アジア

令和6年8月20日

 8月12日から15日まで、高村正大外務大臣政務官は、東ティモール、インドネシア(デンパサール)を訪問しました。この訪問の概要は以下のとおりです。

1 政府要人等との面会

(1) 東ティモール

ア ラモス=ホルタ大統領への表敬

ラモス=ホルタ大統領を表敬し握手する高村外務政務官
ラモス=ホルタ大統領と会談する高村外務政務官

 13日、高村政務官は、ラモス=ホルタ大統領(H.E. Dr. José RAMOS-HORTA, President of the Democratic Republic of Timor-Leste)を表敬しました。
 高村政務官から、昨年12月に日・東ティモール関係が「包括的パートナーシップ」に格上げされたことを念頭に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向け、基本的な価値や原則を共有する東ティモールとの連携を一層強化していきたい旨を伝えました。また、日本政府として、引き続き東ティモールのインフラ整備や能力構築などをしっかり支援していく、防衛大学校への留学生受入れを通じ、安全保障協力を一層強化していきたい旨伝えました。
 これに対し、ラモス=ホルタ大統領から、高村政務官の来訪を歓迎するとともに、1999年12月に第1回東ティモール支援国会合が東京で開催されたことに加えて、東ティモールの独立以前から長期にわたりJICAやアジア開発銀行を通じて日本が貢献してきたことに謝意を示しつつ、日・東ティモール関係は長年にわたり非常に良好で深い関係にあり、今後も港湾開発や空港整備等を含む経済協力のみならず、経済、産業、教育、人的往来、観光等、様々な分野で協力関係を更に強化していきたい旨述べました。また、ラモス=ホルタ大統領から、東ティモールのWTO加盟、ASEAN加盟プロセスへの日本の支援に謝意を示しつつ、地域統合に向けた協力を進めていきたい旨述べました。
 両者は、日本企業による造船所建設計画を含む経済、安全保障、地域・国際情勢等、幅広い分野に関する意見交換を行い、二国間関係を一層深化させるとともに、国際場裏での連携を強化していくことで一致しました。

イ グスマン首相への表敬

グスマン首相を表敬し握手をする高村政務官
グスマン首相と会談する高村政務官

 13日、グスマン首相(H.E. Mr. Kay Rala Xanana Gusmão, Prime Minister of the Democratic Republic of Timor-Leste)を表敬しました。
 高村政務官から、1999年に高村正彦外務大臣(当時)が日本の閣僚として初めてグスマン首相と面会したことに触れつつ、今回東ティモールを訪問し、グスマン首相に面会できたことを大変感慨深く思う旨述べました。また、昨年12月に、グスマン首相が日ASEAN特別首脳会議に出席したことに謝意を示し、日・東ティモール首脳会談において両国関係を「包括的パートナーシップ」に格上げできたことは大きな成果であり、今回の訪問を機に二国間関係を一層発展させていきたい旨述べ、グスマン首相からも賛意が示されました。さらに、日本政府の長年にわたる東ティモールへのコミットメントは不変であり、日本政府は、引き続き東ティモールのインフラ整備や能力構築等を支援していく、日本企業からの投資も進展しており、投資環境の整備を含め、東ティモールの協力に期待している旨述べました。
 これに対し、グスマン首相から、1999年の住民投票を実施し、同年12月に日本が第1回東ティモール支援国会合を東京で開催して、高村元大臣との面会から25年を経て高村政務官に会うことができたことは特別な意味を持つ旨述べるとともに、2002年の独立前に小泉純一郎総理大臣(当時)と東ティモールの国造りに向けた協力に関する意見交換を行ったことにも触れながら、独立当初から今日に至るまで日本が東ティモールの主要な支援国であり続けたことへの謝意が示されました。また、グスマン首相からは、特に東ティモールの人材育成及び能力構築の観点から、日本への技能実習生及び防衛大学校への留学生の受入れ等の人的往来、並びに東ティモール国立大学工学部への支援といった日本の貢献を高く評価する旨の発言がありました。

