アジア
中根外務大臣政務官の第7回バリ民主主義フォーラム出席(概要)
平成26年10月17日

10月10日(金曜日),中根一幸外務大臣政務官は,インドネシア・バリ島において開催された第7回バリ民主主義フォーラムに出席したところ,概要は以下のとおり。
1.第7回バリ民主主義フォーラムの概要
(1)経緯
2008年,民主化を達成したインドネシアのイニシアティブにより,アジア地域の民主主義の促進と発展の政府間フォーラムとして設立。閣僚級のフォーラムを毎年開催。
(2)本年の共同議長及びテーマ
本年のフォーラムは,ユドヨノ・インドネシア大統領,アキノ3世・フィリピン大統領を共同議長とし,「進化する地域の民主主義の枠組み」をテーマに開催された。
(3)参加国
オブザーバーを含め,79カ国・機関から参加。首脳級では,インドネシア及びフィリピンに加え,ボルキア・ブルネイ国王,グスマン・東ティモール首相が出席。また,韓国,スリランカ,モルディブ,マダガスカルをはじめとする7カ国から外務大臣等の閣僚級が出席。
(4)日程
10月10日(金曜日)
午前 開会式(マルティ・インドネシア外相による報告,ユドヨノ・インドネシア大統領による開会挨拶等)
ユドヨノ大統領による記者発表
首脳級,閣僚級による一般討論
昼 ユドヨノ大統領主催昼食会
午後 閣僚級による一般討論
夜 マルティ外務大臣主催夕食会
10月11日(土曜日)
午前 パネル・ディスカッション
昼 総括・閉会式
(1)日本の外交方針と民主主義
日本は戦後,平和国家として自由,民主主義等の普遍的価値に重きを置き,これを不断に培うことで,国民が平和と幸福を享受する豊かな社会を築くとともに,アジアを始めとする国々に開発・民主化等の支援を行ってきた。国際協調主義に基づく「積極的平和主義」を掲げ,地域の平和と安定に対して一層積極的に貢献する取組を進めている。また,グローバルな課題にも積極的に貢献している。地域や国際社会の課題に取り組む上で,ASEANとの協力は重要である。昨年の日ASEAN友好協力40周年を機にビジョン・ステートメントを打ち出し,一層の協力強化を進めている。日本は,EAS強化を含め,地域のアーキテクチャーの強化についても,ASEAN各国と一層緊密に連携する。
(2)世界各国の民主化状況と日本の民主化支援
ア アジア
インドネシアについて,ユドヨノ大統領の指導の下,2005年のアチェ和平達成も含め国内の政治・治安状況は安定。「多様性の中の統一」との国是の下,世界屈指の多元社会が世界有数の民主主義国家として発展した。日本は,今後も,戦略的パートナーとして,インドネシアが民主化の推進を含む地域や国際社会の課題に積極的に貢献するよう緊密に協力していく。
ミャンマーについては,日本は2015年に予定されている総選挙も見据えて,改革の更なる進展を後押ししている。
タイについては,日本は新政権との意思疎通を強化する中で,民主体制の早期復帰を後押ししていく考え。
カンボジアについては,法整備支援等を通じて民主主義の定着に貢献してきたほか,選挙改革支援でも協力していく予定。
イ 女性
女性の活躍は民主主義が機能する上で不可欠の条件。「女性が輝く社会」の実現に向け国内外で様々な取組を進めている。本年9月に国際シンポジウム「WAW!Tokyo 2014」を開催し,具体的提案を発出した。今後も,国内外において女性の活躍促進に向けたイニシアティブを進める。
ウ 中東
中東地域は動揺のただ中にある。過激主義の定着の阻止が重要である。その一助として5,000万ドルの緊急支援を実施することを決定した。今後も可能な限りの支援に,国際社会として連携して取組みたい。パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合はこうした観点から日本が立ち上げた枠組みであり,本年3月にはインドネシアで第2回閣僚会議が開催され,これを高く評価している。
(3)結語
日本は今後も選挙訪問プログラム等を通じてバリ民主主義フォーラムの発展に協力する。日本は,ASEANや地域の各国と協力し,アジアを始め世界各国の民主化を更に後押ししていく。
3.二国間会談・懇談等
中根政務官は,上記2.のスピーチに加え,第7回バリ民主主義フォーラムに出席した以下の外国政府要人と会談・懇談を行った。
(1)デル・ロサリオ・フィリピン外務大臣との会談
中根政務官から,デル・ロサリオ大臣の本年二回の訪問を含め,最近の日フィリピン間の活発な要人往来で,両国の協力はあらゆる分野で緊密化している,様々な分野での連携を通じて,戦略的パートナーシップを一層強化していきたい旨述べた。これに対し,デル・ロサリオ大臣からは,フィリピンも日本との戦略的パートナーシップを重視している旨述べるとともに,ミンダナオ和平に対する協力を含め,これまで日本が実施してきたODAに対する感謝の意が表明された。両者は,南シナ海問題についても意見交換を行い,法の支配に基づく紛争の平和的解決の重要性あり,11月の東アジア首脳会議(EAS)に向けて連携していくことで一致した。
(2)ピント・東ティモール外務副大臣との会談
中根政務官から,東ティモールが順調に民主主義国家として成長していることについて触れ,これからも日本は,東ティモールとの協力,特に青少年交流を強化していきたい旨述べた。これに対し,ピント副大臣からは,日本は,独立以前より東ティモールの最大の支援国の一つであり,日本は東ティモールが困難な時も常にそばにいてくれた旨の発言があるとともに,今後とも企業投資を含め一層の関係緊密化に期待する旨述べた。