アジア
高村外務大臣政務官のバングラデシュ人民共和国及びスリランカ民主社会主義共和国訪問(結果)
10月6日から12日まで、高村正大外務大臣政務官は、バングラデシュ人民共和国及びスリランカ民主社会主義共和国を訪問しました。この訪問の概要は以下のとおりです。
I バングラデシュ(10月7日~10月9日)
1 バングラデシュ政府要人等との意見交換
(1)ハシナ・バングラデシュ首相への表敬

8日、高村政務官は、シェイク・ハシナ・バングラデシュ首相(H.E. Sheikh Hasina, Prime Minister of the People’s Republic of Bangladesh)を表敬しました。
高村政務官から、4月のハシナ首相訪日は、今後の二国間関係の礎となるものであり、「戦略的パートナーシップ」の下、両国間協力を発展させたい旨述べた上で、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向け、連携していきたい旨述べました。また、「ベンガル湾産業成長帯(BIG-B)構想の下、マタバリ地域の開発を含むバングラデシュの開発について協力を続けていく考えを述べつつ、更なる投資促進のため、投資環境改善について、引き続きの協力を依頼しました。
これに対し、ハシナ首相から、これまでの日本の支援に謝意を述べつつ、二国間関係を更に発展させていきたい、特に日本からの投資を更に呼び込みたい旨述べました。
両者は、ミャンマー・ラカイン州からの避難民についても意見交換を行いました。
(2)アラム・バングラデシュ外務担当国務大臣との会談

8日、高村政務官は、シャハリアル・アラム・バングラデシュ外務担当国務大臣(H.E.b Mr. Shahriar Alam, State Minister for Foreign Affairs)と会談し、その後夕食会を行いました。
高村政務官から、4月の首脳会談以降、あり得べき日・バングラデシュEPAに関する共同研究、政府安全保障能力強化支援(OSA)に関する調整、防衛装備品・技術移転協力協定の締結に向けた調整など、幅広い分野で二国間関係が進展しており、引き続き連携していきたい旨述べました。
これに対し、アラム外務担当国務大臣から、高村政務官のダッカ国際空港第三ターミナル開所式典へ出席に謝意を述べつつ、「産業バリューチェーン構想」の下で地域の連結性強化に向けて協力していきたい旨述べました。
高村政務官から、ミャンマー・ラカイン州からの避難民を受け入れるバングラデシュ政府を後押しする旨述べ、アラム外務担当国務大臣から受入れにあたっての課題について説明がありました。
(3)スカルペリ国連世界食糧計画(WFP)バングラデシュ事務所代表との意見交換

7日、高村政務官は、ドム・スカルペリWFPバングラデシュ事務所代表(Mr. Domenico Scalpelli, WFP Representative in Bangladesh)と面会し、WFPによる避難民支援活動や日本との連携について意見交換を行いました。
2 式典出席、視察等
(1)ハズラット・シャージャラール国際空港(ダッカ国際空港)第三ターミナルの開所(ソフトオープニング)式典への出席

7日、高村政務官は、ダッカ国際空港第三ターミナル開所式典に出席しました。経済協力は日・バングラデシュ関係を語る上で欠かすことのできない要素であることに触れ、両国の経済協力が始まってから50年もの間、我が国は最大の二国間開発パートナーとして、バングラデシュの経済・社会的繁栄を一貫して支えてきた旨述べました。また、同ターミナルの開業及び本年9月からの直行便就航が更なる経済成長と投資拡大に貢献することを期待するとともに、バングラデシュは「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた重要なパートナーであり、日本は地域及び国際社会の平和、安定及び繁栄のため、このターミナルのように、地域全体の連結性強化に資する具体的な取組を行っていく旨述べました。
(2)ミャンマー・ラカイン州からの避難民キャンプの視察及び国際機関やNGOの邦人職員との意見交換


8日、高村政務官は、コックスバザールにおいて、ミャンマー・ラカイン州北部の情勢悪化を受けてバングラデシュに流入した避難民が滞在するキャンプを訪問しました。現地では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による生活生計支援、国連世界食糧計画(WFP)による食料支援、国際連合児童基金(UNICEF)によるラーニングセンターを視察し、支援活動の従事者から現地の状況等について聞き取りを行うとともに、避難民との交流を行いました。
また、同日、高村政務官は、コックスバザールにおいて避難民キャンプで活動する国際機関やNGOの邦人職員と懇談し、避難民の状況や人道支援活動等について意見交換を行いました。

(3)都市高速鉄道(MRT6号線)視察


9日、高村政務官は、ダッカにおいて、円借款事業として日本が協力しているMRT6号線を視察し、2016年7月に発生したダッカ襲撃テロ事件で犠牲になった方々への献花を行いました。
II スリランカ(10月9日~10月11日)
1 第23回IORA閣僚会合への出席
(1)閣僚会合でのスピーチ


