アジア
武井外務副大臣のモルディブ及びラオス訪問(結果)
12月19日から23日まで、武井俊輔外務副大臣は、モルディブ及びラオスを訪問しました。この訪問の概要は以下のとおりです。
I モルディブ(12月19日~12月20日)
1 日・モルディブ外交関係樹立55周年記念式典への出席


12月20日、武井副大臣は、日・モルディブ外交関係樹立55周年記念式典に出席しました。
武井副大臣は、式典中に行ったスピーチにおいて、日本とモルディブが55年にわたって困難な時には互いに支え合う真の友人として様々な分野において緊密に連携を深めてきた旨、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するために法の支配、航行の自由、人権などの価値観を共有するパートナーであるモルディブと一層協力していきたい旨発言しました。
また、式典出席者との間で懇談を行いました。
2 政府要人等との意見交換
(1)ソーリフ・大統領への表敬

20日、武井副大臣は、イブラヒム・モハメド・ソーリフ・モルディブ共和国大統領(H. E. Ibrahim Mohamed Solih, President of the Republic of Maldives)を表敬しました。
武井副大臣から、日本の政務レベルとしては2019年以来、また新型コロナ流行拡大後初のモルディブ訪問であることに触れた上で、外交関係樹立55周年の節目にソーリフ大統領にお会いできて光栄である旨述べました。
これに対し、ソーリフ大統領から、安倍元総理逝去に対する哀悼の意が表されるとともに、武井副大臣のモルディブ訪問に対する歓迎の意が伝えられました。
両者は、インド太平洋地域の繁栄がもたらす利益をすべての国が享受するためにはルールに基づく国際秩序が必要不可欠であり、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、引き続き幅広い分野で二国間の協力を深めていくことで一致しました。
(2)シャーヒド外務大臣への表敬

20日、武井副大臣は、アブドッラ・シャーヒド・モルディブ共和国外務大臣(H. E. Mr. Abdulla Shahid, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Maldives)を表敬しました。
武井副大臣から、シャーヒド大臣の9月の故安倍元総理国葬儀への出席に対し改めて謝意を述べるとともに、今後もモルディブの更なる社会経済発展に貢献する支援を継続していきたい旨述べました。
これに対し、シャーヒド大臣から、モルディブの安定を維持するためにはインド洋地域の平和が必要不可欠であり、「自由で開かれたインド太平洋」を支持する旨述べるとともに、の教育、防災、通信、医療等多岐にわたる日本からの支援に対する謝意が表明されました。 両者は、このほか、国際場裏における協力、安全保障、人的交流等について幅広く意見交換を行いました。
(3)シャウナ環境・気候変動・科学技術大臣への表敬

20日、武井副大臣は、アミナット・シャウナ・モルディブ共和国環境・気候変動・科学技術大臣(H. E. Ms. Aminath Shauna, Minister of Environment, Climate Change, and Technology of the Republic of Maldives)を表敬しました。
武井副大臣から、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)におけるモルディブの積極的な情報発信を高く評価する旨、日本政府としてこれまで多くの自然災害に直面しながらもそれを乗り越えてきた経験を、モルディブをはじめとする自然災害に脆弱な国々において積極的に活かしていきたい旨述べました。
これに対し、シャウナ大臣から、気候変動問題の解決のためには全ての国による真剣な取組が必要である旨述べるとともに、日本のモルディブにおける防災/環境分野の支援に対する謝意を表明しました。
(4)ディディ国防大臣、シャマール国防軍司令官への表敬

20日、武井副大臣は、マリヤ・アハメド・ディディ・モルディブ共和国国防大臣(H. E. Ms. Mariya Ahmed Didi, Minister of Defense for the Republic of Maldives)とアブドッラ・シャマール・モルディブ国防軍司令官(Major General Mr. Abdulla Shamaal, Chief of Maldives National Defense Force)を表敬しました。
武井副大臣から、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため、テロや違法・無報告・無規制漁業、麻薬密売といった脅威に対し、二国間で協力して対処していく必要がある旨述べるとともに、モルディブ政府による近年の海上自衛隊の護衛艦・航空機や航空自衛隊の航空機のマレの海港や空港の使用許可に対する謝意を表明しました。
これに対し、ディディ大臣から、日本の機材供与や人材育成等の多様な支援に対する謝意を表明するとともに、シャマール司令官から、今後も防衛当局間での親善行事・訓練といった二国間の防衛協力を継続していきたい旨述べました。
(5)カリール外務担当国務大臣との会談

