問を始めとする,強化された対話及び関与を通じた継続的な取組が重要であることを認識した。太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳は,地域における日本のこれまでの外交的プレゼンスの強化を高く評価した。

9 安倍総理は,それぞれのサブ・リージョンの共通の課題に対処するサブ・リージョナルな取組の重要な役割に留意し,こうした取組とのより緊密な連携を追求する意図を表明した。

法の支配に基づく海洋秩序及び海洋資源の持続可能性

10 首脳は,太平洋において,法の支配に基づく自由で,開かれた,持続可能な海洋秩序の重要性を強調し,それが地域の平和,安定,強靱性及び繁栄に貢献することを認識した。その観点から,太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳は,太平洋における協力及び発展に対し日本が(a)法の支配及び航行の自由の普及及び定着,(b)連結性の強化を通じた経済的繁栄の追求,並びに(c)海上安全及び防災の分野における協力等の平和と安定に対するコミットメントの3本柱から成る「自由で開かれたインド太平洋戦略」やそうした新しいイニシアティブを通じる等により行う積極的かつ建設的な貢献を歓迎した。

11 首脳は,全ての国が,航行及び上空飛行の自由その他の国際的に適法な海洋の利用を含む国際法を尊重することの重要性を改めて表明した。首脳はまた,国家が,海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)を始めとする国際法に基づき領土及び海洋に係る主張を行うとともに,自制し,武力による威嚇又は武力の行使に訴えることなく平和的方法により紛争を解決することの重要性を強調した。

12 首脳は,太平洋における法の支配に基づく海洋秩序を確保するため,海洋安全保障及び海上安全の分野において緊密に連携する意図を再確認した。首脳は,国境管理及び警備を含む,海上安全及び海上法執行の分野における太平洋諸島フォーラム島嶼国のための能力構築の重要性を改めて表明した。この文脈で,安倍総理は,太平洋諸島フォーラム島嶼国並びにそれら諸国の既設の機関及び枠組みと連携して実施されるものとして,海上法執行及び北朝鮮関連の国連安全保障理事会決議の履行に関する太平洋島嶼国のための能力構築プログラムの立上げを発表した。

13 首脳は,国家には,海洋環境を保護及び保全する義務があること,また,稀少又は脆弱な生態系,減少し,脅威にさらされ又は絶滅のおそれのある種その他の海洋生物の生息地を保護及び保全するために必要な措置をとる義務があることを強調した。

14 首脳は,持続可能な経済発展を促進し,食料安全保障を確保するために,海洋及びその資源の持続可能な開発,管理及び保全に対する統合されたアプローチが決定的に重要であることを改めて表明した。

15 首脳は,関連する環境面及び経済面の要素を考慮に入れつつ,漁業資源を科学的根拠に基づいて管理することの重要性を認識した。太平洋共同体事務局による最新の科学的な漁業資源評価に留意しつつ,首脳は,まぐろ,カジキ,サメ資源等の高度回遊性魚種の持続可能な利用を確保するために,重要事項に関する共同提案を作成し得る機会の特定を含め,中西部太平洋まぐろ類委員会における協力を継続する意図を再確認した。

16 漁業分野における長年の協力実績を踏まえ,首脳は,適当な場合には,太平洋の漁業資源の持続可能な利用を確保するための日本と太平洋諸島フォーラム加盟国間の互恵的な漁業取決めを通じたものを含め,漁業を発展させることを目的とした永続的な協力関係の重要性を再確認した。この文脈で,日本は,漁業の持続可能な管理を確保するために,国連海洋法条約を含む国際法に従い,自国の排他的経済水域において水域に基づく管理を実施することへの太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳によるコミットメントに留意した。

17 首脳は,太平洋諸島フォーラム島嶼国の主要な収入源を損なうとともに漁業資源の持続可能性を脅かす違法・無報告・無規制漁業を根絶するために,地域における既存の監視制御及び船舶監視の枠組みを考慮に入れつつ,監視制御及び船舶監視についての協力を深化させることへのコミットメントを表明した。

18 首脳は,関連する既存の法的文書及び枠組み並びに関連する国際的な,地域的な及び分野別の機関を損なうことのない,国家管轄権外区域の海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する国際的な法的拘束力を有する文書を国連海洋法条約の下で作成することの重要性を強調した。