11日、高村政務官は、コロンボで開催された第23回環インド洋連合(IORA)閣僚会合に出席しました。同会合において、高村政務官から、地域の繁栄の利益を全ての国が享受するためにはルールに基づく国際秩序が必要不可欠であり、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、パートナー国としてIORAと引き続き協力していく旨のスピーチを行いました。


また、サルマン・アルファリシIORA事務局長(H.E. Salman Al-Farisi)、シハサック・タイ外務大臣政務官(H.E. Mr. Sihasak Phuangketkeow)、ティム・ワッツ・オーストラリア外務補佐大臣(H.E. Tim Watts)と会談を行いました。

【参考】環インド洋連合(IORA)
環インド洋地域における経済面での協力推進を主な目的とした地域機構であり、我が国は対話パートナーとしてIORAへ参加。IORAは重点協力分野として、(1)海上安全保障、(2)貿易・投資の促進、(3)漁業管理、(4)災害リスク管理、(5)学術・科学技術協力、(6)観光促進・文化交流を挙げている。
- 加盟国:豪州、バングラデシュ、コモロ、仏、インド、インドネシア、イラン、ケニア、マダガスカル、マレーシア、モルディブ、モーリシャス、モザンビーク、オマーン、セーシェル、シンガポール、ソマリア、南アフリカ、スリランカ、タンザニア、タイ、UAE、イエメン
- 対話パートナー:中国、エジプト、独、伊、日本(1999年参加)、韓国、ロシア、トルコ、英、米、サウジアラビア
2 政府要人との面会
(1)ラニル・ウィクラマシンハ・スリランカ大統領への表敬

11日、高村政務官は、ラニル・ウィクラマシンハ・スリランカ大統領(H.E. Mr. Ranil Wickremesinghe President of the Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)への表敬を行いました。
高村政務官から、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現の観点から、スリランカが議長を務めるIORAとの協力を強化していく旨述べつつ、第23回IORA閣僚会合の成功に祝意を表明しました。また、債務再編プロセスにおける債務の透明性・公平性の確保に関するコミットメントの確実な履行の重要性について述べました。
これに対し、ウィクラマシンハ大統領から、債務再編を巡る議論における日本の貢献に対し感謝する旨の発言があるとともに、人的交流を含めて二国間関係を強化していきたい旨の発言がありました。
(2)ディネーシュ・グナワルダナ・スリランカ首相への表敬

10日、高村政務官は、ディネーシュ・グナワルダナ・スリランカ首相(Hon. Mr. Dinesh Gunawardena, Prime Minister of the Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)への表敬を行いました。
高村政務官から、ウィクラマシンハ大統領の二度にわたる訪問や7月の林前外務大臣の訪問に言及しつつ二国間の要人往来が活発化していることを歓迎する旨述べるとともに、 「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現の観点から、スリランカが議長を務めるIORAとの協力を強化していく旨述べました。これに対し、グナワルダナ・スリランカ首相から、日本の長年経済協力に感謝する旨がありました。
両者は、債務再編における透明性・公平性の確保の重要性について確認しました。グナワルダナ首相からは、債務再編を巡る議論における日本の貢献に対し感謝する旨の発言がありました。
(3)アリ・サブリー・スリランカ外相との会談

10日、高村政務官は、アリ・サブリー・スリランカ外務大臣(Hon. M.U.M. Ali Sabry, Minister of Foreign Affairs of Sri Lanka)との会談を行いました。
高村政務官から、ウィクラマシンハ大統領の2度の訪日や今年7月の林前外務大臣のスリランカ訪問など、要人往来の活発化を歓迎する旨述べました。また、サブリー外相のIORA議長就任に祝意を表明するとともに、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現の観点から、スリランカが議長を務めるIORAとの協力を強化していく旨述べました。
これに対し、サブリー外相から、同外相自身の訪日体験等に言及しつつ、二国間関係を更に発展しさせていきたい旨の発言がありました。
高村政務官より、債務再編における透明性・公平性の確保の重要性について述べたのに対し、サブリー外相からは、スリランカは透明かつ公平な債務再編プロセスにコミットしている旨の発言があるとともに、債務再編を巡る議論における日本の貢献に対し、改めて謝意の表明がありました。
両者は、地域情勢についても意見交換を行いました。
3 視察等
(1)WFP食料引渡し式


10日、高村政務官は、令和4年度緊急無償資金協力で決定したWFPを通じた食料支援の引渡し式に出席しました。
(2)ルーパワーヒニ国営テレビ放送局視察

10日、高村政務官は、日本の無償資金協力により1982年に設立された国営テレビ放送局を訪問しました。
(3)ジャヤワルダナ大統領記念館視察


10日、高村政務官は、ジャヤワルダナ元大統領記念館を訪問し、日本関連の展示物等を視察しました。
(4)コロンボ港視察


11日、高村政務官は、日本が円借款事業等により協力しているコロンボ港を訪問しました。