19日、武井副大臣は、アハメド・カリール・モルディブ共和国外務担当国務大臣(Mr. Ahmed Khaleel, Minister of State for Foreign Affairs of the Republic of Maldives)と会談を行いました。
武井副大臣から、元駐日大使として長年にわたり日・モルディブ関係の発展に貢献してきたカリール国務大臣に対する敬意を表明するとともに、今後も「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けてモルディブと一層緊密に連携していきたい旨述べました。これに対し、カリール国務大臣から、防災や教育等の幅広い分野における日本の支援に対する謝意を表明するとともに、二国関係の更なる強化のために、従来の経済協力を超えた安全保障分野での協力や留学・観光を通じた人的交流の促進にも取り組んでいきたい旨述べました。
両者は、このほか、地域情勢、国際場裏における協力等について幅広く意見交換を行いました。
3 視察等
(1)無償資金協力「経済社会開発計画」交換公文への署名

19日、武井副大臣は、カリール・モルディブ外務担当国務大臣とともに、無償資金協力「経済社会開発計画」の交換公文に署名しました。
武井副大臣は、式典中に行ったスピーチにおいて、本案件によって供与される予定の廃棄物処理機材が、モルディブ政府が取り組んでいる廃棄物処理政策を後押しし、もってモルディブの環境保護、公衆衛生の改善に寄与する旨、日本政府として今後もモルディブの持続可能な発展と繁栄のために協力していく旨発言しました。
(2)マレ島護岸工事モニュメント再設置式への出席

20日、武井副大臣は、マレ島護岸工事モニュメント再設置式に出席しました。
武井副大臣は、式典中に行ったスピーチにおいて、日本の無償資金協力によって造られたマレ島の防波堤が2004年のスマトラ沖地震による大津波からモルディブの首都マレを守った旨、再設置されたモニュメントが日本をはじめとする国際社会とモルディブのつながりを示す目印であり続けることを願う旨発言しました。
(3)無償資金協力「経済社会開発計画」油濁処理機材引渡式への立会い


20日、武井副大臣は、無償資金協力「経済社会開発計画」油濁処理機材引渡式に立ち会いました。
武井副大臣は、式典中に行ったスピーチにおいて、本案件によって供与された油濁処理機材がモルディブ沿岸警備隊のオイル流出事故への対処能力を高め、もってモルディブの美しい海洋環境を守ることに貢献する旨、日本政府として今後も「自由で開かれたインド太平洋」の実現のためにモルディブを含むインド太平洋地域に対するコミットメントを強めていく旨発言しました。
II ラオス(12月21日~12月23日)
1 党・政府要人等との意見交換
(1)サルムサイ副首相兼外務大臣への表敬


21日、武井副大臣は、サルムサイ・コンマシット・ラオス人民民主共和国副首相兼外務大臣(H. E. Mr. Saleumxay KOMMASITH, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs of the Lao People’s Democratic Republic)を表敬しました。
武井副大臣から、4月の日ラオス首脳会談のフォローアップとして、2024年のラオスのASEAN議長国、財政安定化、連結性強化などに対する支援の進捗を述べるとともに、ラオス外交当局との緊密な連携の下、日ラオス戦略的パートナーシップ及び来年友好協力50周年となる日ASEAN関係の更なる発展に尽力したい旨述べました。
これに対し、サルムサイ副首相兼外相から、ラオス政府・国民を代表し、これまでの日本による新型コロナ対策をはじめ多大なる支援に対して謝意が表明されるとともに、2023年の日ASEAN友好協力50周年、2024年のラオスのASEAN議長国、2025年の日ラオス外交関係樹立70周年と続く重要な節目に、両国関係の更なる発展のため、日本と緊密に協力していく旨述べました。
両者は、このほか、地域・国際情勢、国際場裏における協力、人的交流等について幅広く意見交換を行いました。
(2)ポーサイ外務副大臣との会談及び昼食会


22日、武井副大臣は、ポーサイ・カイカムピトゥーン・ラオス人民民主共和国外務副大臣(Mr. Phoxay KHAYKHAMPHITHOUNE, Deputy Minister of Foreign Affairs of the Lao Peoples’s Democratic Republic)と会談及び昼食会を行いました。
武井副大臣から、4月の日ラオス首脳会談のフォローアップとして、2024年のラオスのASEAN議長国、財政安定化、連結性強化などに対する支援の進捗を述べるとともに、新しい課題における協力として脱炭素社会実現に向けた支援を行うこと、今次訪問により両国の戦略的パートナーシップの更なる強化につなげていきたい旨述べました。また、武井副大臣から、ラオスが2024年にASEAN議長国に就任することを念頭に、地域・国際場裡における我が国の立場を伝えるとともに、ラオス側の理解と協力を求めました。
これに対し、ポーサイ副大臣から、両国のハイレベル往来、特定技能制度に係る協力覚書の署名、投資分野などで進捗があったことを歓迎するとともに、2025年の日ラオス外交関係樹立70周年に向け、ラオスの大阪・関西万博への参加も含め両国で盛り上げていきたい旨述べました。
両者は、地域の安全保障、国際場裏における協力、文化交流等について幅広く意見交換を行いました。
(3)トゥンマリー・ラオス日本友好議員連盟会長との面会