19 安倍総理は,太平洋諸島フォーラム島嶼国が法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序及び地域における海洋資源の持続可能性を確保することを支援するため,今後3年間で500人の能力構築措置を,必要に応じて太平洋諸島フォーラム島嶼国並びにそれら諸国の既設の機関及び枠組みとの協調の上で実施されるものとして実施するとの日本の意図を表明した。

強靱かつ持続可能な発展のための基盤の強化

20 首脳は,持続可能な開発のための2030アジェンダ,「S.A.M.O.A Pathway」,気候変動枠組条約の下で採択されたパリ協定,仙台防災枠組み(2015-2030)及び開発資金に関するアディスアベバ行動目標の世界的な実施に向けた協力の継続に対するコミットメントを再確認した。首脳は,持続可能な開発のための太平洋ロードマップを通じた地域におけるこれらのコミットメントの実施を前進させようとする太平洋諸島フォーラム加盟国及び地域的機関の取組を認識した。

21 首脳は,強靱で持続可能な発展を達成するための取組には,気候変動に対する切迫感を持った取組が必要であるとの認識を共有した。気候変動が地域,特に島嶼国の将来に与える現存する脅威及び差し迫った今日の安全保障上の課題を踏まえ,首脳は,

  • 世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏2度高い水準を十分に下回るものに抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏1.5度高い水準までのものに制限するための努力を,この努力が気候変動のリスク及び影響を著しく減少させることとなるものであることを認識しつつ,継続するために,国際交渉におけるリーダーシップが果たす役割を強化する意図を表明した。
  • 国連気候変動枠組条約の下,2018年のCOP24で採択されたパリ協定の実施指針を完結させるとの強固なコミットメントを改めて表明した。
  • タラノア対話プロセスに積極的に参加し,パリ協定の全ての締約国のコミットメントの達成に向けた知見を共有することにコミットした。
  • 温室効果ガスの排出を削減し,エネルギー効率を促進し,及び太平洋諸島フォーラム島嶼国における再生可能エネルギーの比率向上のため同エネルギーの効果的利用を促進するため,投資を含む継続的な取組の重要性を強調した。
  • 簡素化され,改善された気候資金へのアクセスや民間部門の投資の動員を通じたものを含め,太平洋諸島フォーラム島嶼国のニーズに応じた気候変動に関する行動のため,多様な財源からの資金的支援を動員する必要性を強調した。

22 首脳は,強靱な開発に気候変動及び防災の考慮を統合するための取組を強化することの重要性を再確認し,太平洋地域における強靱な発展に向けた枠組みの承認における太平洋諸島フォーラムのイニシアティブを認識した。

23 首脳は,気候へのリーダーシップに関するマジュロ宣言で述べられているとおり,気候変動が特に島嶼国にとって最も差し迫った今日の安全保障上の脅威の一つであり,また,国連安全保障理事会を含む国連システムがこれらの課題に対応するべきであるとの認識を共有した。この点に関し,太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳は,2017年12月に国連安全保障理事会議長国として,「国際の平和及び安全の維持-国際の平和と安全に対する複合的な現代的課題への対処-」に関する公開討論を主催した日本のイニシアティブを歓迎した。

24 首脳は,緑の気候基金理事会によるJICAの認証機関としての承認並びに太平洋地域環境計画事務局の緑の気候基金及び適応基金の地域実施機関としての承認を歓迎した。太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳は,気候変動による課題に対応するための包括的な支援を継続するとの日本のコミットメントを歓迎するとともに,緑の気候基金への継続的な貢献を奨励した。

25 安倍総理は,「ハイブリッド・アイランド構想」の継続的な実施等を通じた低炭素開発の達成を目指す太平洋諸島フォーラム島嶼国の取組を支援する日本の意図を表明した。

26 太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳は,太平洋気候変動センターの建設に向けた日本による継続的支援及び同センターを通じて提供される能力構築プログラムの発展を歓迎した。

27 首脳は,地震,火山噴火,津波,洪水,台風やサイクロン等の自然災害に対する太平洋地域の脆弱性に関する認識を共有し,防災,特に強靱性の構築に関する協力を促進することの重要性を強調した。首脳は,災害管理における女性に関するジェンダーに基づく訓練等のイニシアティブを歓迎し,過去の災害の経験から得た教訓を共有することの重要性及び継続的な協調の必要性を改めて表明した。

