中華人民共和国

平成30年5月11日

 知事,省長の皆さん,ご列席の皆様,今回は安倍総理とともに第3回中日省長知事フォーラムに出席することができ,うれしく思っております。
 今回の会議は札幌で開催されておりますが,皆さんが一堂に会し,中日地方発展について語り合うことは,現在の新しい情勢において,機会を捉えているように思います。本フォーラムの開催に際し,お祝いを申し上げるとともに,その成功をお祈りしたいと思います。
 中日両国は互いに重要な隣国であり,両国関係が平和・友好・協力的に発展することは,両国,地域そして世界にとっても利益をもたらすものです。また,本年は中日平和友好条約締結40周年に当たります。まさにこのようなタイミングで,私は安倍総理の招請に応じ日本を公式訪問いたしました。その目的は,締結の精神に再度立ち戻り,また締結の原則に基づいて,中日関係を再び正常な軌道に戻すためであり,そしてまた新たに長期的・安定的に発展させていきたいと思っております。これは両国の地方交流にも幅広い可能性をもたらし,有利な条件を生み出すことでしょう。 安倍晋三総理との会談中,既に共に立ち合った幾つかの協定(の署名)から見ても,今回の協力は実りあるものだった言えると思います。詳しく述べることはしませんが,(ここでは)3つの分野について述べたいと思います。それは両国のみならず,両国の地方にとっても,とても有益なものでしょう。
 1つ目は,イノベーション発展における協力です。私は安倍総理と,中日双方が意欲的にイノベーションに関する対話を行い,さらにそのメカニズムを立ち上げることに合意しました。将来的にそのメカニズムが立ち上げることができれば,これにより徐々に両国の先端技術分野,また経済・社会そして民生の需要に合致する分野における技術協力が推進され,また同時に知的財産権の確かな保障も推進されると思います。先ほど,安倍総理は,日本は高齢化問題を抱えているというように仰いましたが,日本には医療・介護,医療器械などにおいて,またロボットの運用(・応用)分野においても,先進的な技術と経験があります。ぜひ中国側としても,日本側とこの分野において協力をしていきたいと思っています。
 本日出席している一部の省も,人口発展が不均衡であるという問題,そしてまた高齢化問題にも直面しておりますが,それらの分野のみならず,多くの多岐にわたる分野において科学技術のイノベーション協力ができるのではないかと思います。
 2つ目ですが,我々は第三国市場を共に開拓することについても合意しました。中日間には強力な経済的相互補完関係が存在しており,両国間の協力によって双方の市場において相互補完が可能になり,また同時にもし第三国市場を共に開拓すれば,固く結束し,不合理あるいは悪しき競争も回避でき,また協力による更に強い競争力を形成できます。そして,その分野においてはハイエンドの製造業の協力が求められます。出席している多くの中国の省が周辺国の第三国市場とつながりがありますが,我々としては,日本側とともに,それぞれの優位性を活かして第三国市場を開拓してまいりたいと思います。特にその開拓プロセスにおいて,ハイエンドの製造業においても協力が可能でしょう。そうすることで,双方の強みが相互補完的になり,より顕在化することでしょう。
 第3は金融協力です。我々は既に合意済みで,正式に発表もしておりますが,中日間でこれから通貨スワップを進めてまいります。それにより,中国人民元と国際的に主要な準備通貨の一つである日本円との間で,通貨スワップが可能になります。これは,中日双方の投資及び人的往来にも寄与し,金融リスクに共に対処する際にも役立つものだろうと考えます。さらに,我々は日本側に対してRQFIIの2,000億人民元の投資枠を付与します。これはすなわち,日本の対中投資がよりスムーズに,より簡易化されることになり,より多くの日本企業の対中投資を引き寄せることができます。是非,その道具を日本側が十分に活かしていただき,また中国の地方にもより多くの日系企業の進出が促されることを期待しております。RQFIIは道具にすぎませんが,その関連措置も必要となります。是非,我々がより良いビジネス環境を築き,日本企業の中国進出を歓迎したいと思います。