 両者は、安全保障、経済、人的交流といった幅広い分野において協力を深化させるとともに、地域・国際情勢についても連携していくことを確認しました。

ウ ライ東ティモール副首相(兼)経済担当大臣(兼)観光・環境大臣との夕食会

ライ副首相兼経済担当大臣兼観光・環境大臣と握手する高村政務官
ライ副首相兼経済担当大臣兼観光・環境大臣と懇談する高村政務官

 13日、ライ副首相兼経済担当大臣兼観光・環境大臣(H.E. Mr. Francisco Kalbuadi Lay,Deputy Prime Minister, Coordinating Minister for Economic Affairs, Minister of Tourism and Environment)と夕食を挟みつつ意見交換を行いました。  高村政務官から、東ティモールのWTO正式加盟を歓迎するとともに、ASEAN加盟に向けた取組を支援していく旨を述べつつ、来年の大阪・関西万博における協力を楽しみにしている旨述べました。
 これに対し、ライ副首相から、ギド・ヴァラダレス国立病院整備計画やプレジデンテ・ニコラウ・ロバト空港整備を含む経済協力案件の調整状況や、大阪・関西万博に向けた国内外における取組の状況及び造船所建設計画を含む日本企業の東ティモールへの投資促進等に言及しつつ、技能実習制度等を通じた二国間の人的交流が更に進展することを期待する旨述べました。
 また、高村政務官は、ライ副首相が東ティモールオリンピック協会やアジアサッカー連盟の役員を務めていることを踏まえ、サッカーを通じた二国間協力の可能性を含め、日本と東ティモール間でのスポーツを通じた交流についても促進していきたい旨述べました。

エ フレイタス外務・協力大臣との会談

フレイタス外務・協力大臣と会談する高村政務官
交換公文の署名を行いフレイタス外務・協力大臣と握手する高村政務官

 14日、フレイタス外務・協力大臣(H. E. Mr. Bendito dos Santos Freitas, Minister of Foreign Affairs and Cooperation) と会談を行いました。
 高村政務官から、1999年以来、日本は東ティモールの国造りを積極的に後押ししてきたが、今回その成果を確認でき光栄である旨述べ、日本は東ティモールのインフラ整備や能力構築等での協力を一層強化していく、今回、国立病院整備計画の署名を行うことができ、喜ばしい旨述べました。
 これに対し、フレイタス外務・協力大臣から、東ティモールの独立当初から日本からの幅広い分野での支援に感謝する旨述べつつ、特に農業分野や、外交官を含む国内の人材育成を見据えた教育分野での協力を強化していきたい旨述べました。
 また、昨年12月の日・東ティモール首脳会議において、両国関係が「包括的パートナーシップ」に格上げされるとともに、インフラ整備や人材育成等の分野での協力強化を確認したことを踏まえ、フレイタス外務・協力大臣から、ASEANへの正式加盟を見据え、日本との間で各分野での協力を強化していきたい旨を述べました。
 両者は地域・国際情勢についても議論し、UNCLOSをはじめとする国際法の遵守が重要である点を確認し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて連携していくことで一致しました。

 会談後、高村政務官はフレイタス外務・協力大臣との間で、ギド・ヴァラダレス国立病院整備計画の交換公文署名式を行いました。高村政務官から、本計画は手術部門や周産期部門等の施設を整備するとともに、手術台や超音波診断装置等の機材を供与するものである旨紹介し、保健を優先分野の一つとする東ティモールの方針を支え、より多くの国民が質の高い医療にアクセスできるようになることを期待している旨述べました。フレイタス外務・協力大臣からは、本計画は東ティモールにおける国造りの重要な一場面となる、東ティモールの若手人材育成の観点からも有意義であり、国内地方部の経済発展にも資することとなるだろうとの期待が示されました。

(2)インドネシア(デンパサール)

ア マヘンドラ・バリ州知事代行との会談

サン・マデ・マヘンドラ・ジャヤ・バリ州知事代行と会談する高村政務官

 15日、サン・マデ・マヘンドラ・ジャヤ・バリ州知事代行(H.E. Mr. Sang Made Mahendra Jaya, Acting Governor of Bali)と会談を行いました。
 高村政務官から、マヘンドラ州知事代行に対し、バリにおいて45社の日本企業が活動し、約2,200名の在留邦人が在留しているほか、年間約12万人の邦人観光客が来訪していることに触れつつ、在留邦人及び日本人観光客に対する安全確保の要請を行いました。また、高村政務官から、海岸保全事業やマングローブ保全事業を含む幅広い分野での協力事業を紹介しつつ、日本として、今後もバリ経済の活性化に向けて官民で取り組んでいきたい旨を述べました。
 これに対し、マヘンドラ州知事代行から、バリの人材育成における二国間協力のほか、バリでの高校教育や農業分野での協力、そして廃棄物処理問題での協力の在り方について説明があり、良好な二国間関係の下で、今後の日本との協力に期待が示されました。
 両者は、日本とバリ間の人的交流の促進、経済分野での協力強化の確認を含め、幅広い分野で意見交換を行いました。