22日、武井副大臣は、トゥンマリー・ヴォンパチャン・ラオス日本友好議員連盟会長(Hon. Ms. Thoummaly VONGPHACHANH, President of the Lao-Japan Parliamentary Friendship Association, Lao PDR)と面会しました。
武井副大臣から、外務副大臣及び日ラオス友好議連のメンバーの双方の立場で、両国の戦略的パートナーシップの強化に努めていきたい旨述べるとともに、11月末に2024年にラオスがASEAN議長国として首脳会議等の運営に必要となる機材を供与するための署名を行ったことに触れつつ、2024年にラオス国民議会が主催するASEAN議員会議(AIPA)の運営にも活用いただきたい旨述べました。
これに対して、トゥンマリー会長から、両国の議会間交流にとって新型コロナは障害とならなかったことに触れつつ、2023年には、両国の友好議連の相互訪問が実現することへの期待が表明されました。
両者は、このほか、人的・文化交流や国際場裏における協力等について幅広く意見交換を行いました。
(4)シーサイ・ラオス人民革命党中央組織委員長との面会


22日、武井副大臣は、シーサイ・ルーデットムンソーン・ラオス人民革命党中央組織委員長(H.E. Ms. Sysay Leudetmounsone, Head of Central Committee for Organization and Personnel, Lao People’s Revolutionary Party, Lao PDR)と面会しました。
武井副大臣から、9月末に東京でお会いして以来の再会を嬉しく思う、シーサイ委員長の訪日に続いて、ラオスの要人が相次いで訪日し、両国間の往来が再び活発化していることを評価する旨述べるとともに、新型コロナで中断していた党幹部研修の再開に向けて調整が進められている旨述べました。これに対し、シーサイ委員長から、9月の訪日では、多くの面会や視察による充実した日程をこなすことができ有意義であったとして高い評価が示されました。また、これまでの日本の人材育成に対する支援への謝意及び支援の継続に対する期待が表明されました。
両者は、このほか、人的交流の促進、投資促進における協力等について幅広く意見交換を行いました。
2 視察等
(1)草の根文化無償資金協力「ラオス国立大学日本語学科校備計画」引渡式への出席


21日、武井副大臣は、草の根文化無償資金協力「ラオス国立大学日本語学科整備計画」引渡式に出席しました。
武井副大臣は、式典中に行ったスピーチにおいて、本案件によって完成した新しい教室棟により、一層充実した日本語学科の教育環境の下で、学生たちが日本語学習に熱心に取り組むこと、また、日本語をより専門的に学びたい、日本とラオスの架け橋として活躍したという学生を、今後も数多く受け入れることを期待する旨述べました。
続いて、日本語学科の学生代表から、これまでは生徒の数に対して教室数が不足していたことから、グループ分けした上で授業を受けざるを得ず、教員の負担が増え、生徒にとっても活動の幅に制限があったが、今回の日本政府による校舎増設により、より良い環境で日本語学習に取り組めることが可能になった、この大切な贈り物を、将来の日本語学科の学生に引き継いでいけるよう大切にしていきたい旨、日本語で述べました。
武井副大臣は、式典出席後、同学科の関係者及び学生と交流を行いました。
(2)無償資金協力「経済社会開発計画」交換公文への署名


22日、武井副大臣は、ポーサイ・カイカムピトゥーン外務副大臣と共に、無償資金協力「経済社会開発計画」の交換公文に署名しました。
武井副大臣は、署名式で行ったスピーチにおいて、本案件によって供与される予定の建設機械一式により、補修した道路の長寿命化、工事期間の短縮、建設費の削減、環境保全に寄与するほか、道路利用者の快適性・安全性の向上、経済・産業・貿易発展の動脈である物流ルートの強化、周辺国との連結性向上に貢献する旨述べ、日本政府として今後もラオスの持続的な経済社会開発の実現のため、様々な協力を展開していく旨述べました。
(3)その他
ラオス滞在中、ラオス日本センター(LJI)、チャオアヌウォン・スタジアム、武道センター、COPEセンター、現在拡張工事中のルアンパバーン上水道の現場等の視察や、現地で活躍する日系企業関係者や海外協力隊員との意見交換を行いました。