28 安倍総理は,地域における自然災害によって引き起こされる危機の際の人道支援及び災害救援の実施を継続することにコミットした。太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳は,最近の災害による被害を受けた国々に対するものも含め,目下行われている日本からのこの支援を歓迎した。首脳は,また,11月5日の「世界津波の日」の下での様々なイニシアティブを歓迎した。

29 持続可能な開発,環境の管理及び保全の重要性を再確認し,首脳は,

  • 廃棄物の環境上適正な管理及び3R(リデュース(削減),リユース(再利用),リサイクル(再資源化))政策,生物多様性の保全並びに天然資源の持続可能な開発の推進を含む,環境問題に対処するための包括的で統合された取組に対するコミットメントを表明した。
  • 全ての環太平洋諸国が,太平洋における海洋ごみ(特にプラスチック)の防止及び削減を通じ,海洋環境の保全のために積極的な取組を行う必要性を強調した。
  • 沈船に関連する深刻さを増す問題,特に,第二次世界大戦時の沈船及び不発弾により影響を受けている太平洋諸島フォーラム加盟国における問題に対処する重要性を認識した。

30 首脳は,持続可能な形で島嶼において廃棄物を管理するとともに陸上由来の海洋環境汚染源を削減する上での日本による太平洋地域廃棄物管理改善支援プロジェクトの価値に留意した。首脳はまた,地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムを通じたパラオにおける珊瑚礁及び沿岸生態系の持続可能な管理に関する提言及び能力構築の成果並びにこうした取組がその他の太平洋諸島フォーラム島嶼国によって採用される潜在性を認識した。

31 首脳は,強靱で持続可能な発展を達成するための取組が,感染症及び非感染症分野を含む保健,教育,ジェンダー,情報通信技術(ICT),貿易及び投資並びに観光の分野における協力の強化も必要としているとの認識を共有した。この観点から:

  • 首脳は,医療サービスの質及び太平洋諸島フォーラム島嶼国の人々の福祉を向上させるとともに,より良い診断,より良い検査,必須医薬品・医療器具及び人材育成へのアクセスを通じたユニバーサル・ヘルス・カバレッジに向けた前進を加速させるための協力の重要性を強調した。
  • 太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,アジア・太平洋電気通信共同体を通じたICT分野における日本の支援を歓迎し,同分野における更なる協力に期待した。
  • 首脳は,中小企業によるものを含め,貿易及び投資を促進する取組を強化する意図を表明し,太平洋諸島センター,日本貿易振興機構及び太平洋諸島フォーラム島嶼国の全ての貿易及び投資関連機関による取組を歓迎した。
  • 太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,地域に対して経済ミッションを派遣する日本の取組及び日本が5月17日に東京で日本・太平洋島嶼国経済フォーラムを主催したことを歓迎した。太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,ビジネス環境の改善に向けた取組を継続することに対する決意を改めて表明した。
  • 太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,日本・太平洋島嶼国観光大臣会合を開催するための日本の取組を歓迎するとともに,南太平洋観光組織との間のものも含め,観光セクターに裨益する具体的かつ実際的な活動に関する協力に対する日本のコミットメントを歓迎した。

32 太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳は,地域の経済的な潜在力を完全に引き出すために,強靱で質の高いインフラ整備及び運輸交通の手段の提供を通じた地域の連結性を強化することに対する安倍総理のコミットメントを歓迎した。首脳は,港湾及び空港等,国際スタンダードにのっとった,開かれ,透明で,非排他的かつ持続可能な形での,そして,主権及び平和的利用を尊重する,質の高いインフラ整備を進めていくことの重要性を強調した。

人的交流・往来の活性化

33 首脳は,相互理解及び信頼を深化させ,それにより日本の人々と太平洋諸島フォーラム加盟国の人々との間の永続的な関係を確立するため,特に若者の間の活発な人的交流及び文化交流を通じた個人間の強い絆の重要性を強調した。