 また,本日は,これから安倍総理と共に,ここ(北海道)にあるトヨタ社の生産拠点を視察しますが,そこにはハイエンドな製造業が展開されています。既にトヨタ社からも明確に表明されていますが,(同社は)中国で大規模な研究開発センターの建設拡大を行います。中国に対し,ハイエンドな自動車生産,そして新エネルギー車の分野等において,全面的に協力すると表明しました。トヨタ社は,失われた時間を取り戻す必要があると考えているのです。
 本日出席している幾つかの中国の省にも,もれなく自動車産業がありますが,ぜひ日本側と連携し,中国と日本の企業が協力してほしいと思っております。日本の企業にとっては中国には大きな市場があり,中国の企業にとっても(中国)企業のレベル向上にもつながるので,良いことだと思います。それにより,我々も高品質化に向けた発展に邁進することができます。
 いずれにせよ,両国政府が合意した協定により,実際に地方,民間あるいは企業間の協力においても,条件や可能性が生まれております。両国は互恵関係にあり,中国にも益し,日本にも益するような,互恵的,ウインウインの関係にあるのです。
 中国はまだ発展途上国ですが,日本との協力関係は相互補完的で,両国の協力は北東アジア,あるいは世界経済の回復の過程においても,この(2つの)主要経済大国が協力すれば,その相互補完性が,きっと新たな,あるいはより力強い成長エンジンとなるでしょう。
 私も,かつて長く地方の勤務を経験しておりましたが,私がかつて知り合った高橋知事,北京でお会いしたことがある石井知事,そして,ご列席の知事の皆さんとも,昨晩お会いしました。2006年に,遼寧で,ぜひ北海道に来てほしい,という招請を高橋知事から頂いたことを,今でも憶えております。高橋知事のとても真摯な招請を頂き,私も謹んでお受けいたしました。ですから,昨晩,この度はあの約束を果たしました,とお伝えしました。
 とある記者に,なぜ北海道に興味があって来たのか,と聞かれました。それは,一つは,その約束を果たすためであり,もう一つは,北海道は日本の現代農業の重要な拠点であり,さらには先端技術の産業もあるからです。我々も,ぜひ北海道と先端技術における協力も行いたいし,現代農業での協力も推し進めていきたいと思っております。
 昨日も述べましたが,我々は日本の農産品の対中輸出を拡大する用意があります。もっとも,その農産品が中国市場において需要があり,高品質かつ安全,そして安心できるものでなければなりません。すると,ご紹介によれば,北海道にはまさにそのような強みがあるそうです。北海道の農産品は,日本市場においても非常に競争力を有しているものと伺っております。
 私がこう述べるのは,札幌で北海道のPRをするためではありません。ぜひ,皆さんも,これからの議論でそれぞれの省の強みについて語っていただきたいと思います。日本の県も,中国の省も,それぞれの強みがあって,この強みを全て紹介し尽くし,それらの強みを互いに結びつけることが大事です。
 本年は中国の改革・開放40周年であり,我々は,ひるまずに改革・開放の路線を進めますが,先般ボアオ・アジアフォーラムで習近平国家主席が更に表明しましたように,我々の開放の扉はますます開かれていきます。中国の40年間の改革・開放が大きな成果を上げられた理由のうちの一つ,あるいは大きなひとつが開放です。開放によって,改革が促進されていったのです。我々の開放には,大きな特色もあります。すなわち,地方が開放において,特に経済協力の開放において,大きな自主権を有しているということです。そして,私としても,ここで我々の地方と省に権限を授けます。ぜひ,日本の関係する県と連携されることを期待します。特に,先端技術,ハイエンドな製造業,現代農業の分野においては,ぜひ日本側の皆さんにも,中国のそのようなミドルレンジからハイエンドへ邁進するプロセスに参画いただき,そうすることでまた日本側の皆さんも大きな市場を獲得できると確信しております。そして,中日双方も,最終的にはウィンウィンの関係を実現することができるでしょう。ありがとうございました。

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