中華人民共和国

令和元年11月25日
握手する両外相
日中外相会談の様子
 茂木敏充外務大臣は,25日午後12時25分から,王毅(おう・き)国務委員兼外交部長との間でワーキング・ランチ(約1時間5分)及び日中外相会談(約1時間)を行ったところ,概要以下のとおり(先方:孔鉉佑・駐日中国大使,羅照輝・外交部副部長ほか,当方:横井駐中国大使,滝崎アジア大洋州局長ほか同席。)。

1 冒頭

(1)茂木大臣から,概要以下のとおり述べた。
ア 王毅国務委員の訪日を歓迎する。国連総会以来の再会を嬉しく思う。首脳間の往来と共に,外相間においても,定期的な意思疎通が着実に積み重なってきていることは日中関係にとって重要である。
イ 日中両国が,地域及び国際社会の平和,安定,繁栄に向けて,共に取り組んでいくことこそ,「日中新時代」を迎える両国にとって相応しい姿と考える。
ウ 習近平国家主席の国賓訪日を有意義なものとするべく,外交当局の責任者として,王国務委員と引き続き協力していきたい。
エ 本日も二国間関係における互いの関心事項について,忌憚のない意見交換を行い,建設的な相互の動きを作り出していきたい。

(2)これに対し,王毅国務委員兼外交部長から,概要以下のとおり述べた。
ア 日中関係は両国のハイレベル往来と双方の努力を通じて良い方向に進んでいる。この流れを双方が大事にし,「新時代」に向けて努力することで一致している。
イ 同時に来春の習主席の国賓訪日については,日本との連携を強化し,各方面の準備を進めたい。双方が歩み寄り,前向きなやり取りを通じて,協力を推進するとともに,相違点をマネージしていたい。これから日中関係の更なる発展のために必要な環境整備と雰囲気の醸成を進め,成果を積み重ねたい。
ウ 国際社会において不確定要素が増す中,日中両国は,世界第2位,第3位の経済大国として,二国間のみならず,世界の安定に積極的な役割を果たしていきたい。また,地域・国際情勢についても更に意見交換したい。

2 日中関係

(1)総論

 双方は,来春の習主席訪日を「日中新時代」にふさわしい有意義なものとすべく,協力していくことで一致した。また,日中両国が共に世界的な経済大国として,世界の平和な未来を実現していくこと,共に地域・国際社会の諸課題に取り組んでいくことが日中関係の更なる強化につながることを確認した。

(2)ハイレベル往来

ア 双方は,ハイレベルの往来や意思疎通が着実に実施されていることを評価した。
イ 茂木大臣からは,日中韓サミットについて,前向きで建設的な議論が行われるよう中国のリーダーシップに期待する旨述べ,双方は安倍総理も参加される予定の次回の日中韓サミットの成功に向けて協力していくことについても確認した。

(3)経済・実務協力

ア 双方は,双方の関心や方向性が一致している分野について経済・実務協力を一層進めることで一致し,「動物の衛生及び検疫における協力に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」(日中動物衛生検疫協定)(和文(PDF)英文(PDF)中文(PDF))が署名に至ったことを歓迎した。
イ 茂木大臣からは,日本産食品に対する輸入規制措置の早期撤廃及びコメ・牛肉等の農産物の対中輸出の実現について改めて提起し,中国側の前向きな対応を強く求めた。
ウ また,茂木大臣からは,真に公平,公正かつ安定的なビジネス環境を構築することは,日本企業の更なる対中投資・進出,中国経済の持続的発展にもつながる,中国側の実効的措置を期待する旨述べた。

(4)外交当局間対話,人的・文化交流

ア 双方は,両国国民の相互認識の改善を図ることの重要性についても確認すると ともに,中長期的な両国関係の発展のため青少年交流を後押ししていくことの重要性についても確認した。
イ 双方は,日中ハイレベル人的・文化交流対話第1回会合の成功裏の開催を歓迎し,2020年を「文化・スポーツ交流推進年」とし,交流を推進していくことで一致した。
ウ 双方は外交当局間の対話について,「日本国外務省と中華人民共和国外交部との間の2020年の交流・協力の年間計画」(和文(PDF))を作成することで一致し,引き続き活発化させていくことで一致した。

(5)香港

 香港情勢に関しては,茂木大臣から,大変憂慮しており,「一国二制度」の下,自由で開かれた香港が繁栄していくことが重要であるとした上で,一日も早く平和裏に事態が収束することを期待する旨述べた。

(6)海洋・安全保障

ア 双方は,6月の日中首脳会談にて両首脳間で一致した「互いを協力のパートナーとし,互いに脅威とならない」との認識に基づき,海洋・安全保障分野での建設的な関係構築を目指すことを具体化すべく,引き続き協力していくことで一致した。
イ また,茂木大臣からは,尖閣諸島周辺海域等の東シナ海を始めとする海洋・安全保障分野について,中国側の前向きな行動を強く求めた。

(7)邦人拘束

 茂木大臣から,邦人拘束事案について,中国側に前向きな対応を引き続き要請した。

(8)国際社会への貢献

ア 茂木大臣から,「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を踏まえ,国際スタンダードに沿ったインフラ投資促進の重要性を強調した。
イ また,RCEPについては,早期妥結に向け,引き続き意見交換していくことになった。

3 地域情勢

(1)北朝鮮情勢

 双方は,最近の北朝鮮情勢について意見交換を行い,日中両国の共通の目標である朝鮮半島の非核化に向けて連携していくこと,及び安保理決議の完全な履行の重要性について一致した。また,拉致問題に関し,茂木大臣から,早期解決に向けた理解と支持を求めた。

(2)南シナ海

 また,茂木大臣から,国際社会の関心事項である南シナ海問題について,係争中の地形の非軍事化の重要性を指摘した。

(3)米中関係

 双方は現在の米中関係を議論し,米国との関係についても意見交換を行い,茂木大臣からは,対話による問題解決の重要性について指摘した。

本会談の関連文書
  • 動物の衛生及び検疫における協力に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定(日中動物衛生検疫協定)(和文(PDF)英文(PDF)中文(PDF)
  • 日本国外務省と中華人民共和国外交部との間の2020年の交流・協力の年間計画(和文(PDF)

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