中華人民共和国

共同プレス発表

平成30年4月17日

平成30年4月16日,東京において,第4回日中ハイレベル経済対話が開催された。日本側は河野太郎外務大臣が,中国側は王毅(おう・き)国務委員兼外交部長が議長を務め,マクロ経済政策,日中間の経済分野における協力と交流,第三国における日中協力,東アジアにおける経済連携及び地球規模課題への対応という4つの議題について,深い意見交換を行った。

対話には,日本側からは,茂木敏充内閣府特命担当大臣,世耕弘成経済産業大臣,石井啓一国土交通大臣,越智隆雄内閣府副大臣,うえの賢一郎財務副大臣,谷合正明農林水産副大臣,とかしきなおみ環境副大臣,伊藤忠彦環境副大臣等,中国側からは,劉昆・財政部長,鍾山・商務部長,張勇・国家発展改革委員会副主任,趙英民・生態環境部副部長,屈冬玉・農業農村部副部長,高燕・商務部副部長,張際文・海関総署副署長,陳暁東・外交部部長助理等が参加した。

  1. 双方は,日中平和友好条約締結40周年の機会に,四つの基本文書の諸原則を引き続き遵守し,日中関係の政治的基礎を固め,8年ぶりに日中ハイレベル経済対話が再開されたことは,相互交流を強化し,両国の経済発展を更に推進し,日中関係の改善の流れに積極的な影響を与えるとの認識で一致した。双方は,これまでの日中間の経済分野での協力の成果を振り返るとともに,今後の協力の更なる推進について,大所・高所からの長期的観点に立った議論を行った。双方は,日中両国は互いにとって経済分野での重要な協力のパートナーであり,互いの経済発展はチャンスであり,また,平等互恵の経済関係の発展は両国の利益に合致するとの認識の下,様々なレベルで協力と交流を拡充していくことで一致した。また,世界第二,第三の経済大国として,日中両国が,貿易と投資の自由化・円滑化を推進し,多国間貿易体制を守り,経済のグローバリゼーション・プロセスを推進し,地域及び世界経済の発展やグローバルな課題の解決に責任ある役割を果たすことで一致した。
  2. 双方は,世界とそれぞれの経済情勢,マクロ経済,財政政策について意見交換を行った。日本側は,日本経済の最大の課題は,少子高齢化という壁を乗り越え,サプライサイドの改革を通じて潜在成長率を引き上げることであり,安倍政権は,一人ひとりの人材の質を高める「人づくり革命」と,成長戦略の核となる「生産性革命」に最優先で取り組むこととしていることなどについて説明した。また,新技術の実装により産業や企業がデータを介してつながる「Connected Industries」の産業政策コンセプトのほか,財政健全化の推進に向けた取組を説明した。中国側は,中国の全面的開放という新局面を推進する理念とアプローチや,大幅に市場への参入を緩和し,より吸引力のある投資環境を作り出し,知財権の保護を強化し,主体的に輸入を拡大する等重要な対外開放措置の着実な実行を通じて,対外開放の新たな局面を開拓し,日本を含む世界各国との互恵協力を深化させる旨説明した。
  3. 双方は,互恵的な実務協力を拡大し,日中経済関係の質及び水準を向上させるべきとの点で一致した。また,中国側からは,省エネ・環境,科学技術・イノベーション,ハイエンド製造業,財政・金融,シェアリング・エコノミー,医療・介護での協力について提起があり,双方はこれらの分野について協力の可能性を検討していくこととした。双方は,サービス産業,省エネ・環境,技術イノベーション,金融,観光等の分野での協力の強化,国際環境条約分野における交流,環境管理経験の共有の強化,両国間及び地域における農業協力の展開,食品農産品貿易の促進,動物衛生・動物検疫に関する協力の強化で一致し,双方は,ビジネス環境の改善,双方向投資の促進,知財保護の一層の重視等についても意見交換を行い,交流を深化させ,協力を拡大させることについて前向きな意思を表明した。
  4. 双方は,2017年11月の日中首脳会談で確認された認識に基づき,民間企業間のビジネスを促進し,第三国でも日中のビジネスを展開していくことが,両国の経済分野での協力の拡大,更には対象国の発展にとっても有益であるとの点で一致し,意思疎通を維持し,官民の関係者による議論の場及び具体的な協力案件を検討することを確認した。
  5. 双方は,一層努力し,日中韓FTA交渉の推進を加速化させ,東アジア地域における貿易と投資の自由化・円滑化を促進し,他のメンバーと共に東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の早期妥結を目指すことで一致した。双方は,ASEAN+3の枠組みにおける金融協力,WTO等の多国間自由貿易体制の強化,気候変動,生物多様性及び持続可能な開発目標に関する協力,ビジネス環境整備等について意見交換を行った。
  6. 双方は,日中ハイレベル経済対話は,日中両国が経済分野における協力に関する総合的,大局的対話を強化するための重要なメカニズムであるとの認識を共有し,引き続き同対話を開催していくことで一致するとともに,双方の都合のつく適当な時期に,第5回会合を中国で開催することで一致した。

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