中華人民共和国

令和6年5月26日
李強(り・きょう)中国国務院総理と握手をする岸田総理大臣 日中首脳会談 (写真提供:内閣広報室)
(写真)日中首脳会談 日中首脳会談 (写真提供:内閣広報室)

 現地時間5月26日、午後18時15分(日本時間同じ)から、日中韓サミットに出席するため韓国・ソウルを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、李強(り・きょう)中国国務院総理と首脳会談(約60分間)を行ったところ、概要以下のとおりです。

  1. 総論
     岸田総理大臣から、昨年11月に習近平国家主席と再確認した「戦略的互恵関係」の包括的な推進と「建設的かつ安定的な関係」の構築という大きな方向性に沿って、日中間にある様々な課題や懸案について様々なレベルで対話を重ねて進展を図っていくとともに、両国の間に存在する様々な可能性を実現していきたい旨述べ、李強国務院総理から同様の考えが示された。また、岸田総理大臣からは、このような努力の積み重ねにより日中関係を安定させていくことは、日中両国のみならず地域・国際社会にとっても極めて重要である旨強調した。
     両首脳は、日中間の懸案及び協力案件について下記のとおり議論を行った上で、引き続き首脳レベルを含むあらゆるレベルで重層的に意思疎通を重ねていくことを確認した。
  2. 二国間協力
     両首脳は、環境・省エネルギーを含むグリーン経済や医療・介護・ヘルスケアを始めとする様々な分野・レベルで対話と協力を適切な形で進めていくべく、作業を行わせることで一致した。その中で岸田総理大臣から、日本産牛肉の輸出再開、精米の輸出拡大等に係る調整を行わせたい旨述べるとともに、第三国市場協力を通じてポスト・コロナの地域・国際経済の発展に貢献していくことを提案した。両首脳は、適切な時期に開催される日中ハイレベル経済対話を活用して具体的な協力の進展を図っていくことで一致した。
     また、両首脳は、正当なビジネス活動が保障されるビジネス環境を確保する重要性を改めて確認し、岸田総理大臣から、中国短期滞在査証免除措置の早期再開を改めて要請した。
     さらに、両首脳は、開発金融、気候変動、国際保健などのグローバル課題についても引き続き協働していくことで一致した。
     さらに、両首脳は、近く開催を検討中のハイレベル人的・文化交流対話も活用しつつ、議員・政党間交流や地方、文化、スポーツ、観光などの様々な分野において、両国の未来を担う若い世代を含む国民交流の拡大を後押ししていくことを確認した。
  3. 二国間の諸課題
     岸田総理大臣から、尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海情勢やロシアとの連携を含む中国による我が国周辺での軍事活動の活発化等について深刻な懸念を改めて表明するとともに、日本の EEZ に設置されたブイの即時撤去を求めた。
     さらに、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区等の状況に対する深刻な懸念を表明した。台湾については、岸田総理大臣から、最近の軍事情勢を含む動向を注視している旨伝えつつ、台湾海峡の平和と安定は我が国を含む国際社会にとって極めて重要である旨改めて強調した。
     ALPS処理水の海洋放出について、両首脳は、昨年11月の日中首脳会談以降、専門家を含む両国間の事務レベルの意思疎通が進展していることを評価した。その上で、岸田総理大臣から、IAEAの下で関心国の参画を得て行われているモニタリングが中国を含む関心国の理解を促進することを期待している旨述べた。両首脳は、問題の解決に向けて、これまでの意思疎通の進展を踏まえ、事務レベルで協議のプロセスを加速していくことで一致した。また、岸田総理大臣から、中国側による日本産食品の輸入規制の即時撤廃を改めて求めた。
     さらに、中国における邦人拘束事案について、岸田総理大臣から、我が方の立場に基づき改めて申し入れ、拘束されている邦人の早期解放を求めた。
  4. 国際情勢
     両首脳は、拉致問題を含む北朝鮮、中東、ウクライナ等の国際情勢についても意見交換を行った。また、両首脳は、国際情勢について引き続き緊密に意思疎通していくことを確認した。

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