オーストラリア連邦

令和6年11月7日

 11月3日から6日まで、高村正大外務大臣政務官はオーストラリア連邦(キャンベラ、シドニー)を訪問しました。この訪問の概要は、以下のとおりです。

1 「ライシナ・ダウンアンダー」への出席

壇上でスピーチを行う高村外務政務官 高村外務政務官によるスピーチ
会場内で高村外務政務官のスピーチを聞く聴衆 会場内の様子

 高村政務官は、5日から6日にかけてキャンベラにおいて開催された豪州戦略政策研究所及びインドのオブザーバー・リサーチ財団共催の「ライシナ・ダウンアンダー」に出席し、スピーチを行いました。

 その中で高村政務官は、国際社会では分断や対立が深まる中、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指し、法の支配の下で、この地域を多様な国家が共存・共栄していける場とする必要性を強調しました。

 また、国際社会の安定と繁栄のためには、気候変動への対処に取り組みつつ、インド太平洋地域の経済成長を確保することが重要であり、そうした取組を推進するには、地域の幅広いパートナーとの連携が不可欠であるとして、日豪の「特別な戦略的パートナーシップ」や日印の「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」、日・ニュージーランドとの「戦略的協力パートナーシップ」といった二国間の連携のほか、G20、APEC、CPTPP、日米豪印等の多国間の枠組みを通じた取組に触れました。その上で、こうした取組を通して、同地域の地政学的挑戦や、サプライチェーンや基幹インフラの強靱化、海底ケーブル等の連結性の強化といった経済安全保障上の課題に取り組んできている点を指摘しました。

 さらに、日本はインド太平洋地域と緊密に連携していく考えであること、より良い国際社会を共創するパートナーとして地域の繁栄及び地球規模の課題解決に向けて取り組んでいく旨を述べました。

2 オーストラリア政府要人との会談

(1)ティム・エアーズ豪州貿易・「豪州で作られる未来」担当補佐大臣との会談

エアーズ豪州貿易・「豪州で作られる未来」担当補佐大臣と笑顔で懇談する高村外務大臣政務官 エアーズ豪州貿易・「豪州で作られる未来」担当補佐大臣との会談

 5日、高村政務官は、ティム・エアーズ豪州貿易・「豪州で作られる未来」担当補佐大臣(Tim AYRES, Assistant Minister for Trade and Future Made in Australia)との会談を行いました。

 高村政務官から、5月にペルーで会談して以来再会でき光栄である旨述べ、日豪関係はかつてないほど強固に発展しており、日豪の「特別な戦略的パートナーシップ」を更に深化させるため、経済・貿易分野における幅広い関係を強化していきたい旨述べました。また、日本にとって、豪州は資源・エネルギーの安定的な供給国及び信頼できる投資先として重要であり、豪州の資源・エネルギー産業の発展に日本の投資が貢献している、脱炭素化に必要な重要鉱物の生産、水素・アンモニア等の新たな分野においても、協力していきたい旨述べました。また、先月開催したAZEC首脳会合へのアルバニージー首相の出席に謝意を伝達するとともに、脱炭素化、経済成長、エネルギー安全保障を同時に実現すべく、各国の事情を踏まえた多様な道筋の下でネット・ゼロを達成することを目指し、豪州と連携したい旨述べました。

 これに対し、エアーズ補佐大臣から、高村政務官との再会を歓迎するとともに、日豪関係の重要性について、特にインド太平洋地域における経済・安全保障面の協力強化への期待が示され、両国の経済面における協力は戦略的利益にもつながるとし、エネルギー分野での連携を特に重視している、エネルギー安全保障と脱炭素化の両立に向けて日本と連携したい旨述べました。また、ASEAN諸国や広域のパートナーとの協力を深めることで、地域の安定と繁栄を促進することが共通の目標であり、安全保障、貿易、投資の分野で緊密に連携しているとの認識を共有するとともに、実質的な協力を推進するための具体的な取組を進めたい旨述べました。

 さらに、高村政務官から、多国間枠組みでの協力に関しても、日本はアジア太平洋地域の自由で開かれた貿易・投資の推進に関する議論をリードし、地域での協力を一層推進していく観点から、引き続きAPECに積極的に貢献する考えである旨述べ、両者は、幅広い分野で両国間の連携を強化していくことで一致しました。

(2)マイケル・マコーマック連邦下院議員(影の豪州国際開発・太平洋大臣、元副首相)との会談

マコーマック連邦下院議員と会談する高村外務大臣政務官 マコーマック連邦下院議員との会談

 5日、高村政務官は、マイケル・マコーマック連邦下院議員(影の豪州国際開発・太平洋大臣、元副首相)(Michael McCormack MP, Shadow Minister for International Development and the Pacific)との会談を行いました。

 高村政務官から、要職を歴任したマコーマック議員が豪日議員連盟のメンバーとしても日豪関係の強化に取り組んでいることに謝意を表明するとともに、日米豪や日米豪印など重層的な枠組みも通じて、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、日豪で共に取り組んでいく重要性を指摘しつつ、経済協力、安保・防衛協力、人的交流など様々な分野において、引き続き連携を強化したい旨述べました。

