中華人民共和国

平成26年12月5日
12月4日(木曜日),午後4時30分過ぎ(現地時間午後3時30分過ぎ)から約40分間,新日中友好21世紀委員会一行(日本側座長:西室泰三日本郵政社長・東芝相談役,中国側座長:唐家璇中日友好協会会長・元国務委員)は,人民大会堂・安徽の間において,李克強国務院総理と会見を行ったところ,やりとりの概要は以下のとおり(日本側:木寺駐中国大使,伊原アジア大洋州局長,植野亜中モ1長他,中国側:王毅外交部長,劉振民副部長,孔鉉佑アジア司長他同席)。
 
1 冒頭,李克強総理から,以下のとおり述べた。
  1. 新日中友好21世紀委員会の委員の来訪を歓迎する。日中関係は,両国にとっても地域にとっても重要な二国間関係である。日中国交正常化以来,日中関係に関する原則や基本的な方針は一貫している。新日中友好21世紀委員会には長い歴史があり,同委員会が日中関係の発展・改善のために大いに努力・貢献されてきたことを評価する。
  2. 新日中友好21世紀委員会の今次会合の内容については唐家璇中国側座長から報告を受けているが,委員の間で突っ込んだ議論を行うことができたことは良いことである。西室座長からも日本側委員の今次会合に対する評価を伺いたい。

2 これに対して,西室座長から,以下のとおり述べた。
  1. 今回,お忙しい中,李克強総理に会見して頂いたことを感謝する。李克強総理が国務院総理に就任して以降,単独で日本からの来訪者に会うのは初めてであると聞いている。
  2. 昨3日から開催された新日中友好21世紀委員会の今次会合が本4日に無事に閉幕した。今晩からは西安に移動し,更なる各種行事が予定されている。
  3. 先月,中国はAPECを成功裏にホストされ,その際,日中外相会談,日中首脳会談が行われた。本委員会の今次会合を含め,こうした動きは,関係改善の第一歩である。今後はその中身を作る努力をしていきたい。
  4. 唐家璇座長をはじめとして,中国側の努力・協力によって,今回の会合で突っ込んだ議論ができたことに感謝したい。今次会合の内容・結果については,唐家璇座長から李克強総理に既に報告されていると思うので,あえて自分(西室座長)からは紹介しないが,日中双方の共通認識として,現在は未来に向けた第一歩であり,本委員会の任期は今回で終わりであるが,次の委員会を早急に立ち上げ,引き続き日中関係のために貢献していくことを希望する。

3 これに対し,李克強総理の方から,以下のとおり発言があった。
  1. 日中関係は両国にとっても,地域の平和や安定にとっても非常に重要である。日中国交正常化以来,日中関係が順調に進めば両国国民にはメリットがある。中国国民も日本国民も逆の状況は目にしたくないであろう。
  2. 日中関係を改善していく上で重要なのは,「歴史を鑑とし,未来に向かう」という中国語で8文字となるキーワードである。また,日中国交正常化以来の日中間の4つの基本文書に定められている原則,これまで日中の間で作られてきた共通認識を遵守していくことが,日中関係の基盤であり,それが日中戦略的互恵関係を発展させていく政治的基礎となる。
  3. 「歴史を鑑とし未来に向かう」という8文字の中の「未来に向かう」という部分に関して,現在の日中関係は苦労して得られた成果であり,それを大事にし,お互いにとって不利な事をしないようにしなければならない。
  4. 新日中友好21世紀委員会は,設立されてから今に至るまで,両国国民,特に若い世代に向けて,日中関係の大切さをわかってもらう上で,役割を果たしてきた。
  5. 日中は隣人同士であり,隣人同士のつきあいに問題はつきものであるが,大局的・長期的視点,「言必行,行必果(言ったことは必ず実行し,実行したことには成果を伴わなければいけない)」が大事だ。委員の皆さんが,新日中友好21世紀委員会のメンバーになったこと自体が,日中の関係改善に役割を果たしたいということの表れであり,自分(李克強総理)としては,これを賞賛する。
  6. 自分(李克強総理)自身も日本を訪問したことがある。民間交流や青少年交流を通じて,お互いの理解を深めることが大事だ。
  7. 最後に,新日中友好21世紀委員会の次期委員会が立ち上げることを期待している。同時に,日中双方の委員が,日中関係改善について意見が一致したということ自体が祝福すべき事であると思う。

4 さらに,西室座長から,李克強総理の日中関係に対する関心に謝意を示しつつ,日中関係が重要ということは誰もが理解しているが,同時に日中関係には脆弱性があり,その脆弱性を克服するために,青少年交流等を通じて,日中関係に強靱性を持たせることが大事である,日中の政府間に限らず,多層的なつながりや枠組みを作っていくのが重要である旨述べた。
 
5 最後に,李克強総理から,日中双方が共に努力して雰囲気を良くしていくことが大事である,西安での今後のスケジュールが順調に進むよう祈っている旨述べた。
 
(参考)新日中友好21世紀委員会
(1)21世紀における日中関係を一層発展させていくため,日中双方の有識者が,政治,文化,科学技術等の幅広い分野に関して議論し,両国政府首脳に提言・報告を行う委員会。1984年,中曽根総理(当時)と胡耀邦総書記(当時)との合意により「日中友好21世紀委員会」として発足し,2001年まで計15回の会合を開催。
(2)2003年から2008年まで「新日中友好21世紀委員会」として計8回の会合を開催。
(3)2009年11月,日中外相会談にて,新日中友好21世紀委員会の第2期委員会メンバーが確定(日本側座長:西室泰三日本郵政社長・東芝相談役,中国側座長:唐家璇中日友好協会会長・元国務委員。委員名簿別添。)。会合等の開催実績は以下のとおり。

2010年2月 第1回会合(於:北京及び揚州)
2010年10月末~11月初 第2回会合(於:新潟及び東京)
2011年10月 第3回会合(於:北京及び長沙)
2013年3月   東京大学キャンパス・セミナー(於:東京大学)
2013年7月 長崎における意見交換・シンポジウム出席(於:長崎)
2013年11月 少人数会合(於:杭州)
2014年6月   長崎意見交換会(於:長崎)
2014年12月 第4回会合(於:北京及び西安)

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