34 首脳は,日本と太平洋諸島フォーラム島嶼国の間の双方向の人々の往来を奨励するための取組について議論した。この観点から,首脳は,日本とフィジーとの間の直行便の再開を歓迎するとともに,パプアニューギニアによるミクロネシア連邦を経由した成田空港への第3の航空路に対して支持を表明した。首脳はまた,太平洋諸島フォーラム島嶼国とネットワークを構築しようとする日本の地方自治体による重要な取組を歓迎し,太平洋のカウンターパートへの直接的な関与を支持した。

35 太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,全太平洋諸島フォーラム島嶼国との関係で数次査証を導入するとの日本の決定を歓迎した。

36 安倍総理は,第二次世界大戦時の戦没者の遺骨の帰還,不発弾の除去及び政府が建立した戦没者慰霊碑の適切な維持・管理を含む,共有された過去に関する課題に対処する上での協力を継続するとの太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳の意図に深い謝意を表明した。首脳は,これらの課題に共同で対処することは,日本と太平洋諸島フォーラム島嶼国が未来志向の関係を構築し続けるための基盤を強固にすることにつながるとの認識を共有した。

37 首脳は,日本における2019年のラグビー・ワールドカップ及び2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を踏まえ,スポーツの分野における人的交流及び協力を強化する意図を再確認した。この観点から,太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,「スポーツ・フォー・トゥモロー」のイニシアティブを通じた日本の取組を評価した。さらに,首脳は,障害者スポーツの分野等におけるスポーツ協力に関する閣僚会合の開催を検討するという認識を共有した。

38 首脳は,太平洋諸島フォーラム島嶼国における日本語教育の重要性を強調し,安倍総理は,南太平洋大学における日本語コースの立上げに向けたものを含め,この分野における支援を継続する用意がある旨表明した。太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,日本によるこのような取組を歓迎した。

39 安倍総理は,強靱で,持続可能で,自立的,な発展を支援するための効果的で永続的な手段を提供するため,日本独自の強みを活かした人材育成を太平洋諸島フォーラム島嶼国に対して提供することに対する日本のコミットメントを改めて述べた。この文脈で,太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,日本の青年海外協力隊及びシニア海外ボランティアが果たしてきた極めて重要な役割に感謝した。安倍総理は,また「Pacific-LEADS」を継続するとの日本の意図を表明した。

40 首脳は,既存の制度の下で,日本における実地研修を通じた太平洋諸島フォーラム島嶼国の人材育成を強化する可能性を追求することを決定した。首脳は,技能の向上及び太平洋諸島フォーラム島嶼国にとっての雇用機会の促進の価値について議論し,日本は,現在どのような制度があり,いかなる国が適格で,参加に当たりどのような条件があり,また,いかなる種類の職業が対象であるのかといった詳細についての情報を共有することにコミットした。

41 首脳は,2016年から続くさくらサイエンスプランを通じた科学技術分野における日本と太平洋島嶼国の間の若者の交流を歓迎した。

国際場裡における協力

42 首脳は,国際的な諸フォーラム及び多数国間機関におけるイニシアティブ及び取組に関する日本と太平洋諸島フォーラム加盟国の間の継続した協力に対する共有された謝意を表明した。

43 安倍総理は,2018年にパプアニューギニアが主催するアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議,2019年にフィジーが主催するアジア開発銀行年次総会,2020年にパラオが主催する我々の海洋会合等の国際会議の主催や議事運営等を通じ,国際場裡における太平洋諸島フォーラム島嶼国のプレゼンスが向上していることに対する支持を表明した。

44 首脳は,国連をより効率的で,透明で,説明責任のあるものにすべく改革するための国連事務総長のアジェンダを支持することに対するコミットメントを再確認した。首脳は,太平洋地域において国連の適切なプレゼンスを維持することの共通の利益を表明した。

45 首脳は,21世紀の国際社会の現実をよりよく反映させるため,国連安全保障理事会の正当性,実効性及び代表性の更なる向上の必要性を再確認した。首脳はまた,常任及び非常任議席双方の拡大を通じたものを含め,改革の早期実現に向けた政府間交渉に係る作業に建設的に取り組む決意を表明するとともに,第72回国連総会期間中のテキストベースの交渉の開始の必要性を強調した。太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳は,日本が国連安全保障理事会の常任理事国となることに対する支持を改めて表明した。

