ブルネイ・ダルサラーム国

令和5年10月9日

 10月8日からブルネイ・ダルサラーム国を訪問中の上川陽子外務大臣は、エルワン・ブルネイ・ダルサラーム国第二外務大臣(Dato Seri Setia Haji Erywan bin Pehin Datu Pekerma Jaya Haji Mohd Yusof, Minister of Foreign Affairs II, Brunei Darussalam)との間で外相会談等を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 日・ブルネイ外相夕食会(現地時間8日午後7時30分(日本時間同日午後8時30分)から約90分間)

夕食会の場に臨む上川外務大臣とエルワン・ブルネイ第二外務大臣
日・ブルネイ外相夕食会の様子
  1. エルワン大臣から、上川大臣が就任から間を置かず、ブルネイを訪問したことを歓迎するとともに、大臣間での信頼関係を構築していきたい旨の発言がありました。また、エルワン大臣から静岡県でのホームステイの経験を紹介したことを受け、両大臣は静岡県の話題を交換し、上川大臣からは旧知の仲のように感じると述べるなど、打ち解けた雰囲気の中で親睦を深めました。
  2. その上で、両大臣は、幅広いトピックについて意見交換を行いました。日ASEAN協力に関し、エルワン大臣から、日本が人材育成を通じて各国との信頼関係を深めてきたことを高く評価する旨述べたのに対し、上川大臣から、人と人の繋がりが国と国との関係の基礎であり、これを更に発展させていきたい旨述べました。
  3. また、両大臣は、海洋や気候変動分野における日本の取組や今後の協力の可能性等について意見交換し、こうした分野における人的交流等を通じて、両国が引き続き緊密に連携していくことで一致しました。さらに、エルワン大臣からミャンマー情勢に関するASEANの取組について言及し、上川大臣からはミャンマー情勢に対する深刻な懸念を表明しました。
  4. 上川大臣から女性や保健の問題を提起したのに対し、エルワン大臣からブルネイにおける女性の健康や社会進出の状況について説明し、両大臣はこうした課題への取組について意見交換しました。

2 日・ブルネイ外相会談(現地時間9日午前8時55分(日本時間同日午前9時55分)から約70分間)

エルワン・ブルネイ第二外務大臣と握手をする上川外務大臣
日・ブルネイ外相会談の様子

(1)冒頭

 エルワン大臣から、上川大臣のブルネイ訪問を歓迎しつつ、長年にわたる良好な両国関係を一層強化したい旨述べました。また、旭日大綬章の授与について深い謝意が示されました。これに対して、上川大臣から、本年の日ASEAN友好協力50周年や来年の日・ブルネイ外交関係開設40周年を見据えつつ、皇室とブルネイ王室との交流や日本へのLNGの安定的供給を通じた良好な両国関係を一層深めるとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現をはじめ、地域・国際社会の諸課題への対応についてもブルネイとの連携を更に強化していきたい旨述べました。

(2)二国間関係

  1. 両大臣は、12月のボルキア国王の訪日招待を含む要人往来や「JENESYS」等を通じ、また、観光や漫画といった分野を含め、人的交流を一層促進していくことで一致しました。
  2. 上川大臣は、12月の日ASEAN特別首脳会議において、将来の日ASEANの関係の方向性と新たな協力のビジョンを共同で打ち出したい旨述べました。また、この機会に、女性・平和・安全保障(WPS)の推進に向けて、ASEANとの連携を強化したい旨述べました。これに対して、エルワン大臣から、ブルネイとしても協力を一層推進したい旨発言がありました。
  3. 両大臣は、LNG貿易を含むエネルギー分野、「アジア・ゼロエミッション共同体」構想の実現に向けた協力を含む気候変動分野及び海洋を始めとする安全保障分野における協力の深化を確認するとともに、保健分野についても今後、協力を進めていきたいとの認識を共有しました。また、CPTPPのハイスタンダードの維持に向けて協力していくことで一致しました。さらに、上川大臣から、ブルネイの経済及び産業の多角化に向けた協力に言及し、エルワン大臣から、これまでの日本の貢献に対する謝意が示されるとともに、経済関係を一層強化していくことで一致しました。
  4. 上川大臣からALPS処理水に関する日本の取組を説明したのに対し、エルワン大臣から科学的根拠に基づき日本が透明性をもって対応していることを評価している旨の発言がありました。

(3)地域・国際情勢

     
  1. 上川大臣から協調のための国際社会を実現するべく、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化が重要であり、「人間の尊厳」が守られる世界を目指すことが重要である旨述べ、エルワン大臣から賛同する旨の発言がありました。
  2. 上川大臣から、南シナ海における最近の事案を含め力による一方的な現状変更の試みや威圧的な活動に対する深刻な懸念を表明し、両大臣は連携を確認しました。
  3. 上川大臣から、北朝鮮の核・ミサイル活動に対する深刻な懸念を伝えるとともに、拉致問題を含め引き続き連携していくことで一致しました。
  4. 上川大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は明白な国際法違反であり、決して認められない旨述べ、引き続き連携していくことを確認しました。
  5. 7日のパレスチナ武装勢力によるイスラエルへの攻撃を受け、上川大臣から、現地の情勢を深刻な懸念をもって注視している旨述べ、国際社会として一致して当事者に最大限の自制を働きかけていくべき点で一致しました。
  6. ミャンマー情勢、SDGs、軍縮・不拡散といった諸課題についても両国の連携を強化していくことを確認しました。

3 その他

上川外務大臣と在ブルネイ日系企業関係者の記念写真 上川外務大臣と在ブルネイ日系企業関係者

 上川大臣は、9日午後に、現地の日系企業関係者と懇談を行い、日ブルネイ経済関係や現地のビジネス環境等について意見交換を行うとともに、ブルネイLNG社(BLNG)を訪問し、50年以上にわたり日本のエネルギー安定供給に寄与してきた同社の視察を行う予定です。


ブルネイ・ダルサラーム国へ戻る