ベトナム社会主義共和国
日・ベトナム外相会談及びワーキング・ランチ
令和5年10月10日



現地時間10月10日午前10時30分(日本時間午後12時30分)から約150分間、ベトナム社会主義共和国を訪問中の上川陽子外務大臣は、ブイ・タイン・ソン・ベトナム社会主義共和国外務大臣(H.E. Mr. Bui Thanh Son, Minister of Foreign Affairs of the Socialist Republic of Viet Nam)と外相会談及びワーキングランチを実施したところ、概要は以下のとおりです。
- 冒頭、ソン外相から、上川大臣のベトナム訪問を歓迎するとともに、両国の外交関係樹立50周年である本年、日本とベトナムの関係を新たな高みに向けて促進すべく協力していきたい旨述べました。これに対し、上川大臣から、温かい歓迎に感謝する、本年は、日越外交関係樹立50周年という両国にとって歴史的な節目の年であり、この機会を捉え、両国の「広範な戦略的パートナーシップ」を新たな高みに押し上げるべく、ソン外相と協力していきたい旨述べたほか、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のため連携していきたい旨述べました。
- 上川大臣から、ベトナムは「自由で開かれたインド太平洋」を実現していく上で重要なパートナーであり、両国関係の強化は、インド太平洋地域を含め、地域・国際社会の平和と繁栄に貢献することにつながるとの考えを述べ、日本としては、「女性・平和・安全保障(WPS)」を更に力強く推進し、アジア諸国との連携を強化していきたい旨伝えました。ソン外相は、自由で開かれたインド太平洋やWPSへの賛同を含め、あらゆる分野で関係を強化していく旨述べました。
- 両外相は、幅広い分野における今後の二国間関係について意見交換しました。経済分野に関し、上川大臣からは、サプライチェーン多元化の観点から、生産拠点及び市場としてのベトナムへの日本企業からの関心が集まる中、ベトナムでの活動をより円滑に行うことができるよう一層の投資環境整備に協力を求めたほか、ODA等を通じた経済協力における連携強化、日越大学を始めとした人材育成分野での協力の継続、グリーン成長・エネルギー移行推進への更なる連携について言及しました。これに対してソン外相から賛同の意が表明され、二国間の経済協力の一層の強化に向け引き続き連携していきたい旨述べました。
- 防衛協力に関しては、両大臣は、本年6月の海上自衛隊の護衛艦「いずも」、「さみだれ」のカムラン港への寄港等の防衛交流の拡大、海上保安機関の協力関係等が進展していることを歓迎し、外交当局間でも緊密に連携することを確認しました。また、上川大臣から、昨年12月の新たな国家安全保障戦略に基づき、我が国が本年4月に創設した「政府安全保障能力強化支援(OSA)」について説明し、ソン外相から関心が示されました。
- 両外相は、両国の人的交流が活性化していることを歓迎したほか、人的交流の更なる発展のためにも技能実習生をめぐる課題の解決に向けて協力を強化することを確認しました。
- 両外相は地域情勢についても率直な意見交換を行いました。上川大臣から、冒頭、国際社会が歴史の転換点にある今こそ、分断や対立でなく協調の世界に向け、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が重要である旨発言しました。また、12月の日ASEAN友好協力50周年特別首脳会議に向けた日本の考えを説明し、両外相で連携することで一致したほか、ミャンマー情勢についても意見交換し、引き続き協力して対応していくことを改めて確認しました。
- 上川大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、主権や領土一体性といった国連憲章の原則を含む国際法の明白な違反であり、ウクライナを外交面でも支援していくことが重要である旨言及しました。また、両外相は、東シナ・南シナ海情勢やCPTPP、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応につき、引き続き連携していくことを確認しました。
- パレスチナ武装勢力によるイスラエルへの攻撃を受け、上川大臣から、罪のない多数の市民に犠牲者が出ていることに心を痛めており、このような行為を強く非難する旨述べ、両外相は国際社会として一致して当事者に最大限の自制を働きかけ、連携していくべき点で一致しました。
- ALPS処理水の海洋放出について、上川大臣から日本は、科学的根拠に基づき透明性高く自らの取組について説明していく旨述べ、ベトナムの引き続きの理解と支持を求めました。