46 首脳は,核軍縮,不拡散及び拡散対抗,通常兵器の違法取引,テロその他の国境を越える組織犯罪,暴力的過激主義,サイバーセキュリティを含む,国際的な安全保障上の課題に対処するための更なる協力の追求に対するコミットメントを強調した。首脳は,より一層の防衛及び安全保障面での交流及び協力の可能性を追求する意図を表明した。

47 首脳は,北朝鮮をめぐる現在の動きについての国際社会によるこれまでの全ての取組を評価した。首脳は,2018年4月下旬の南北首脳会談において発出され,朝鮮半島の完全な非核化という共通の目標を確認した「朝鮮半島の平和と繁栄,統一のための板門店宣言文」を歓迎し,来る6月の米朝首脳会談を通じ,この目標に向けた,北朝鮮による具体的な行動が示されることに期待を表明した。首脳は,北朝鮮に対して,国連安全保障理事会決議に従った具体的な行動を即時にとるように強く要請した。首脳は,国連安全保障理事会決議を完全に履行し,また執行することを含め,北朝鮮に対して圧力をかけ続けていくことに対するコミットメントを表明した。特に,首脳は,いわゆる「瀬取り」を含む北朝鮮による制裁回避戦術に対して深刻な懸念を表明し,開発パートナーによる太平洋諸島フォーラム島嶼国に対するこの取組への支援を得ながら,現時点で船舶登録上,自国が旗国となっている貿易又は漁業に従事する北朝鮮船舶の船舶登録の解除を含め,関連の国連安全保障理事会決議に従った取組を加速させていくことの必要性を強調した。首脳は,北朝鮮の,生物・化学兵器を含む全ての大量破壊兵器,弾道ミサイル及び関連施設の完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法での廃棄に向けて,平和的かつ外交的な解決を追求することの重要性を強調した。首脳は,また,北朝鮮による核実験及び大陸間弾道ミサイル試験発射の中止並びに核実験施設の廃棄の発表が,これに関連する具体的な行動に早期につながることを期待した。首脳は,拉致問題の即時解決を含め,人道上の懸念に対処することの重要性を強調した。

48 首脳は,包括的核実験禁止条約の発効に向けた呼びかけを認識した。首脳はまた,核実験の探知及び太平洋における核放射能のデータの共有の可能性に関する協力のための方途を追求する意図を表明した。

PALM8会期中における協力活動

49 安倍総理は,日本が,これまでの3年間で,550億円以上を拠出し,太平洋諸島フォーラム島嶼国との間で4,000人の人材育成及び人的交流を実施することにより,PALM7での約束を達成した旨述べた。

50 安倍総理は,これまでの実績を踏まえて,従来同様のしっかりとした開発協力の実施を継続するとの日本のコミットメントを表明した。安倍総理は,持続可能性や経済的な成長可能性等の重要な要素を考慮に入れつつ,ソフトとハードの両面で太平洋諸島フォーラム島嶼国の人々と社会に直接的に裨益する,日本独自の強みを活かした質の高い支援の実施を約束した。また,安倍総理は,人材への投資が,太平洋諸島フォーラム島嶼国の明るい未来のための最も効果的,効率的で永続的な支援の方法であるとの考えの下,今後3年間で,太平洋諸島フォーラム島嶼国からの5,000人以上の人材育成・人的交流を実施するとの意図を約束した。

今後の見通し

51 20年以上にわたるPALMプロセスの下で着実に進展してきたパートナーシップの強さと強靱性に基づき,首脳は,数十年先も分かち合う未来の成功を確実なものにするために,政策対話を通じて協調と関与を強化し,本宣言で言及されている様々な分野について取り組むための真摯な努力を継続する決意を新たにした。

52 首脳は,PALMプロセスの下での進捗を監視し,フォローアップするための効果的な方法を追求し続けていくことの重要性を強調した。首脳は,PALM8の主要な成果の実施状況をフォローアップし,及び評価するとともに,PALM9に向けた準備を前進させるため,PALM9の前に第4回中間閣僚会合を開催することを決定した。太平洋諸島フォーラム島嶼国の首脳は,第4回中間閣僚会合を主催することを提案した。首脳は,2021年に日本でPALM9を主催するとの日本の提案を歓迎した。安倍総理は,PALM9の日程及び開催地については,第4回中間閣僚会合において提案するとの意図を表明した。


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