ベトナム社会主義共和国

令和7年4月28日
チン首相と握手する石破総理の姿 (写真提供:内閣広報室)
首脳会談の様子 (写真提供:内閣広報室)
歓迎式典で子ども達と記念撮影する石破総理の様子 (写真提供:内閣広報室)

 現地時間4月28日午前8時55分(日本時間午前10時55分)から約110分、ベトナム社会主義共和国を訪問中の石破茂内閣総理大臣は、首相府において、ファム・ミン・チン・ベトナム社会主義共和国首相(H.E. Mr. PHAM Minh Chinh, Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam)と首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおりです(少人数会合:約40分間、全体会合:約70分間)。会談に先立ち、石破総理大臣による英雄烈士記念碑及びホーチミン廟での献花とチン首相主催の歓迎式典が行われました。会談後、両首脳は、文書交換式及び共同記者発表を行い、共同プレスリリースを発出しました。

1 冒頭

 冒頭、チン首相より、石破総理大臣のベトナム訪問を歓迎しており、日越関係が様々な分野で発展してきていることを嬉しく思う、「包括的戦略的パートナーシップ」の下、石破総理大臣と共に二国間関係のさらなる発展や地域・国際情勢への対応について緊密に連携していきたい旨述べました。さらにチン首相より、大阪・関西万博が成功裡に開催されていることに祝意を述べられました。これに対し、石破総理大臣から、今回の訪問での温かいおもてなしに謝意を述べるとともに、日本とベトナムは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や多角的自由貿易体制を維持・強化することにコミットしており、日本は「新しい時代」を迎えるベトナムにとってのかけがえのないパートナーであり続ける旨を述べました。続けて、成長著しいベトナムとの関係強化は、日越両国ひいては地域の安定と繁栄に資するものであり、日越協力をさらにアップグレードしていきたい旨述べました。

2 二国間関係

(1)安全保障

 両首脳は、ベトナム軍への資材運搬車の移転完了や護衛艦「すずなみ」のダナン寄港といった協力の進展を歓迎しつつ、戦略的意思疎通の強化のため、外務・防衛次官級協議(次官級2+2)を創設することで一致しました。また、防衛装備・技術協力やOSAといった具体的協力の重要性について議論しました。

(2)経済

 石破総理大臣から、トー・ラム書記長が掲げる「新しい時代」の方向性を歓迎する旨述べた上で、両首脳は、ベトナムの経済成長は地域全体の発展のためにも重要であるとの認識を共有しました。

  1. 両首脳は、米国の関税措置やそれに対抗する中国の報復措置が世界経済や多角的貿易体制に与える影響を踏まえつつ、経済分野につき幅広く議論しました。石破総理大臣からは、現下の状況によって影響を受ける日本企業の声に耳を傾け、ベトナムとも緊密に意思疎通していくことを重視している旨述べました。また、世界経済が不透明性を増す中で、外的ショックに対するベトナムの強靱性を高めるため産業高度化を進めることの重要性で一致しました。
    石破総理大臣から、半導体分野の人材育成のため、ベトナムが博士後期課程学生の育成目標としている500名について、その約半数程度を日本で受け入れる方針を表明するとともに、日越協力の象徴プロジェクトである日越大学において半導体プログラムを開始する旨述べました。
  2. GX・エネルギー分野については、石破総理大臣から、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)等を中心とした日越協力プロジェクトとして、洋上風力、連系線整備、バイオマス、JBICによる支援など総事業規模約200億ドルのプロジェクトを協力して推進していく旨を述べました。両首脳は、日越がアジアのエネルギートランジッションを主導していくことで一致しました。
  3. ベトナムの投資・経済協力の環境整備については、石破総理大臣から、チン首相のリーダーシップへの期待を表明し、両首脳はLNG事業者をはじめ日本企業が抱える諸課題への解決に向けて連携を強化することで一致しました。また、日本として、JBICの融資や経済産業省事業等を通じた日本企業のベトナムへの投資や事業拡大の支援を引き続き進めるほか、OECDとの更なる関係強化を後押ししていく旨を述べました。
  4. 防災・農業分野については、石破総理大臣から、北部山岳地域における防災インフラ整備や食料安全保障に関する支援を通じ、ベトナムの強靭性強化や格差是正に貢献していく旨を表明し、チン首相は謝意を述べました。

(3)人的往来

 両首脳は首脳往来や政党間、議会間、草の根レベルの交流の重要性を確認しました。また、在日ベトナム人が60万人を突破したことも念頭に、大阪・関西万博やGREEN×EXPO2027の機会も活用して、日ベトナム間の人的交流を活性化することを確認しました。

3 地域・国際情勢への対応

 石破総理大臣から、ベトナムは、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、要となるパートナーである旨表明しました。両首脳は、諸課題への対応について幅広く意見交換を行い、今後も緊密に連携していくことで一致しました。

(1)東・南シナ海情勢

 両首脳は、東シナ海・南シナ海情勢について意見交換し、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

(2)北朝鮮情勢

 両首脳は核・ミサイル問題を含む北朝鮮情勢について意見交換し、拉致問題の即時解決の重要性について確認しました。

(3)その他

 ウクライナ情勢、ミャンマー情勢を始めとする諸課題への対応や、日ASEAN、日メコン協力、国連における協力などついても意見交換しました。


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