イ ジャヤ・ヌガラ・デンパサール市長との会談

ジャヤ・ヌガラ・デンパサール市長と会談する高村政務官

 15日、ジャヤ・ヌガラ・デンパサール市長(H.E. Mr. I Gusti Ngurah Jaya Negara, Mayor of Denpasar)と会談を行いました。
 高村政務官から、在留邦人及び日本人観光客に対する安全確保の要請を行いました。ジャヤ・ヌガラ市長から、両国関係の進展は喜ばしい旨述べるとともに、デンパサール市における渋滞対策や廃棄物処理が大きな課題になっており、日本に習うべき点が多い旨述べたところ、高村政務官から、特に廃棄物処理場の運営に必要となる技術を紹介し、ジャヤ・ヌガラ市長との間で、環境協力を含む日本とデンパサール市との間の協力や、経済協力、人的交流について意見交換を行いました。
 また、両者は防災に関する協力についても意見交換を行い、防災分野での連携を強化していくことも確認しました。

2 視察等

(1)東ティモール

ア 少林寺拳法稽古

少林寺拳法の稽古を視察する高村政務官

 13日、高村政務官は、JICA青年海外協力隊員が現地で指導している少林寺拳法の稽古を視察しました。東ティモール少林寺拳法連盟(Timor-Leste Shorinji Kempo Federation)は、2002年に設立され、現在約400名が登録しています。

イ 在留邦人との意見交換

在留邦人と面会する高村政務官

 14日、高村政務官は在留邦人と面会し、東ティモールで現在直面している課題やビジネスの現状等について、意見交換を行いました。

ウ 東ティモール国立大学工学部視察

東ティモール国立大学工学部で、日本の大学や防衛大学校に留学した卒業生や在校生への挨拶を行う高村政務官

 14日、高村政務官は、日本が東ティモールの独立回復以来20年にわたり支援してきた東ティモール国立大学工学部を視察しました。高村政務官は、マルティンス学長、シメネス工学部長及びJICA専門家として派遣されている関根山口大学名誉教授の案内で学内を視察した後、日本の大学や防衛大学校に留学した卒業生の方々や在校生と懇談を行いました。

エ 日・東ティモール友好議連との意見交換

東ティモール友好議連の議員たちと意見交換を行う高村政務官

 14日、高村政務官は、ビアンコ議員、フレイタス議員、ノローニャ議員との間で、今後の日・東ティモールの議会間交流や人的交流、両国ビジネス界の連携強化に向けた意見交換を行いました。

オ 常石造船視察

常石造船現地事務所を訪問し、東ティモール人職員が船舶設計技術研修を受講している様子を視察する高村政務官

 14日、高村政務官は、常石造船現地事務所を訪問し、東ティモール人職員が船舶設計技術研修を受講している様子を視察しました。

カ ギド・ヴァラダレス国立病院視察

ギド・ヴァタダレス国立病院内を視察し、整備計画の計画地等を視察する高村政務官

 14日、高村政務官は、ギド・ヴァタダレス国立病院内を視察しつつ、今般合意された整備計画の計画地等を視察しました。

キ JICA事務所訪問

JICA職員、専門家、海外青年協力隊隊員と意見交換を行う高村政務官

 14日、高村政務官は、ディリ市内のJICA事務所を訪問し、JICAが東ティモールにて実施している事業について説明を受けつつ、JICA職員、専門家、海外青年協力隊隊員と意見交換を行いました。

(2)インドネシア(デンパサール)

ア 在留邦人との意見交換

在留邦人と写真撮影に応じる高村政務官

 12日、高村政務官は在留邦人と面会し、バリ島で現在直面している課題やビジネスの現状等について、意見交換を行いました。

イ ウダヤナ大学学長及び元日本留学生協会との意見交換

ンガカン・プトゥ・グデ・スアルダナ・ウダヤナ大学学長、元日本留学生協会関係者、大澤高浩山口大学准教授と写真撮影に応じる高村政務官

 15日、高村政務官は、ンガカン・プトゥ・グデ・スアルダナ(Prof. Ir. Ngakan Putu Gede Suardana)ウダヤナ大学学長、元日本留学生協会関係者及びウダヤナ大学に駐在している大澤高浩山口大学准教授と、日本の大学との交流拡大や日本とバリとの間の人的交流の促進に向けた取組等について意見交換を行いました。

ウ マングローブセンターの視察

マングローブセンターを視察する高村政務官

 15日、高村政務官は、1992年にJICAの支援を受けて設立されたマングローブセンターを訪問し、その活動について説明を受けるとともに、マングローブ林を視察しました。

エ クタ海岸保全事業

クタビーチを視察する高村政務官

 15日、高村政務官は、JICAが2001年からインドネシア政府と協力して海岸浸食の改善と養浜事業を行っているクタビーチを視察しました。


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