 これに対し、マコーマック議員から、日豪間の長年の友情、とりわけ1944年のカウラ事件(注)を通じて築かれた絆について、カウラ選出の議員として、地元のカウラが日本との和解と平和の象徴となったことに触れつつ、豪州にとって日米英との協力は常に重要であり、日本との経済面での協力、防衛協力、特に太平洋諸国との連携強化に期待している旨述べました。

 さらに、高村政務官から、本年8月のカウラ事件80周年慰霊式典にマコーマック議員が出席したことに謝意を表しつつ、日豪の親善や交流が更に活発になり、二国間の絆がより深まることを期待する旨述べました。また、今後も太平洋島嶼国を含むインド太平洋地域における平和と安定、繁栄に共に貢献すべく、様々な機会に意見交換を重ね、日豪の連携を一層強化していきたい旨述べました。

 (注)カウラ事件
 カウラ市には第二次大戦当時、連合軍により捕虜収容所が置かれた。1944年(昭和19年)8月5日未明、日本人捕虜の集団脱走事件(カウラ・ブレイクアウト)が発生し、235名の犠牲者(豪州人の収容所衛兵4名を含む。)を出した。
 戦後、カウラ市を中心に、日本との和解や日豪の戦争犠牲者の慰霊の取組が行われてきたことから、カウラは戦後の日豪和解を象徴する地と呼ばれるようになっている。

(3)ティム・ワッツ豪州・外務補佐大臣との会談

ワッツ外務補佐大臣と会談する高村外務大臣政務官 ワッツ豪州・外務補佐大臣との会談

 5日、高村政務官は、ティム・ワッツ豪州・外務補佐大臣(Tim Watts MP, Assistant Minister for Foreign Affairs)との会談を行いました。

 高村政務官から、冒頭、ワッツ補佐大臣との間で3度目となる会談を行うことができうれしく思う旨述べ、先月初め、就任間もない石破総理と岩屋外務大臣が、それぞれアルバニージー首相、ウォン外相と電話会談を実施したほか、ASEAN関連首脳会合の際に首脳会談を実施するなど、首相・外相を含め頻繁にやり取りが行われていることは、日豪が互いにかけがえのない友人であることの証左である旨述べました。また、日豪は、インド太平洋地域における同志国連携の中核であり、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、安全保障分野においては9月の日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)の成果を着実に実行に移したい旨述べました。特に、資源・エネルギー分野に加えて、強固な日豪関係を下支えしている、観光、ビジネス、留学等を含めた人的交流の面で協力を強化していきたい旨述べました。その観点から、来年開催される大阪・関西万博への豪州の積極的な参加を歓迎するとともに、2027年に横浜市で開催される国際園芸博覧会への参加を促しました。

 これに対し、ワッツ補佐大臣から、高村政務官との間で頻繁に会談を行うことができていることをうれしく思う旨述べ、この点に表れているように、日豪関係はこれまでになく緊密であり、特に日豪「2+2」を通じた防衛協力の進展を評価している旨述べるとともに、地域の平和と安定を目指し、国連海洋法条約(UNCLOS)の尊重が重要である旨述べました。また、経済分野での協力強化に期待を示しつつ、特に、脱炭素化や重要鉱物資源の供給を始めとする資源・エネルギー面における連携は、今後の両国の戦略的利益に資するものであり、重要性を認識している、グリーン水素など新たな分野における協力の進展を歓迎する旨述べました。

 また、両者は日豪を取り巻く地域情勢についても意見交換を行い、日豪の連携を確認しました。

3 慰霊碑献花、意見交換

(1)クッタバル豪海軍基地

クッタバル慰霊碑で献花を行う高村外務大臣政務官 クッタバル慰霊碑における献花
豪海軍歴史遺産センターの中で献花を行い手を合わせる高村外務大臣政務官 豪海軍歴史遺産センター内における献花

 4日、高村政務官は、シドニーのクッタバル豪海軍基地を訪問し、1942年の旧日本海軍の特殊潜航艇の攻撃により亡くなった19名の豪州軍人及び2名の英国軍人を慰霊するクッタバル慰霊碑と、亡くなった6名の旧日本軍軍人を慰霊する碑がある海軍歴史遺産センター内の「松尾艇」の2か所それぞれにおいて、献花・黙祷を行いました。

(2)現地日系企業関係者との意見交換

意見交換を前に写真撮影に応じる高村外務大臣政務官と参加した企業関係者 現地日系企業関係者との意見交換

 4日、高村政務官は、シドニーの日系企業関係者と面会し、シドニーやニューサウスウェールズ州におけるビジネスの現状や日豪経済関係の今後の展望等について活発な意見交換を行いました。

(3)キャンベラ奈良平和記念公園

キャンベラ奈良平和記念公園内安倍元総理追悼慰霊碑で献花を行う高村外務大臣政務官 キャンベラ奈良平和記念公園内安倍元総理追悼慰霊碑における献花

 5日、高村政務官は、キャンベラ奈良平和記念公園を訪問し、同公園内に設置された安倍元総理を追悼する慰霊碑において、献花・黙祷を行いました。


オーストラリア連邦へ戻る